『肉食獣的な彼女』-14-(『ずっとずっと甘い唇』番外編) 

2013, 01. 09 (Wed) 20:12

 『肉食獣的な彼女』、ようやく終幕です。

 単に、橋口弥生のフィンランド渡航話と、有希子のお腹の子はどっちかという与太話を書きたかっただけなんですが、予想外に色々とこぼれ出てきて、収拾が付かなくなり、どうなることかとハラハラしておりました・・・。

 この後、色々とまた派生していく予定ですが、とりあえず、次回はこの宴会の直後の話を一つ。
 お題は「はつこい」。
 もう、バレバレですが、少しは甘い話を書きたくなったので。

 それから、拍手御礼小話が変らないうちに、それの番外編のようなものを続けて出す予定です。
 ・・・大丈夫かな、たどり着けるかな、私。
 片桐たちの話もまだまだありますし、片桐の妹の詩織の話もいくつかありますし、立石の家の話もありますし・・・。
 池山たちの話の続きも随分前から用意しています。
 それより何より、佐古もこれ以上放置できませんし。
 これらを考えると結局、今年もこのシリーズで手一杯になる予感がすでにしています・・・。

 いい加減、このグループは飽きたよ、もっと別の次元を描かんかいと思われたらどうしようと冷や汗気味です・・・。

 本当は他にも描きたいことがあるんですが、妄想が唯一の特技なので・・・。

 頑張ってはき出しますので、どうぞお付き合い下さい。


 

   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『ずっとずっと甘い口唇』の本間奈津美中心です。
  お題は『聖なる夜』。

  楽しんで頂けたら幸いです。



 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『肉食獣的な彼女』-14-



 岡本夫妻が寄り添い、連れだって出て行くのとすれ違いに立石が少し膨らんだ茶封筒を持って入ってきた。
「はい。これは下の奴らの分な」
 差し出されたそれの中には階下メンバーから徴収した会費が入っていた。
「本当に、全額俺持ちで構わなかったのに」
 そもそもは知合いの店で、公表価格より半値近く安くしてもらえるから片桐が全額持つという話で進めていたが、途中から参加人数がかなり増えたので、立石と岡本が是非とも一部負担させてくれと言い、それについては全員一致した。
「いや、一生に一度食べられるかどうかの上質な肉ばかり心置きなく食べさせてもらったから。それでもかなり足が出てるだろう。ありがとな」
 ぽん、と肩を叩かれ、片桐はそれを受け取った。
「岡本はもちろん帰るだろうけど、お前らはどうする?カラオケ組とはしご酒組が出てる」
「俺は・・・」
 答えようとしたその時、胸ポケットに入れていた携帯電話が震えて着信を知らせた。
 取り出して画面にさっと目を走らせた後、ふ、と笑う。
「・・・悪い。俺は今日、パス」
「そうか。じゃあ・・・」
 ぐるりと室内に目を向けると、保坂が手を上げる。
「はいはーい。立石さん、どっち行くの?」
「もうちょい飲みチームかな」
「じゃあそっち。弥生さんとユズ君と美和ちゃんも、もうチョイ行かない?」
「・・・いきましょう」
 三人とも即座に肯いた。
「それにしても・・・。お前らも結構食べたんだな」
 テーブルの様子を見て、立石がぽつりと言う。
「そりゃ、若いからな。こっちのチームは」
 階下は三十代から四十代がメインだったのと、酒がかなり入ったために、量より質で攻めたらしい。
「いや、俺らが食ったって言うより、有希子だろ。あいつ、肉から始まって肉で終わっていたぞ」
 そういえば、最後まで肉を注文し焼き続けたのは彼女だった。
「珍しく、デザートも食べてませんしね・・・」
 橋口が呆然と有希子の座っていた席を眺める。
「私、有希子さんがホルモン食べてるの、初めて見たもん・・・」
 今だから言うけど、びっくりした、と告白した。
 さすがの本間も、付き合いが長いだけに驚きを隠せないようだ。
片桐と立石も母親の妊娠出産を目の当たりにしているので、ある程度その凄さはわかっているし、本間達も同様だ。
 しかし、母親や親戚と美貌の同僚では驚きの度合いが違う。
「ああ、妊婦は食の好み変りますもんね」
 訳知り顔に肯く柚木に、村木が疑問を口にした。
「さっきから思ってたけど、柚木君、随分詳しいね」
「うん、実体験だから。俺、母が末っ子妊んだ時キョーレツだったんで。産み落とす直前まで、同じように肉しか食わなくて。その代わり、産み落としたら肉のことなんかけろりと忘れて、それこそ別人?って感じで・・・」
 虚空を見つめての説明に、全員息を呑む。
「神秘だ・・・」
 もちろん、妊娠を体験をしたことがない女性たちもこくこくと肯いた。
「んで、その末っ子は?」
 ついでに池山が尋ねると、にやりと笑う。
「この上なく頑丈な弟です。頭脳労働よりも肉体労働ラブです。おかげで、うちの家業は安泰ですね」
 どちらかというと、若い鹿のようにしなやかな体つきをしている柚木からは想像が付かない。
「あ。俺の時は羊羹の連打だったそうです」
 全員の視線になにを言いたいか感じ取った柚木は即答した。
「じゃあ、有希子さんのお腹の子は男の子かな~」
 唇に親指を当てて、本間がくふふと笑うと、柚木が頬をかく。
「いや・・・。それはどうでしょうね」
「ん?」
「実は、俺のすぐ上の姉貴の時も、母は肉しか食わなかったらしく・・・」
「頑丈な女の子なの?」
 正直、彼からマッチョな若い女性は想像がつかない。
「いえ、いわゆる肉食的な女子になりました。おかげで甥姪がすでにごろごろしてます」
「にくしょく」
 本間が反芻すると、物凄く言い辛そうに口を開いた。
「・・・ええと。相手が全部違いまして・・・。ちぎっては投げ、ちぎっては投げって感じっすね・・・」
 食っては投げ、食っては投げの間違いではなかろうかと、全員が心の中でツッコミを入れる。
「・・・全員、うちの貴重な労働力です。正直、俺はあんまり役に立たないから・・・」
 この業界では標準的な柚木の体型は、彼の実家だとそうでないらしい。
「いいんじゃない?一人くらい頭脳労働系がいて・・・」
 フォローにならない言葉をかけ、本間は柚木の肩をぽん、と叩く。
「・・・ということは・・・」
 池山が今度はうなり出す。
「肉食的な女の子の可能性大って事か・・・」
「いや、たまたま、ウチがそうだと言うだけで、一概には・・・」
 柚木の言葉も今更で、空回りするばかりだ。
「まあ、いいんじゃない?丈夫な赤ちゃんなら」
 あははー、と気を取り直した本間が明るく笑ってみせる。
「ま、そうですね。血となり肉となる事が先決でしょう」

 橋口が綺麗に締めくくるのを背に、男性陣はこそこそと額を寄せ合った。
「岡本・・・。あいつ、この前、有希子そっくりの清楚な美少女かもって、やに下がってたけど・・・」
 珍しく、立石が額に皺を寄せている。
「まあ、顔に関しては美形が生まれるだろ?岡本の姉ちゃんたちも綺麗だったし」
「じ、じゃあ、美形で肉食系?」
「それ、有希子そのまんまじゃん」
 池山の一言に、全員、ああ、と納得した。
「なんだ・・・。なら別に・・・」
「良いんじゃないっすか?清楚な美女だけど実はってのは」
「ただしあいつの場合、肉食系じゃなくて、肉食獣そのものだけどな」
「・・・それに岡本さんが気が付いていないこと自体、俺、すんごい不思議なんですけど」
「気づいているんだろうけど、あえて脳が遮断している感じだよな・・・」
「別に良いんじゃないか?あんなに蕩けた岡本を俺は見たことないし」
 まさに、我が世の春、といった感じである。
「そう・・・。そうだよな・・・」
「幸せなんすね、岡本さん・・・」
「ああ、まあ・・・そうじゃね?」

 男達の密談を、もちろん耳をそばだてて聞いている女達は余裕の笑みを浮かべた。
「なに言ってんだか。ケモノ上等じゃんねえ?」
「そうよねえ。ホントは好きなくせに・・・」
 少々ブラックな会話に、村木が白い顔を軽く傾ける。
「・・・まあ、そこが、男性の可愛らしいところ・・・でしょうか?」
 一瞬目を見張った二人は、そのあと、にいっと唇を釣り上げた。
「そんなあなたが好きよ、美和ちゃん」
「さ、行きましょうか、二次会」
 とまどう村木の右腕を本間がとり、橋口が左腕をとる。
 足取りも軽く廊下に出ながら、本間は歌うように呟いた。
「どんなケモノになるもならないも、相手次第に来まってんじゃん」
 そもそも、人はケモノなのだから。

 
 彼らの会話が岡本夫妻の耳に届くことはもちろんなく、数ヶ月後に滞りなく臨月を迎え、無事赤ん坊と対面した。
「女傑の会にご新規参入だな」
 その一言に、関係者一同、深く肯いたのは言うまでもない。



            ―おわり―






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