『秘密の花園-夏の夜明け-1』(真神俊一) 

2013, 07. 02 (Tue) 19:43

 ・・・あれ?
 ちょこっと書けば終わるつもりだったのですが・・・。
 すみません、続きます。
 しかも、どうしようもないところでいったん切ります。

 これは、今月の拍手御礼SSの『秘密の花園-夏-』の対になる話です。
 あまりにも長いので、私自身がめまいを起こしている・・・。
 なれそめとか、そんなに長くなるはずではなかったのに。
 というか、真神家のヒミツをここまでさらすつもりはなかったんですけどね・・・。

 明日、続きを書きます。
 まだまだ爆弾があります。
 今度こそ引かれてしまうのではないかと心配なのですが、毒を食らわば、と、突っ走る予定です・・・。

 ちなみに、構想練って燃え尽きて、うたた寝していたところに宅急便屋の若者がやってきて。
「お、おやすみのところをすみません・・・」
 と、恐縮されてしまいました。
 見るからに寝起きだったんだろうな。
 これでも、五時起きで旦那送り出して家事を一通りやってたんだから!!と言い訳をしたくなりましたが、寝型ついた顔をさらしつづけるのは凶器に等しいので、あきらめました・・・。
 家にいる時は、本当に人ではありません、私。



   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『秘密の花園』の、真神家長男とそのつれあい。
  しかも、攻めサイドです。
  お題は『秘密の花園-夏-』(もう、なんもおもいつかん・・・)。

  楽しんで頂けたら幸いです。


 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。



 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 とくに、励ましの拍手をクリックして下さる方へ。
 本当にありがとうございます。
 頑張ります。

 もしもよろしければ、一言、くださいね。
 お待ちしています。





  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


ブログランキング・にほんブログ村へ


   拍手小話はこちら →

 『秘密の花園 ー夏の夜明けー①』



「ん・・・」
 指先がかくん、と空を掴むのを感じて意識が戻る。
 手の平の中には、ひんやりとした空気。
 真新しすぎるシーツが肌に違和感を覚えさせ、目を見開く。
 ここは、覚の部屋。
 だけど、覚の気配がしない。
 力の入らない身体に焦れながらなんとか身を起こすと、つい先ほどまで指を絡めてくれていたはずの男を呼ぶ。
「さとる・・・。覚!!」
 どんなに叫んでも、いらえはない。
 這いずるようにベッドから下りて、震える手足に舌打ちしながらなんとか衣服を身につける。
 動けない代わりに、まだ薄暗い部屋に視線を走らせた。
 家財道具に変わりはない。
 でも、昨夜この部屋に入った時に見かけたバッグや上着、そして母親の位牌が消えている。

 覚が、出て行った。
 覚は、帰らない。
 頭に血が上り、くらくらと目眩がした。
 呼吸が、うまくできない。
 でも、追いかけないと。
 もう、二度と会えないかもしれない。
 とめないと。

 裸足に靴をひっかけて外に出る。
 膝に力が全く入らない。
 走りたいのに、走れない。
 まるで自分のものではないような足をなんとか前に進めようともがきながら、生け垣を抜けると、開けた芝生の真ん中に、車椅子に乗った祖父が秘書の一人を従えて白みかけた空を見上げていた。
 自分がこのようなさまで出てくることを予想して待ち構えていたのだと瞬時に悟り、かっと頬が染まる。
「あなたですか、覚を・・・、覚をどこにやったんです!!」
 みっともない自分の叫び声が、広い花園に虚しく響き渡った。
 振り返った祖父の哀れむような表情が全てを物語っている。
 覚は、手の届かないところへ行ってしまった。
「覚を・・・覚を帰して、覚を返してお願いだから・・・」
 もう、一歩も前へ進めない。
 じんわりと湿り気のある芝生に膝を着き、祖父の足下に倒れ込んだ。
「おねがい・・・。おねがいします、お祖父様」
 手の平と、額を芝生にすりつけ懇願する。
「・・・顔を上げなさい、俊一」
 祖父の声は静かで、まるで立ちこめる朝靄のようだった。
 肩で息をしながらゆるゆると視線を上げると、記憶の中よりもいくぶん小さくなった顔が見下ろしていた。
 祖父も、随分とやつれている。
 住み込み家政婦の一人だった覚の母が亡くなって、まだ十日あまり。
 小柄な身体でこまめに働き、いつでも弁えている彼女を、祖父はいつの頃からか愛人にしていた。
 それが単なる出来心でないことは、誰もが承知している。
 連れ子の覚の養育費も祖父が出しているという噂はこの土地の者なら一度は耳にするくらい、大切にしていたはずだ。

 なら、なぜ。

 ぺたんと正座すると、秘書の手を借りて祖父も芝生の上に腰を下ろした。
 正面から見据える祖父の瞳は、やや緑がかっている。
 欧米人の緑とはまた違う趣の、不思議な色だ。
 真神家は遡れば古代にまで繋がると言われる古い家で、その名残が瞳の色に時々出ていた。
 父の惣一郎と、今年生まれたばかりの弟の憲二はどちらかというと光の加減で黄金色に見える。
 生母の光子が関東古来の名家だった自分は、彼女の家系を継いだらしく、髪も瞳も闇のような色だった。妹の清乃も真神家の分家筋から来た継母の芳恵をそのままコピーしたかのような容姿だが、瞳の色は同じく漆黒で、なんとなくそこが愛しく感じた。
 真神、とは、古代は狼を意味していたとも言う。
 人と獣の間に子どもが出来ることはあり得ないが、それを信じさせたくなる非凡な力を、祖父と父、そして弟の瞳は宿していた。
 日本狼はとうに絶滅して。
 しかし、真神家は現代まで脈々と続いた。
 何事にも続けるにはそれなりの努力がいる。
 そのためになんらかの犠牲を払われ続けてきたことは、その血脈と同様に暗黙の了解だった。
 俊一も物心が付いた時から、それが当たり前だと思っていた。
 しかし。
 覚が現われてから、それがだんだんと変わっていった。
 いつでも優しく接してくれる芳恵と血が繋がっていないと知って以来、どこか虚ろになってしまった自分の心を、覚が満たしていく。
 最初は、家政婦の子だから、自分の召使い。
 そんな扱いをしていた。
 寝室に侍っていたぬいぐるみのクマも、父に与えられた洋犬も、決して話し相手になってはくれない。
 でも、覚は言葉を理解するし、一緒に木に登り、時には喧嘩もしてくれる。
 どこか遠慮がちな地元の子供たちや親戚たちよりも近い距離に、同じ年の覚がいることがだんだんと嬉しくなった。
 毎日毎日、真神家の広い敷地内を覚と走り回っているうちに、身体も丈夫になっていく。
 父が東京に出かけていない夜は、こっそり覚の部屋に忍び込みじゃれ合いながら眠りに就くのを、芳恵を始めとした家の者たちは見逃してくれた。
 もはや召使いではなかった。
 無二の親友だと思った。
 そして、身体がいわゆる第二次成長期を迎えた頃。
 覚を思うと、頭がぼんやりするようになってきた。
 漁師だった父の骨格を受け継いだ彼は、十二になる頃にバスケットボールを始めたあたりからから急激に成長していった。
 出会った頃は自分より小さく頼りなかった手足も首筋も、いつのまにか男らしく成長していく。
 眩しくて、目がそらせなかった。
 そばにいると胸が高鳴り、一人になると脳裏に焼き付いた覚をなんども思いだし、自然と身体が熱くなる。
 しまいには、裸の覚に触れる夢を毎晩見るようになった。
 こんなのは異常だと、朝になると我に返り憂鬱になる。
 しかし、身体のどこかが覚に繋がっていて引きずられているような感覚は、中学に上がって東京で暮すようになっても変わらなかった。
 むしろ、ますます覚のこと以外考えられなくなり、浅くしか眠れないし、勉学も身に入らない。
 このままではどうにかなりそうだった。
 飢えて飢えて、気が狂いそうだ。
 なんでも良いから適当な言い訳を作って本邸へ戻り、覚の眠る部屋へ飛び込んだ。
 どこか夏蜜柑の花の香りのする、真夜中の部屋で。
 馬乗りになって息を乱し続けるだけの自分を、静かな瞳が見上げた。
 ゆっくりと起き上がった覚にしっかりと抱きしめてもらって、涙が流れる。
 唇と、唇を合わせて、それだけで胸がいっぱいになった。
 あまりの心地よさに、どうしていいかわからない。
 何度も何度も唇を合わせて、抱きしめあって、いつのまにか夜が明けた。
 覚の胸の上で鼓動を聞くうちに、久しぶりに深い眠りに就くことが出来た。

 その日から、覚は、身体の一部になった。
 彼に触れたくて、理由をつけては帰郷した。
 触れれば触れるほど、もっと欲しくなった。
 唇を合わせて、抱きしめて。
 熱くなった下肢を合わせているうちに、もっと、もっとと求めてしまう。
 最初は獣の子どもがやるようなまねごとで満足していたけれど、だんだんとそれではすまなくなり、もっと深いところで感じたくなった。
 女のように、抱かれたい。
 あの楔で、貫かれたい。
 誘ったのはもちろん自分だ。
 必ずブレーキをかけようとする覚に迫って煽って、理性を打ち砕いた。
 乱暴に足を開かれて、胸が高鳴る。
 一気に貫かれた瞬間、このための生まれてきたと確信した。
 それからはもう、互いに歯止めが利かなくなった。
 覚なしでは、覚に抱かれていなくては、自分が、自分でないと思った。


            -つづく。-






      < ↓ポチリとしてくださるとうれしいです↓ >

  br_decobanner_20100412095827.gif  にほんブログ村 小説ブログ BL小説へにほんブログ村

スポンサーサイト

タグ:続きを読む

コメント

コメントの投稿

非公開コメント