『女王陛下と俺-百年の、孤独-』-4- 

2014, 01. 29 (Wed) 20:12

 今年最初の話がこれで大変申し訳ないのですが・・・。
 そして、今回も終わらなくて、もう少し続くのですが・・・。
 どうか懲りずにお付き合い下さい。
 ぜんっぜんBL要素がなくてごめんなさいごめんなさい。
 もはやこれを読んで楽しんで頂けるか解らないけれど、書かずにいられないのですよ・・・。

 話を始めるにあたって、一番最初に説明しましたが、ちょっと過去の話です。
 今回になってようやく、『恋の呪文』と『恋愛事情』の間、と言うか、今頓挫している『恋愛事情』に繋がる所に辿り着きました。
 道のりはまだまだ長いが、頑張れ岡本。


 ああ、一月の拍手御礼SSすら手つかずですね・・・。
 しかも、気が付いたらもう二月って、なんの罰ゲーム!!
 とっととこの話を終わらせたら、去年中断した『バレンタイン・ラプソディ』に取りかかる予定なので、どうかお見捨てなきよう・・・。 
 問題はSSだよな・・・。
 とりあえず、次の小説更新は金曜日の予定です。



 ※ 拍手コメント下さったくろうさ様。
   コメント有難うございます。
   御礼ページに返事を書きましたので、ご覧下さい。





  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


ブログランキング・にほんブログ村へ


   拍手小話はこちら →

『女王陛下と俺-百年の、孤独-』-4-



「ほら、腰を上げて」
 またもやぼんやりしている間に、今度は脱げた靴下を履かせ、カーゴパンツも両足通され、ご丁寧に尻まで上げさせたあと、チャックゆっくり引き上げて最後にボタンを留めたあと、臍の上をぽん、と叩かれた。
「終了」
 最後にまるで犬にでもするかのように雑に頭を撫でられて我に返る。
「手早いなあ。さすが一児の母」
 テーブルの向こうでは、池山が煙草をふかしながらにやにや笑っており、その傍らでは江口が不自然にそっぽ向いていた。
 ・・・ようするに、この二人はずっとここにいたわけで。
「・・・普通、助けるか、退場するかじゃないのか、ここは」
「え?二人きりにして良かったの?」
「んなわけあるか。それよか、人の窮地を鑑賞してるお前の心根がわからねえよ」
「んん?だって、どうなるのかな~って、興味が・・・じゃなくて、心配だったから?」
「池山さん・・・」
 絶対、好奇心だけでここにとどまったに違いない。
 とりあえず、カラカラに渇いた喉を手近なところにあったミネラルウォーターを一気飲みすることで癒した。

「では、ここで耳寄りな情報を一つ」
 相変わらず、人を食ったような物言いに心乱される。
「・・・なんだよ」
 壁にもたれ、片膝を立てた楽な姿勢で焼酎を飲み直している長谷川は、先ほどの妖艶な空気を取り払い、いつものとり澄ました笑いを浮かべていた。
「有希子さんは今、史上最大のモテ期に取り憑かれている」
「・・・は?」
 聞き捨てならない話に、うっかり食いついてしまう。
「今までも充分もてていたが、ここまで過酷な状況はなかったと思う」
「・・・解りやすく言えよ」
「うちの祖母が上層部のとある茶事で、愛弟子はいまフリーだと漏らしてしまった。なので、現在、御曹司が三人、あの手この手で追いかけ回して、疲労困憊だ」
「・・・なんでそうなる」
「五年くらい前の春だったかな。本部主催で若手を集めた講習会に私と有希子さんは参加した。その一週間の合宿に参加した、もしくは携わった男性たちは皆、有希子さんの虜になったよ」
「あれ?それ、千鶴は一緒じゃねえの?」
 池山の姉の千鶴は、高校生の頃から有希子とともに長谷川の祖母に師事している。
「年齢制限があるんだ。二十代前半のみと。千鶴さんはもう少し前に参加してる」
「なんでそんな区切りがあんの?」
「茶事の基礎の学び直しもあるが、若手の育成と交流が目的。それから・・・」
「もしかして、そっちの出会い?」
 珍しく言葉を選ぶ長谷川に、池山がにんまり笑う。
「まあ、そういうことだな。講習会である程度の立ち居振る舞いの出来ると師匠が判断して推薦した、自分で言うのも何だが選りすぐりの弟子たちばかりだから・・・」
 と、そこでふと思い出したように振り返り、じっと岡本の顔を見つめた。
「そういえば違う班で鹿児島から女性でとても目立つ人がいたが、もしかしたら・・・」
 言われてぴんとくる。
 その講習に参加できるのは、当時ぎりぎり25歳の三姉の祐未しかいない。
「・・・ゆみ。岡本祐未か?」
「ああ、そうそう、そんな名前。やっばりお姉さんだったか」
 姉の何が目立っていたのかは、あえて聞かないことにした。
 それよりも、現在のことだ。
「・・・で。なんで今なわけ」
「もちろん、当時も初日から稽古中以外は少しでも近付こうとして場外乱闘気味だったさ。だけど、本気で勉強しに来た有希子さんがご立腹で、『ステディな恋人がいるから、ほっといてくれ』と切れたんだよ」
「ステディな恋人・・・」
 さらに聞き捨てならない情報の連続である。
「ああ、ソイツとはもうなんでもないから。とっくに切れて、たしかもう家庭を持ってる」
 横から池山にひらひらと手を振られて、岡本の眉間に皺が寄った。
「なんでお前が・・・」
 きっと睨まれて、池山は逃げ腰になる。
 視線だけで殺されそうだ。
「んー。ちょっと知合いだったから。だから、まあ、正確な情報?」
 本当はそうでなく、今までのあれやこれやを始まるたびに事細かに聞かされて暗記してしまい、もはや時系列に表が作れそうだとはさすがに言えない。
 有希子は、楚々とした見た目に反して超肉食派だ。
 立石に片思いしていたここ数年ですら、並行して付き合った男性はそれなりにいる。
 好きだからこそ、知りたくないこともあるだろう。

「まあ、いわゆる狩猟解禁状態にしてしまったんだよ、祖母ともあろう者が」
 しかし、無頼派とも言われた作家の夫を支え、かつ茶道界でもそこそこのポジションに君臨する祖母にうっかりはありえないと、長谷川は密かに思っている。
 なんの意図かはわからないが、あれは、わざとだ。
「ここまで追い込まれると、もうこの際どれかにしてしまうかという事態になりかねない。しかも、全員、即結婚を目論んでいるから、かなりキケンだよ」
「有希子もイイ感じの年になってきたしねえ」
「更に言うならばそのうちの1人は、他の弟子と付き合っていながら参戦するために破談にして、ちょっと各方面こじれている」
「うわ、最悪。ねーねー、それで?」
 キラキラと眼を輝かせて身を乗り出し、ゴシップを楽しむ池山に腹が立ってきた。
 岡山は正面から池山の額を掴んで思いっきり押した。
「うわ、なにすんだよ?」
 ころん、と転がったのを隣の江口が抱き留める。
「・・・ちょっと、お前、黙ってくれる?」
「・・・はい」
 少し不服そうに唇を尖らせて池山は引いた。
「何故、今、それを俺に教える?」
 手を伸ばせば届きそうな距離に対峙していながら、遠く感じる。
 彼女が、何を考えているのかが全く解らない。
「・・・そうだな・・・」
 先ほどと変わらず壁にもたれて粗野な仕草で酒を飲む。
 しかし、前のように男性的と見ることができない。
 むしろ、恐ろしいほど、女だ。
「慰謝料・・・というか」
 アルコールで湿らせた唇が、ゆっくりと蠱惑的な形を作り出す。
「・・・は?」
 首をかしげると、花が開いたかのような柔らかな笑みをふわりと浮かべ、信じがたい言葉を口にした。
「お触り代?」
「ああ?」
 ぷっふーっと、吹き出すのが聞こえる。
 続いて、ぎゃはははっと池山が腹を抱えて転がりだしたのを目に止めた瞬間、沸点を極めた。
「・・・!!帰る!!」
 手早く荷物をまとめて、岡本は足音も激しく部屋を後にした。
 後ろから江口が何かを言ったような気がしたが、もうどうでもいい。

 とにかく、あの女に関わるのはもうごめんだと、心底思った。




       -つづく-






      < ↓ポチリとしてくださるとうれしいです↓ >

  br_decobanner_20100412095827.gif  にほんブログ村 小説ブログ BL小説へにほんブログ村
スポンサーサイト

タグ:続きを読む

コメント

コメントの投稿

非公開コメント