『秘密の花園』-佳客の宴 4- 

2014, 06. 06 (Fri) 20:35

 今日は、公約通りですよ・・・!!
 どれくらいぶりだろう。
 自分の約束を守れたのって。
 その代わり、色々投げ出してますが、もうそんなこと考えないようにしようそうしよう・・・。

 週末は仕事で、月曜日はちょっと外出するので、続きは火曜日になります。
 うん、火曜日だぞ、私。
 次で終了予定。
 次で終わらせよう、私。
 ・・・これだけ呪文をかけたら大丈夫かな・・・。

 結局、この『秘密の花園』シリーズは短編を繋いで繋いで・・・話を形成する形になると思います。
 過去のことを途中で掘り出すこともあり、「もうええわ、そのエピソード・・・」と思われる事もあるかと思いますが、根気強くお付き合い下さい。
 一応ネットなどで調べたり、医師になった友人達から軽く聞いた話等を思い出したり統合したりして研修医システムなど書いていますが、現実と違っていたらごめんなさい。
 そもそも超大物政治家や財閥などは現代日本で存在しないことになっているので、ファンタジーの領域だと解釈してもらえば、助かります・・・。



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 ではでは、続きは本日またすぐにでも。


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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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『秘密の花園』-佳客の宴 4-



 洗面所に用意してあったルームウェアと新品の下着に着替えて出ると、ローテーブルでパソコンを叩いていた可南子が顔を上げた。
 しげしげと顔を見られて、「なにか?」とややつっけんどんに尋ねた。
「いえ・・・ね。今まで遠目に憲二さんを拝見したことは何度かあったのだけど、改めてお会いして本当に綺麗な人だなあと」
 屈託のない笑みを返されて、きまりが悪かった。
「遠目に?どうして・・・」
「こちらの女子たちがよく噂していたのよ。真神先生が時々工学部に近い方の職員専用カフェで物凄い美形と食事しているって。しかもその人はどうやらお兄さんらしいって、あっという間に詳細が耳に入ったし。あなた、大学内では結構有名なのよ?それに二人がが一緒に歩いているところを一度すれ違ったこともあるの。最初は私もびっくりしたわ。真神家の次男がこんなに綺麗な人だったなんてね」
 真神。
 この特殊な苗字を名乗る人は少なく、小さな頃から重荷を背負わされていた。
「私にも兄弟がいたら、こんな感じだったのかしら。いいわね、年が近くて繋がりの深い人がいるのって」
「一人っ子なんだ?」
「ええ。母の身体が丈夫でない上に色々あって。結局私しか育たなかった」
 なんでもないことのように笑い、手を差し出した。
「もう一度張り替えましょう。その絆創膏じゃ悪化してしまうわ」
 柔らかくて、優しい指先。
 どこか憲二と重なる空気に、それまでの肩のこわばりが解けていった。
「やっぱり、勝己はびしょ濡れになったのね」
 風呂場から聞こえるシャワーの音に、可南子は傷口を覗き込みながらくすりと笑う。
「なんだ予想通りなんだ」
 この分だと先ほどの騒ぎはここまで届いていただろうと肩をすくめた。
「ええ。だって、憲二さんがやんちゃだから。悪戯っけを起こすだろうなと思って」
「やんちゃだなんて、初めて言われた」
「それは嘘ね。まるで猫みたいに自由気ままで、のびのびとしていて。いつもはどんな患者の前でも泰然としている勝己が振り回されるのを、私は初めて見たわ」
「貧血起こしたり?」
 確かにそれは、自分も初めて見た。
 今日の勝己は、どこか違う。
「そう。それも初めてね。身内だとさすがの彼も平静でいられないのね、きっと」
「いや・・・。身内の時でも、勝己はいつだって冷静だよ。俺達はそれに何度も助けられた」
 姉の清乃が初夜に本邸内の新居で泥酔した夫からひどい暴行を受け、血塗れになった姿で翌朝発見された時、誰よりもいち早く行動したのは勝己だった。
 すぐさまバスローブで清乃を包み、抱き上げて母屋まで走り、両親に助けを求めた。
 重度のショックで心を病んだ清乃は静養先で何度も自殺や自傷をはかり、それを保護するのはいつしか彼の役目になってしまった。
 清乃のためにわざわざ転校した高校へは、最低限の出席日数しか行かず、泊まり込みの母と交代で看病、いや、監視していた。
 自分は、とてもそばにいられなかった。
 枯れかけた木のようになってしまった清乃は、もはや人ではないと思ったからだ。
 好きでもない男にずたずたにされて。
 あまつさえ、その時の子供を妊んで。
 その先に未来なんて、見えなかった。
 このまま、死なせてやればいいのに。
 そう思っていた。
 だけど、勝己は違った。
 心からも身体からも血を流し続けて、あの世へ行こうとする姉の手を、何があっても離さなかった。
 一度だけ、手を離してやれと、自分は言った。
 すると、離せない、離してやれないんだよと、勝己が途方に暮れたような顔をした。
 このまま、清乃を行かせてはいけない気がするのだと言われて、それ以上は言えなくなった。
 そして、今。
 清乃は生きている。
 そして、同じく彼岸と此岸の狭間で生まれた春彦も、育っている。
 勝己は、正しかったのだ。
「・・・姉と甥は、勝己に生かされてようなものだ」
 事件直後、清乃は人と接するのが駄目になった。
 治療の為に医師が近付いた時ですらPTSDを起こして倒れた。
 勝己が少し触れているとなんとか落ち着くようになったのは、いつの頃からだっただろう。
「そういえば、勝己は最初、精神科が心療内科を目指していたのよね」
「・・・そう、らしい」
 そんなことも、知ろうとしなかった。
 退院した清乃たちが再び故郷へ戻り、憲二が地元の大学の医学部でトップの成績を収めている間、憲二は東京の大学で気儘な独り暮らしを楽しみ、はては海外へ留学してしばらく戻らなかった。
 真神の家から逃げ出した自分を、未だにだれも責めない。
 あの、父ですら、だ。
 両手に乗るような小さな赤ん坊だった春彦はランドセルを背負うほどに成長し、清乃は完治していないにしても昔のような優しい笑みを浮かべるまでに回復していた。
 そして、そんな清乃に背中を押されて勝己は東京の大学病院の研修医となった。
 事態が好転してからふらりと戻ってきた自分を、まるで数日間の不在だったかのように自然に迎えてくれた勝己。
あまりにも自然だったから、そのまま甘えてしまった。
「・・・勝己は、優しすぎるのよね」
 的を射た一言に、はっと目をあげた。
「そうでしょ?」
 ゆっくりと絆創膏を巻きながら可南子は呟く。
「だから、甘えてしまうの。みんな」
 心地よすぎるのだ。 
 勝己そのものが。





                   -つづく-




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