『秘密の花園』-無花果-7- 

2014, 11. 19 (Wed) 22:38

 お待たせしました、『無花果』の続きです。
 残念ながらまだ終わりません。
 今日は芳恵(憲二・勝己の母)のターンです。
 あともうちょいとで終わりますのでご辛抱下さい。
 あと一話くらいかなあ。
 この話をBLカテゴリにするにはどうかと常々考えているのですが・・・。
 それなりに重要な話かなと思うのでお付き合い下さい。


   『秘密の花園』-無花果- -①--②--③--④--⑤--⑥- 

 一応、ちょろっと、秋に発行した同人誌『秘密の花園-きざはし-』にリンクしています。
 とらのあなで販売していますが、3月のJ庭にも持参します。
 機会がありましたら、手にとって下さいね。 


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『壁ドン事件 -出歯亀編-』です。
  ええと、『壁ドン事件-池山×江口編-』を、今回もあの人が出歯亀しております。
  かるーく読み流して下さいね。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。
 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 とくに、励ましの拍手をクリックして下さる方へ。
 本当にありがとうございます。
 頑張ります。
 もしもよろしければ、一言、くださいね。
 感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。
 お待ちしています。



 ↓ このあたりに『続き』ボタンがあると思います。小説をお読みになる方はクリック願います。

  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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『秘密の花園』 -無花果-7-

 ふいに、強い風が部屋の中を通りすぎていった。
 煽られてはためくレースのカーテンを眺めながら、腕の中の子供の温かさと確かな重みを楽しむ。
 小さな寝息を立てる末息子は、今までの子供たちの中で一番よく眠る。
 沢山眠って、驚くほどミルクをよく飲み、たまに重たげな瞼を開き、哲学的な瞳で自分を見つめ、真実を問う。

 お前の、求めるものは何なのか、と。

 この山荘に身を置いて一年近く。
 未だに心が定まらない。
 義母が呼んだ医療スタッフたちの中に心療カウンセラーもいた。
 彼女は全てを聞き終えた時に、夫惣一郎との関係は典型的なドメスティック・バイオレンスの共依存だと指摘した。
 虐げる者と、虐げられる者。
 憎しみと、愛情と、後悔と、哀れみと、そして、破壊への衝動。
 もう既に子供たちにまで影響を及ぼしており、悪循環でしかないと諭されて、納得はした。
 それを断ち切るには、互いに離れるしかないと言うことも。
 義母をはじめとする周囲の人たちは外の世界へ連れ出して色々な物を見せてくれ、教えてくれ、毎日が優しく過ぎていく。
 子供たちは鮮やかな花が開いたように生き生きとして、特に次男の心の回復と成長は、想像以上のもので、何度も嬉しさを噛みしめた。
 だけど。
 この、ぽっかりと空いた穴はどうしたらいいのだろう。
 時には、訪れる客人の中に自分と子供たちに好意を抱き、一緒に暮さないかと持ちかけてくれるありがたい事も何度かあった。
 誰もが、自分たちにはもったいない、魅力的な人たちばかりだった。
 きっと、その手を取れば幸せになるに違いない。
 だけど。
 何かが、私の足を掴まえて離さない。
 行ってはならないと、耳元で囁く声が聞こえる。

 お前の、望みは何だ。

 風に乗って、花の香りに紛れて、問いかける声。

「芳恵」
 名を呼ばれて振り向くと、鋭い瞳に胸を射貫かれた。
 ・・・惣一郎。
 私の、夫。
 とくん、とくんと音がして、身体の中の血が一斉に巡りだしたのを感じる。
 時が、この山荘で止まっていた時が、動き始めた。
 ひとあし、ひとあし。
 靴音が近付く。
「芳恵さま、勝己さまはこちらで預かります」
 部屋係のひとりがいつのまにかそばに来て、赤ん坊を抱き取って素早く去っていった。
 扉の閉まる音。
 止まった、風。
 空っぽになった、私の腕。
 ぼんやりと立ちすくんでいると、強い力で引き倒された。
 冷たい、床。
 絶対的な、重み。
 今この部屋の全てが、支配される。
 背中に痛みを感じる間もなく、熱い息が降りてきた。
「芳恵」
 彼は、ただ、名前を呼ぶだけ。
 それだけで。
 全てが砕け散る。
 培ってきた知識も、教養も、鍛錬も、そして子供たちへの想いも。
「・・・芳恵」
 荒い息の下、呼ばれるだけで。
 その瞳の中に映るものを、見ただけで。
「芳恵」
 私は、あなたの女に、戻ってしまう。
「あなた・・・」
 私の、あなた。
 たったひとりの、ひと。

 私の、望みは・・・。

 震える指先で、愛しい人の、輪郭を確かめる。



        -つづく-




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