『秘密の花園-夏の夜明け-3』(真神俊一) 

2013, 07. 05 (Fri) 23:40

 お待たせしました。
 なんとか、完結です。
 途中で出口が見つからなくなって、どうしようかと思った・・・。

 描きたいことはいっぱいありましたが、あえてこの辺で。
 ・・・って、だらだら描きすぎたような気もするし、削りすぎたような気もするし。
 こんな話ですが、このシリーズも応援して頂けると嬉しいです。

 明日は仕事が忙しいのでお休みです。

 明日の夫のお昼を冷凍ナポリタンとトーストと河内晩柑にするつもりだったのですが、今日のあまちゃんを見て吹きました。
 そうか、ナポリタンはあばずれの食べ物なんだ・・・。
 意外とおいしいのに、ママーのナポリタン。

 ついでに、ちょっと昔見た昼メロを思い出しました。
 「この、あばずれめ!!」とか、「この、どろぼうねこめ!!」と、なんのプレイかと笑いたくなるほど辱めの言葉の洪水だったよな。
 今も、あのチャンネルは健在なのかしら。

 峰岸母は陰口を叩かれた口ですが、きっと、言われた瞬間「・・・ぷっ」と吹き出したことでしょう。
 時と場合では、爆笑ものだと思うのですよ・・・。
 あ、でも、韓国恋愛ドラマ格差ものだと、彼氏の母などがたいてい水をかけながら言いますね。

 現実では、なかなか吐けない台詞です。

 ではでは、また。



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  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『秘密の花園』の、真神家長男とそのつれあい。
  しかも、攻めサイドです。
  お題は『秘密の花園-夏-』(もう、なんもおもいつかん・・・)。

  楽しんで頂けたら幸いです。


 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
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  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『秘密の花園 ー夏の夜明けー③』



 父は、生母の光子を心から愛していた。
 光子だけしか、見えない。
 真神家をもり立てること、そして、光子の残した俊一を高みへ上げることだけに、父は心血を注いだ。
 俊一が後を継ぐ時に、盤石であること。
 それだけが父の望みであるのは、誰にでも容易に推測できた。
 歪んでいる。
 妄執だけがそこにある。
 その歪んだ王国の中に、自分は一人囚われなければならないのか。
 机の下ですべてのからくりを知ったあの日から、父が、心底恐ろしかった。

 あの日。
 事が終わって二人がそれぞれ立ち去ったあとも、衝撃に震える自分をただ黙って抱きしめ続けてくれたのは覚だった。
 覚の、熱い身体。
 じんわりと立ち上る汗。
 そしてそれに混じる芝生と土の香り。
 どこか、ひなたの匂いがした。
 ゆっくりとした呼吸が心地よく、じっとしがみついているうちに夜は更けていった。
 あの日の空も、ちょうどこんなに静かな朝靄に包まれていた事を思い出す。
 静まりかえった邸内の湿り気のある芝生を、二人で手を繋いで歩いた。
 寝室へ戻る気には到底なれなくて、書斎から一番離れている池を目指す。
 回遊式日本庭園になっている大きな池の中のほとりに、昇ると見晴らしの良い大きな岩があり、まだ小さかった自 分たちが横になっても大丈夫な大きさだった。
 そこへ二人でよじ登り、そのまま両手両足を投げ出して仰向けに寝転がった。
 明けの明星が、消えようとしていた。
 二人で指先だけを絡ませて、じっと空を見上げ続けた。
 やがて朝陽に夜の気配がおしやられるその時まで。
 覚が、いてくれたから。
 また起き上がって、歩き出せた。
 何事もなかったかのように朝を過ごせた。

 思い出も記憶も心の痛みも、そして身体の全ても、覚に知られていないことは何一つない。
 身体を繋げて、ますますそう思うようになった。
 伴侶、比翼の翼、それを表わす言葉はいくらでもあるだろう。
 でも、そんなものでは足りない。
 出会って十年。
 覚のいない生活なんて、考えたことがなかった。

「さとるは・・・。どうなるの」

 僕は、どうすればいいの。

 悲鳴を上げてしまいそうだ。
 息の仕方も、わからない。

「急なことで、手続きが難航しているが・・・。準備が整い次第、留学させることにした」
 留学。
 なんとか祖父の言葉を理解しようともがいた。
「いったい、どこへ・・・」
「それは、教えられない」
「なぜ」
「知ったら、会いに行かずにはいられないだろう?」
 その通りだ。
 今、この時も会いたくて、会いたくて仕方ない。
「ぼくも、僕も行かせて、お祖父様。きちんと二人で勉強します。だから・・・」
 祖父の膝に縋った。
 あの時から、肉親にこうしてすがりついたことなどない。
 真神の跡取りとして、いつも立派に振る舞うように努力してきたつもりだ。
「覚を、僕から取り上げないで下さい・・・」
 動かない祖父の膝に顔を伏せて懇願した。
「引き離すつもりは、ない」
 優しく頭を撫でられた。
「だが、このままでは間違いなく、覚が潰されてしまうだろう」
 静かに下りてくる、重いため息。
「芳恵にも類は及ぶだろうよ。それしか、あれには落としどころが見つけられないだろうから」

 俊一は、芳恵が好きだ。
 愛して、いる。
 若い身空で、一歳に満たない自分の母親になり、実の子以上に慈しんでくれた。
 たとえそれが父からの愛を得るため行動だとしても、充分だった。
 白い花のような、美しい母。
 何度父に踏みつけにされても、汚れない母。
 この世で一番、美しい、ひと。
 覚と同じくらい、なくてはならない人だった。
 遺影の中で高慢な笑みを浮かべる母を慕ったことは一度もない。

「どうして・・・。お母様に」
「光子の後継が、この先遺せなくなるかもしれないからだよ」
「・・・!」
 顔を上げると、灰色にけぶった緑の瞳がじっと見つめていた。
「覚を、愛しているのだろう」
 唇が、動かない。
「覚しか、駄目だろう?」
 祖父は、知っているのだ。
「・・・いつから・・・」
 声を絞り出すと、少し困ったように眉を寄せた。
「そうさな・・・。いつだったか・・・」
 ぽんぽんぽん、と、頭を手の平で軽く叩かれる。
「昔は、惣一郎のように真神を繋げることしか考えられなかったが・・・。もうそろそろいいのではないかと思うようになった」
 どこか、遠くを見つめる祖父の瞳。
「もう、十分だろう。先祖も、まさかここまで続くとは思わなかったのではないか・・・とな」
 少し前まで絶対的な当主だったはずの彼の身体から、少しずつ何かがこぼれ落ちていく。
「私に残されている時間は、実のところあまりない。その前に、出来る限りのことをしておきたい。・・・すまない、俊一」
「出来る限りのこと・・・」
「・・・あれは、そんなことは一言も頼まなかったが・・・な」
 寂しそうな笑みに、峰岸夕子を思い出す。
 一部からは女狐とそしられながらも、祖父に付き添っていた女性。
 都内で贅沢三昧の生活をしている祖母よりも、二人の姿は自然に見えた。
 控えめで、たおやかで、芯の強い女性だった。
 死の床ですら毅然とした態度を崩さなかったと、臨終に立ち会った芳恵は泣いた。
「覚を守りたい。芳恵と子供たちも守りたい。私の望みはそれだけだ」
 しかし、それすらこのままでは難しいのだと、噛んで含めるように言われた。
 十五歳の自分たちは無力だ。
 大人達の思惑で、簡単に壊されてしまう。
「お前も、容易く壊されない男におなり」
 静かな、静かな声。
「永遠に、共にいたいなら、強くなれ」
 手を強く握られて、祖父の想いを知る。
「いつか、必ず覚は帰ってくる。だから・・・」


 それまでに。

「でも・・・」

 わからない。
 わかったけれど、わからない。

 強くなるって、どのくらい。
 たった独りでどうやって。
 立ち上がることすら、出来ないのに。

「それでも」

「それでも・・・」


 いつのまにか、明けの明星も消えて。
 鳥の鳴き交わす声が響く。

 いつもの、朝が来て。

 夏風が吹く。




            -おわり。-






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