『春を待つ』-1-(『シークレット・ガーデン』番外) 

2013, 02. 05 (Tue) 20:44

 思ったより長くなったので、一端ここで切ります。
 『春を待つ』。
 シークレット・ガーデンの番外編でもあり、『ずっとずっと甘い口唇』の番外編でもあります。
 真神兄弟と片桐の出会いの話。
 三人とも知合いというのがこんな感じから始まったと理解して頂ければ幸いです。

 ではでは、とりいそぎ。





『バレンタイン特集』も勝手に開催予定。
 今まで出た誰かを使ってバレンタインをテーマにした話をいくつか書きたいと思います。
 こちらも、ご希望がありましたら、是非。



   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『女王陛下と俺』の立石徹とその家族の話です。
  お題は『バイオレンス・バイオレンス』。

  楽しんで頂けたら幸いです。


 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。



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 とくに、励ましの拍手をクリックして下さる方へ。
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 頑張ります。

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 お待ちしています。


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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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  『春を待つ』-1-



 白い五枚の花弁が、風に震えている。
 
 ジャケットのポケットに手を突っ込んで、枝の先についた花を眺めていた。
 白い花の先には、薄水色の空。
 まだ春は始まったばかりで、風の冷たさに頬が冷えていく。

 今は、13時を少し過ぎたところ。
 ・・・そろそろか。

 腕時計を眺めながらあえて中庭を横切ると、目の端に大柄な影が映る。

「憲!!」
 暖かな声に振り返ると、弟の勝己が白衣をはためかせて駆け寄ってきた。
 その背後には、まだ学生とおぼしき青年が車椅子に乗ったままこちらを見ていた。
 ・・・一人ではなかったのか。
「・・・仕事中か?」
 内心、つまらないと思ったのを押し隠して顎で示す。
「ああ。まあ。でも丁度区切りが良いから今のうちに昼を食うかと思ってた所。ああ、そうだ、紹介するよ」
 振り向いて手招きをすると、彼がゆっくりと車輪を回して近寄り、言葉の聞こえる位置についた後、頭を下げた。
「初めまして。片桐、啓介といいます」
 浅黒い顔にしっかりした眉、僅かにすっと流すような吊り目がちの奧二重からは濃い茶色の瞳が覗く。少し笑っているように口角の上がった厚めの唇と、しっかり据わった鼻の形にどこか見覚えがあった。
「・・・初めまして?」
 首をかしげると、青年が苦笑する。
「一応、お会いするのは初めてです、真神憲二さん」
 頭に巻かれた包帯と、固定された足首。
勝己の勤める病院の入院患者のようだが・・・。
「長田の・・・。長田有三さんの末の絢子さんの息子さんなんだよ、啓介君は」
「・・・あ」
 目を見開くと、啓介が破顔した。
「そっくりだろう?有三さんに」
 隣で勝己も笑っている。
「どうしてなのか、皆さん、祖父の名前を出すと同じ反応です。俺としては似ていると全く思えないんですけどね」
 長田有三。
 日本では小学生すら顔を思い浮かべられる大物政治家だ。
 そして、彼の末娘の絢子とは真神家は多少の関わりがあった。
 しかしおそらく、目の前の青年は両家の因縁を知らないに違いない。
「ここでは寒いから、近くのカフェに行こう」
 すっと勝己が啓介の背後に回り、車椅子を押し出す。
「すみません、ありがとうございます」
 申し訳なさそうに会釈し、彼は背もたれに身体を預けた。
 憲二は黙って二人の後に続く。
 どこかで、梅の香りがした。

「昼食まで付き合って頂いて、ほんとうにすみません」
 歩いて五分ほどの所にある教職員用に作られたカフェに入ると、中は閑散としていて、三人の話を聞かれる心配はなかった。
「いや、俺たちもだいたいこの時間に昼飯だから」
 啓介の隣に座った勝己はさりげなく細々とした世話をする。
 数年前から憲二が勤める大学の付属病院へ、偶然にも勝己が整形外科医として配属になった。
 この病院は憲二の仕事場である工学部の研究棟とは、歩いて10分もない距離にある。
 いつの頃からかこのカフェで一緒に昼食を摂ることが多くなった。
「そういえば、病院食があるんじゃないのか?」
 そもそも頭に包帯を巻いているような状態で、出歩いて良いものなのか。
 ふと、疑問を口にすると、二人は顔を見合わせ苦笑した。
「そうなんですけど・・・。ちょっと、居づらくて・・・」
 眉をひそめると、勝己が説明を始めた。
「啓介君は一週間前に交通事故にあって、最寄りの病院で処置した後にこちらの方に転送されてきたんだけど、その時に有三さんが心配のあまり駆けつけてしまって、大騒ぎになったんだよ」
「大騒ぎ?」
 ますますわけがわからない。
「最初は、ただの片桐啓介というどこにでもいる大学生が、うっかり豪雨のなか車にひき逃げされたって言う、どこにでもある話だったんですが、うちの祖父が出張ったものだから、御曹司扱いになりまして・・・。主に、看護婦に・・・」
「ああ、なるほど・・・」
 ようやく話が見えてきた。
「最初、俺は祖父の要求する特別扱いを断固拒否して一般病棟の相部屋に入らせて貰ったんですが・・・。その時から看護婦の出入りが半端じゃなくなって・・・」
 ピンと来て、口ごもる啓介の後を引き継ぐ。
「夜這い、かけられたな?」
「はい。それも一晩で複数・・・」
「まるで刺客だな」
「ええ、その通りです」
もはや、こうなると笑い話では済まなくなる。


  -つづく-



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