『女王様と俺-百年の、孤独-』-8- 

2014, 02. 24 (Mon) 19:47

 今日は、長いです。
 多分、いつもの三話分くらいあるかと思います。

 今更なんですが。
 「きょうはいちにちきゅうようじゃ・・・」と布団の中で丸まって、来月の仕事のシフトを眺めているうちに血の気が引きまして。
 年度末と諸事情から、かつて無い過酷な日程ということに今更気が付きました。
 
 丸まっている場合じゃない!!

 がばっと飛び起きて、あわあわと行ったり来たりした末に、とりあえず、一つずつ片付けようということでとりかかったのが、これです。
 そ、それなりに出来上がって良かった・・・。
 別邸いじりはまた後日に持ち越しですが、とりあえず、『百年の、孤独』はこれで完結です。
 次はバレンタイン話ですね。

 それと、冊子化の件、まだ諦めていないので、それは水曜日以降に頑張ろうかと・・・。
 やるってば、やりますよ・・・。
 とりあえず、印刷屋の目星は付けたので、三月の稼ぎをつぎ込むつもりでやりますよ。
 そう思ったら、なんとかあのシフトも乗り越えられそうな気がするんだ・・・。
 普段がのんびりシフト過ぎるんだろうなと思いつつ、乗り越えたら何か違う自分になっているのではないかという期待もあったり。
 とはいえ、せいぜい片仮名を覚えたひな程度(@ばらかもん)の成長だろうけれど・・・。 

 もうBLなんだかよくわからない小説を書き続けていますが、それでも読んで頂けたら嬉しいです。
 
 ではでは、頑張ります。



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  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、真神勝己の若い頃の恋人の話で『秘密の花園 冬の薔薇』です。
  女性と付き合っていた頃の、話です。
  
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『女王陛下と俺-百年の、孤独-』-8-


 佐古同様、長谷川自身も幼い頃から実家との折り合いがうまくいかなかった。
「まだ、子供だったんだ。高熱を出したのに家の中はがらんどうで、母親から珍しく電話がかかってきたかと思うと、病状を聞くなり自分たちに感染したら困るから、今後は絶対神戸へ来るなと一方的にまくし立てられた」
 その年は姉の成人式で、一年近く前から高名な作家に依頼して辻ヶ花の振り袖を仕立てて、一月はあらゆる社交場でお披露目をする予定だった。
 それなのに、風邪に感染すればぶちこわしになってしまうという。
「さらに何処を受験するかも聞こうとせず、ただ、関西へは来るなの一点張りで。どうせ関東へ行くなら姉の経歴に傷が付かない女子大にしろ、そして受かったなら連絡しろ、納得のいく大学なら授業料を払ってやっても良いとまで言われた。最後まで大丈夫かの一言はなかった。父が帰国できない状態なのも知っていたはずなのに」
 長谷川が中学生の頃、派閥争いに巻き込まれて福岡へ飛ばされていた父は二年前にアジア支局長として昇進、東南アジア在住となり単身赴任中だった。
 もちろん年末年始から旧正月にかけてと責任者ゆえに身動きがとれるはずもない。
「なんのために、なんの意味があって自分は生まれてきたのだろうと、さすがに思った。誰にも必要とされていないのに、生きている意味はあるのかと」
 間の悪いことに、こんな時に限って鎌倉の祖母も悪性の風邪を引き、入院する騒ぎになっていた。
 更に中学生のころから一番仲の良い友人は、アメリカで音楽を学ぶために終業式を待たずに渡米して不在。
「あの大晦日は、独りだってことが、一番身に染みた日だったんだ」
 大晦日に、同級生たちに誘われて加わった年越しの初詣。
 大はしゃぎの友人達、そしてたくさんの参拝客の中にいる時は、その熱気に取り込まれていて暖かかった。
 でも。
 帰宅して独りになると一変した。
 社宅として用意されたマンションはただただ広くて、寒かった。
 コートも脱がずにリビングに座り込むと、涙が溢れてきた。
 音のない世界。
 何もない。
「だから、強く、強く願ったんだ、家族が、欲しいと」
 家族が欲しい。
 そばにいてくれる、誰か、が欲しい。
 ほんのすこしでいいから、温もりが、欲しい。
 ほんのすこしでいいから、かみさま。
「そうしたら、樋口が、来た」

 樋口賢吾。
 バスケット部の主将。
 同じ運動部の部長として良い仲間だった。
 すらりとした体躯と甘めの笑顔は女の子受けがよくていつも華やかで、自分とは少し交友範囲が違ったので、深い言葉を交わすことのない友人の一人。
 それなのに。


 「少し、様子がおかしかったから」

 ほんの少し前に地下鉄の改札口で大勢の仲閒と解散した筈の、樋口が立っていた。
 彼の目の中にあるのは、ただただ、暖かな気遣いだった。
 父親が単身赴任でほぼ独り暮らしなのは、同級生ならたいてい知っている。
 でも、自分たちは受験生で、大晦日は家族で過ごすもので・・・。
 まさか、誰かが来てくれるとは思わなかった。
「初日の出まで、一緒にいよう」
 そう言って、コンビニで買った少しの食べ物と飲み物を手に少し照れたように笑う彼に、駆け寄ってしがみつき、声を上げて泣いてしまった。
 驚いたに違いないのに、訳も聞かずに抱き返してくれる彼の腕は、とても温かくて、ますます胸が苦しくなった。
 そのまま指を絡めて、唇を合わせて、どちらからともなく肌を合わせて、朝を迎えてしまった。
 朝日が昇って部屋をゆっくり照らし、身体を重ねたままようやく二人で言葉を交わし始めたその時に、ドアのチャイムが鳴った。
 やってきたのは、父の末の妹だった。
 鎌倉から事情を聞いた途端、仕事を放り出してパリから飛行機に飛び乗って駆けつけてくれたのだ。
 彼女が抱えてきたたくさんの土産と華やかな空気と元気なおしゃべりが部屋いっぱいに満ちて、初めて笑いがこみ上げてきた。
「あら?もしかして私、お邪魔だったのね?」
 三十分も経ってからの叔母の発言に、顔も洗い損ねて圧倒されていた樋口がたまらず吹き出す。
 ホットチョコレートを三人で飲んで、それからまもなく樋口は家を辞した。
「良かったな」
 そう笑って手を振ったのが、彼と交わした笑顔の最後になった。

「結局、その後すれ違いが続いてきちんと話ができないまま卒業式目前になって。遅まきながらその頃に妊娠に気が付いた」
 妊娠検査薬にしっかり表示された陽性反応に、膝が震えた。
 しかし、婦人科を受診した時に医師がモニターに映る小さな影を示して「産みますか?」と尋ねられた時、ふいに背筋が伸びて「産みます」と答えていた。
「私が一番迷ったのは、産むかどうかではなく、妊娠を樋口に話すべきか、だった。話せば、きっと・・・」
 成績優秀だったはずの樋口はことごとく受験に失敗して浪人が確定、かたや長谷川は受験大学のほとんどを合格、しかも関東に進学が確定していた。
「責任とれないと言われる?」
 言葉を選んでくれた池山に苦笑する。
「いや、それは状況で解りきっているんだけど・・・。彼の口から言われたくなかったのかな。あの頃はまだ、自分にとって大切な思い出だったんだ」
 知らせないほうが、綺麗な思い出を抱えて子供を産める。
 でも、それは身勝手な願望ではないか。
 独りで産むなら、これからたくさんの事と遭遇する。
 樋口との別れは、一番最初に向き合わねばならない現実だった。
「彼は、優しかったと思う。会えない数ヶ月の間にすっかり疲れ切っていたようなのに、しばらく考えた後に、身体の心配と、手術費の負担、そして付き添うべきかと聞いてくれた」
 本当は、どこか期待していた。
 手を取って、何か、言ってくれるのではないかと。
 少女めいた期待が、捨てられなかった。
 だけど、彼は、身動き一つしない。
 誰もいない教室でしらじらと会話が続き、あの夜の熱はどこにもなかった。
「そうなると私も冷静で、手術の申請書に名前を書いてもらえたらそれだけでいいと答えていた」
 彼は素直に自分の名前を記入し、更に近所のATMで現金を下ろしてきて「少ししかなくてごめん」と数万円渡してくれた。
 金は受け取れないと首を振ると、その時初めて両手を取って封筒を握らせてくれた。
 彼の手は、ひんやりととても冷たかった。
 これで、終わりなのだと、観念した。
「ようするに、きっぱり振られたんだよな、あの時」
「・・・笑うところじゃないだろ、そこ」
 苦しげな声に、ふと頬に手をやる。
 ・・・笑っていたのだろうか、今。
「でも、樋口のおかげで、私は家族を手に入れた」
 家族が欲しい。
 そう強く願ったら、授かった子供。
「開は、神様からの贈り物だと、今でも思う」
 今度こそ、心から笑う。
「家族は、開だけで十分だよ」
 多くを、望んではいけない。
 私は、唯一のものを手に入れたのだから。



「つくづく厄介な女だよな、あいつは」
 棚の下から灰皿を取りだして、煙草を口にくわえた。
 ライターの火がジジジと先端を焼く音が、やけに大きく聞こえる。
 ゆっくり吸い込んで、ぷかりと白煙を吐き出した。
 長谷川が出て行ったのはもうかれこれ三十分前だが、彼女の残した空気が、まだ漂っている気がする。
 色に例えるなら、濃紺の、闇だ。
 夜明けを待つ、空の色。
「やっかいというより・・・」
 ゆっくりと後ろから大きな身体に包まれる。
「頑固?」
 ぽすんと背中を暖かな胸板に預けた。
「・・・いや、そういうのではなくて・・・」
 言葉を選ぶ優しい男に腕に頬を寄せて笑った。
「いや、ものっすごい頑固なんだよ。本当は好きなくせに」
 多分、きっと。
 自分の勘が正しければ、高校時代から憎からず思っていたに違いないと思っている。
 そうでなければ、この長い年月の理由が付かない。
 そうでなければ・・・。
 身体を開いたりする女ではないのだから。
「厄介と言うより、因果なのか・・・」
 一番大切な男の腕の中に素直に飛び込めないなんて。
「百年の、孤独、かあ・・・」


 孤独しかしらない彼女は、温もりが、怖いのだ。
 ようやく息子という小さな命を手に入れて、離したくないという思いもあるだろう。
 彼女の腕の中は暖かくなった。
 でも、背中はいつまでも寒いままだ。
 それを包み込んでくれるのが立石だろうに、彼女は、温もりを遙かに超えた情熱を、恐れている。
 掴まったら、全て失うと言うかのように。

「美味しい、お酒でしたね」
「ああ、まあな。だけど・・・」
 たった一口しか吸わなかった煙草を灰皿に押しつけ、江口の首に腕を回す。
「たとえ、どんな美味い酒になろうとも、俺はごめんだな」
 唇の、熱を求めた。
「お前なしの毎日なんて、耐えられないよ、耕・・・」


 唇に熱を、
 両腕に確かな存在を。
 抱きしめて、抱きしめられて
 初めて人は、孤独の味を知る。





       -おわり-






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