『秘密の花園』-薄闇の桜 1- 

2014, 05. 16 (Fri) 20:45

 今日予定していたのはこちらの話ではないのですが…。
 先に言っていた方の『秘密の花園』が終了しなかったので、シリアスな方を。

 『秘密の花園』を初めて読まれる方は『まとめサイト』でどうぞ。

 ちなみに、兄が憲二、弟が勝己。
 5/20まで、出だしの名前を間違えていることに、私自身が気が付きませんでした。
 すみません、修正済みです。

 タイムテーブル見ながら、登場人物の確認をするへなちょこ作者。
 誰が現在どこに住んでるか、生きているか死んでるか何歳か…。
 エクセル表があって良かったけれど、今の状態だと、いつか破綻するわ…。
 ようは順番通りに書けば問題ないのに、このシリーズは行ったり来たりですね。

 時間軸としては『冬の薔薇』の一年くらい前。
 まだ、二人はちょっと仲の良い兄弟です。
 憲二が海外留学から戻ってきて同じ東京で暮しているけれど、憲二はハイソな地区で高級マンション、勝己は大学近くの築年数の古いアパートすれすれのマンション、という別居状態だけど行き来していました…と言うことで。
 ちなみに、憲二のドライビングテクニックにはモデルがいます。
 それは、実家の近所の奥さん…。
 小柄で上品ではきはきと頭の回転が良く、とても美しいマダムですが…。
 車に乗せて貰った時、何度気が遠くなりかけたことか…。
 いや、彼女が今まで無事だったなら、私が運転しても大丈夫なんじゃ?
 と、思いました。
 あと、昔の同僚。
 やむ得ない事情で上司たち三人を乗せて遠出することになった時、彼らの会話に加わろうとしたら、『頼むから、運転に集中してくれ!!』と悲鳴を上げられたそうな。
 どうやら恐怖を紛らわすために全員饒舌になっていた模様。
 ちなみに、彼女がその当時バックミラーを活用せずに運転していたことは、今でも秘密です。
 ・・・ふふふ。
 そんな二人をミックスしたのが、憲二です。

 SSは、この話の続きのような物を考えています。
 こちら話は三回くらいを予定していますが、果たしてどうなることか・・・。
 気長にお付き合い下さると嬉しいです。

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  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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  『秘密の花園』-薄闇の桜 1-

 身体の上に重みを感じて目を開けた。
「起きた?」
 鼻先数センチの所に、白い顔がある。
「けん・・・」
 呟くと、蜜色の瞳が金色にきらめいた。
「俺、さっき横になったばかりなんだけど・・・」
「うん。そうだろうと思ったけど起きて」
「・・・憲二、確かずっと忙しいはずじゃ・・・」
「終わった。だから来た」
 腹ばいになって胸元に顎を乗せ、らんらんと目を光らせている様は、まるで大きな猫のようだ。
 遊びたくてうずうずしている気配が全身からもれでている。
「桜を、観に行こう」
「さくら・・・?」
 夜勤明けで眠っているところにいきなり尋ねて来るなり、これだ。
「・・・桜って、まさかと思うけど・・・」
「うちのに決まってるじゃん」
 うち、とは本邸の庭のことで。
「ここからどうやって・・・」
「お前の車しかないだろう」
 兄の住まいからここまで車で30分以上かかるが、彼が運転してきた気配はない。
 どうやらタクシーを乗り付けたようだ。
「どうしてもと言うなら、俺が運転してやっても良いけど?」
「・・・いやいい。俺がやる」
 憲二の欠点の中で唯一で最大のものは、あり得ない運転技術の未熟さだ。
 見栄えの良い高級車を所持しているくせに、アクセルとブレーキは踏むか離すかで中間はなく、思いついた瞬間にハンドルを切り、ミラーを確認している気配すらない。
 彼はすべての運を運転中に使い切っているとしか思えず、助手席に乗っているといつでもあの世への切符を握っている心地になる。
「なら、早く。俺は待ちくたびれた・・・」
 しまいには髭の生え始めた顎をぞりぞりと囓られ初めて、降参した。
 猫と兄には敵わない。
「・・・シャワー浴びて、コーヒー飲むくらいはさせてくれ」



 平日と言うこともあって、休憩を取りつつもなんとか四時間程度で辿り着くと、乱反射する光の中にうっすら夕闇の気配が迫っていた。
「これはこれで、おつなものだよな」
 満足げな笑みに、喜びでいっぱいになって疲れを忘れる自分はつくづく馬鹿だと思う。
 だが、それが見たくてここまで来たのだから仕方がない。
「・・・母屋へいかないのか?」
 門を開けて車を入れた時に家政婦たちと顔を会わせている以上、自分たちが来たことはとうに知られている。
「誰が行くか」
 憲二は父を嫌い抜いている。
 父も随分歳を取り、婿に後継を譲って政界から離れていきつつある今、東京ではなくこちらに身を置くことが多くなった。
 憲二自身、留学から帰ってきて日本の大学に籍を置くことになったからにはいくらでも会う機会がある筈だが、里帰りしたとしても頑として自らの育った離れにしか足を向けず、正月ですら挨拶に出向くことを拒む。
 憲二は、生まれる前から、父を憎んでいたという。
 父は、憲二を宿した母に、自らの子と解っていながら女でないなら堕ろしてしまえと宣告していた。
 理由は、のちのちの跡目騒動になるからという。
 前妻の遺した兄の俊一を溺愛し、彼の情操教育のためだけに母を後添えにした父は、姉の清乃のように美しく、俊一の役に立つ女子しかいらないと、顔を会わせる度に言い放ったらしい。
 当時の担当医師の診断では、女の子。
 おかげで胎児は中絶時期を乗り切った。
 しかし、難産の末に生まれた赤ん坊は、あろうことか男の子だった。
 出産にも立ち会わなかった父は、それを知った途端激怒して、名前をなかなか付けようとしなかったとも聞いている。
 その事実を、憲二は言葉もよくわからない頃から大人たちの同情の眼差しと囁きから敏感に感じ取ってしまった。
 大人はいつでも侮るが、子供は想像以上に繊細で、鋭い。
だんだんと表情が消え、言葉を発することが出来なくなった。
 兄と姉に劣らず顔立ちの整った憲二は非凡なほどに賢い子で、一歳になるかならないかの頃から回らない舌で明るくさえずるように喋っていたと、古参の家政婦たちは懐かしんでいたというのにも関わらず、だ。
 何も話さず、何にも心を動かされない。
 石のようになってしまった憲二を、清乃と母が抱きしめ続けた。
 そんな時に、自分は生まれた。
 おそらくは、言葉を失った憲二のために。



        -つづく-


 
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