『strawberry』-3- 

2015, 03. 26 (Thu) 07:10

 朝七時に何をしているんだか・・・と、思いつつ、更新です。
 昨夜ぎりぎりに書き上がっていたけれど、さすがにブログに載せるまで行かなくて。
 樂園シリーズの一部なのでBL小説のテーマ枠にしていますが、全く、BLにかすりもしない話です。
 もうちょっとでまとまりますので、今しばらくお付き合い下さい。
 今回初めて読まれる方は柱のカテゴリ『strawberry』をクリックして頂くと、前回、前々回の話が見られますので宜しくお願いします。
 
 福岡は桜がぼちぼち咲き始めました。
 近所に素敵な古木が結構あるので、満開の時期が楽しみです。

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 頂き物の球根も見事な咲きっぷりの春です。
 背後にちらりと見えるフリージアもだいぶ色づいていて、今週末くらいに開花するかな・・・。
 ではでは、とりあえず働いてきます~。
 がんばれ、私。


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『silentlove-地上の光-』です。
  クリスマスではない、12月の平日のお話のつもりで書きました。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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『strawberry』-3-


 
「・・・意外」
 拝殿の前で手を合わせた後、ふっと口をついて出る。
 彼は、こんな小さな社にも丁寧な作法で参拝した。
 空気の澄み切った鎮守の森の中で、それはとても尊いさまに映った。
「なにがですか?」
「篠原さんの口から、土地神様に挨拶、と言う言葉が出るとは思わなかったから」
 表向き隠居という形を取っているが、長田有三、富貴子夫妻は今も精力的に政治活動を行っている節があり、彼らの秘書は何人もいると聞くにもかかわらず篠原はいつも多忙な上に海外渡航を盛んに繰り返している。
 グローバルな活躍ぶりと土着の信仰はなんとなく不似合いな気がした。
「ああ・・・。そうですね。私を育てた人がけっこうな歳だったので、ついそういう習慣が出てしまうのかもしれません」
 さらりと返され、言葉に悩む。
「ええと・・・。聞いて良いのかな。あなたを育てた人って?」
「前、啓介さんが漏らした、三味線の師匠です」
「ああ・・そういえば」
 いつか、同僚達で集まってたわいのない話をしていた時にそのようなことを耳にしたような気がする。
「もう方言はすっかりとれてしまいましたが、小学生の頃から京都の花街界隈で育ちました。両親の離婚後親族の中を転々とした末に、とうとう最後には家系図辿った先の遠縁に無理矢理頼み込むかたちになってしまい、彼も困ったと思います。当時七十を越えていらしたわりにはお元気でしたが私が高校生のころに亡くなりました。それから大奥様の開く長田塾に入って今に至るのですが…」
 長田夫妻の孫であり同僚でもある片桐啓介から聞いたことがある。
 通称長田塾。
 優秀な若者を集めて才能をのばす手助けを行っており、その内容は政財界ばかりではなく多岐にわたる。年齢、国籍も問わず、経済的に恵まれない場合はその程度に応じた生活の支援も用意されているらしい。その非公式な教育機関の中で、篠原は最も優秀な卒業生の一人だとも聞いた。
「およそ十年、寝食を共にして、色々教えて貰いました。昔気質の方ですから躾けに厳しかったけれど、そのおかげで何処に出向いても困ったことがありません」
 確かに、彼の所作の美しさはその美貌をさらに引き立たせている。
 流れるようなその動きは、日舞を見ているようだ。
 だけど。
「・・・三味線、も、引けるの?」
 それを面と向かって言う事がどうしても出来ない。
 ちょっともつれてしまった舌にいらだちを感じた。
「はい。そこそこ・・・。とりあえず中学生の時に賞をとるくらいまでは行きました」
「え?なら・・・」
「向かない、と言われました」
 作り物めいた、精緻な横顔。
 薄い唇がじんわりと笑いの形を作る。
「生業にするには私の顔は邪魔だそうです」
「は?」
「実際、色事のごたごたが既に始まっていましたので・・・」
「ああ・・・なる・・・ほどね」
 今更だが、彼の色事に関する熟練ぶりは一度自ら体験しているから、おおよそのことは想像できる。
「ほんとうに、そこそこ、までしか出来ないのを早くに見抜かれていました。だけど雰囲気だけでなんとなく実力以上のものに見えてしまったり、必要以上にもてはやさされて、苦しむようになるだろうと、心配して下さいました。そして、密かに富貴子様に私を託されていたのです」
 ふと足を止め、傍らを歩く奈津美の瞳を見つめ、静かに続けた。
「彼にはとても感謝しています。実の両親たちは私のことなど一度も思い出しもしなかったのに、先の先まで考えて毎日を丁寧に過ごしてくれた。彼との生活でなにひとつ無駄なことはなかった」
「・・・たのしかった?」
「はい、とても」
 とても、しあわせだった。
 彼の瞳は、そう語っている。
 だけど。
 その大切な人は、もうこの世にいないのだ。
 触れてくれない。
 心配してくれない。
 叱っても、くれない。
 なら、今は?
 今のあなたは、どうなの?
 聞いたところで、どうしたいのか、自分が解らない。
 唇を噛むと、すっと、暖かなものが触れてきた。
 篠原の、指先だった。
 ゆっくりと優しくたどって、力んだ唇をあやされる。
「ありがとう」
 それだけで十分だと、彼の体温が語りかけてきて、胸がつきんと痛んだ。
「ねえ、あのね・・・」
 せり上がってくる何かを言いたくて声を出したその時、カーディガンのポケットに入れていた携帯が鳴った。
 慌ててとりだして耳に押し当てると、柔らかな声が聞こえてくる。
「奈津美・・・?あなた、今どこにいるの?」
 懐かしい声。
「・・・おかあさん」
 ただそれだけで。
 幼い私に、戻ってしまう。


            -つづく。-




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