『肉食獣的な彼女』-7-(『ずっとずっと甘い唇』番外編) 

2012, 12. 10 (Mon) 22:37

 週末に体調を崩していた分、今日は長いです。
 ・・・本当は途中まで書いていたのに、更新できなくて。
 ただ、色々あとになって付け加えたので、今回はとても長い・・・。
 酔っ払ってもいないのに、これだけ与太話ができるのは不思議でしょうね・・・。
 でも酒の力を借りずとも、できるんですよね、やろうと思えば。
 私は紅茶一杯でも出来ます!!
 
 これを書いている時に、一番悩んだのは、この時点で現実的に何年かと言うことです。
 この話を書きたいとネタを抱えて何年も経っているので、それぞれの時間軸がとても微妙。
 読んで下さる皆さんに、細かいことを気にしないで下さいとお願いするのみです。


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『ずっとずっと甘い口唇』の中村春彦の父の勇仁と、母の清乃、そしてコドモの片桐啓介で、+1人乱入です。
  お題は『オトナの階段』。
  楽しんで頂けたら幸いです。


 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。



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 頑張ります。

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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『肉食獣的な彼女』-7-



「それで、どうやってその悪徳教師と手を切ったの?」
 好奇心の塊の本間は前のめりになって質問した。
「そうですねえ・・・。まあ、一年生の頃ってまだ視野が狭くて世界は学校の中で閉じてる感じじゃないですか。だから何をされても盲従していた所があったんです。でもそれがある日急に、なんでこんなのに好きにされなきゃいけないんだろうって目が覚めて」
「なるほど。あるよねえ、魔法がとけるときって」
 女性達は感慨深げにそれぞれ肯く。
「そういうもんなのか・・・?」と男性達は小さくこそこそ頭を寄せ合った。
「三十過ぎてるってのに年中誰彼構わず発情して、ただのサルじゃんこの男、って思ったらもう顔を見るのもイヤで」
 16歳の少女にとって30過ぎの男は想像の付かない大人であり、年寄りと女性ばかりの学校内での数少ない青年であった。
 近くで見つめられて、触れられて、心臓が高鳴った。
 しかしそれは夢に見た恋ではなく、単なる性衝動なのだと気が付いた時、目の前がさっと広がった。

 ある日、教務室でいつものように椅子に座りベルトをゆるめ始めた男を見下ろしながら別れを告げた。
 しかし、普段から見下している生徒から振られるのは我慢ならなかったらしく、最初は激昂し、罵倒し、なだめすかし、それでも村木が翻さないと解った途端、脅しにかかった。
 彼は、村木との最中の画像を撮っていた。
 これをばらまかれなかったら、これまで通りここで跪いて咥えろと嗤われ、頭の中で何かがはじけた。
 そこで、彼女は最後の行動を起こした。

「・・・ここから先、俺、ものすごーく嫌な予感がするから、聞きたくないんだけど」
 意味もなく、箸の先でたれをぐるぐるとせわしなくかき回しながら池山は呟く。
「なんすか、それ。第六感?」
「いや、でじゃぶの方だと思うのよ、なんか、どっかで聞いたオチが来そうだな~と」
「どんなオチだよ・・・」
 男達の会話を聞きつけた有希子が、「オチ・・・オチねえ」と反芻したあと、池山の言わんとすることに辿り着いたらしく、にいっと笑った。
「ああ、なるほど」
「はい?」
「撃退したのね、美和ちゃん」
「ゲキタイ?」
 本間がきょとんと首をかしげる。
「言うな言うな言うな、村木さん、その先を頼むから言わないでくれ・・・」
 ひいいっと、池山が箸を放り出して頭を抱えた。
「まあその手合いは、マウントした方が勝ちだもんねえ」
 結婚指輪のはまっている左手を優雅に口元にあてて、「おほほほ」と有希子が笑う。
「マウント・・・?」
「ようは、下克上?がつんと喰らわせてやったんでしょう、美和ちゃん?」
「ええ、がつんというか、がん、というか・・・。本当は御法度なんですけど」
「なる!!なるほど、がつん、ねえ!!」
 そこまで聞いて理解できたらしい本間と橋口がゲラゲラ笑い始めた。
 意味がわからず首をかしげている片桐と柚木に、生来きまじめな村木は懇切丁寧に補足説明した。
「私、小さい時にテコンドーを囓っているんですよね。才能ないから続けませんでしたが」
「・・・村木さん、アンタもか」
 池山が呻く。
「だから、無意識のうちに繰り出してしまったんです、足を」
 どこへ、とは言わずとも、容易に想像が付いた。
 ふらりと貧血を起こしそうになっているのに気付いた村木が、慌てて否定した。
「大丈夫。未遂です、池山さん」
「・・・は?未遂?」
「多少、摩擦はそこそこあったと思いますが、スレスレです」

 しかし、威力は十分だった。
 小柄だが、綺麗な足をバレリーナのように優雅に天に向かってあげた時、彼は村木が何をしようと思ったのかとっさに判断できなかった。
 ただ呑気に、ミニスカートからあらわになった下着を見て鼻の下を伸ばしただけである。
 ただし、ゆるりと両手が拳を握り込み、肩より高く上げられた踵が直角に曲がった瞬間、頭の奧に何かが鳴った。
「はあっ!!」
 かけ声とともに、超高速でそれは振り下ろされた。
 ベルトのバックルを外し、ファスナーを下ろしかけたスラックスの真ん前に村木の足が落ちてくる。
 彼は解剖中のカエルのように足を大きく開いたまま、事務用回転椅子の背もたれに身体を預けた状態で固まっていた。
 とっさに身の危険を感じて後ろに逃げようにも、背後の机に阻まれてどうにもならない。
 あと、一センチでも前に座っていたならば、彼の大事などころに村木の渾身の一撃がクリーンヒットするところだったと知った瞬間、彼は小刻みに震え始めた。
「せんせえ・・・」
 椅子のクッションに刺さった踵をそのままに重心を前に変えると、彼の股間を緩く踏んだ。
 柔らかな感触のそれに眉をひそめながら、話を続ける。
「先生が思うほど、私は馬鹿じゃないです」
 むき出しの膝に構わず姿勢を変えないまま、胸ポケットから携帯電話を出して待ち受け画面を見せた。
「この人、父の一番下の弟です」
 液晶画面には角刈りに強面の中年男が、お下げ姿の村木の肩を抱き寄せている。
「今は九州で暮らしていて、とある会に所属しているんですけど・・・」
 九州、と、とある会という言葉にびくりと男は肩を揺らした。
「もしも私の画像が、たとえ事故でも流出したら、きっと叔父が黙っていないと思います。あの人は気が短いので、何をするか解りません」
 普段は、優しい人なんですけど。
 そう言いながら、もう一度村木はつま先に少し力を入れる。
「今すぐ、綺麗さっぱり処分してくれますよね?せんせえ・・・」
 これで、彼との縁はそれきりだった。
 
「・・・それはそれで夢に出てきそうだな・・・」
 男三人は無意識のうちにそろりと股間を守ってしまう。
「本当は取り締まる側なんですけどね、叔父さん。とある会は、釣り同好会の会長なだけで・・・」
 彼女の携帯電話に映る叔父の写真を覗き込んで、本間は正直に言った。
「・・・誰もこの写真を見て、取り締まる側とは思わないかも」
「ええ。それは、よくある公開防犯シュミレーションの時の写真です。たまたま見に行ったから記念に撮ったんですけど」
「ああ、あの、時々報道陣の前でやってる強盗とか、凶悪犯とかの取り締まりごっこね」
「そう、それです。叔父は就職してからずっと取り押さえられる側の役が多くて」
「なーるーほーどー」
「テコンドーの手ほどきもしてくれました。可愛がって貰ってます」
 もう一つの画面は二人でにこやかにピースしているものがあり、納得である。
「もしも本当の職業がばれたとしても、いざとなったら刑事告訴して実況検分してしまえば、あの部屋にまき散らされたものが検出されて御用だったから、不利にならなかったと思います」
「未成年相手の淫行罪だしねえ」
「そういや、意外と落ちないのね、精子って。ほら、昔それでヘマをした大統領がいたわよね」
「ああ、クリントン夫か・・・」
 ミレニアム直前のアメリカ大統領スキャンダルは今でも語りぐさだ。
「そういや、今でも謎だよな。なんで随分前に着たドレスから精子が簡単に検出されたのか・・・」
「情事記念にあえてクリーニングをしなかったのか、アメリカのクリーニングはへっぽこなのか・・・」
「暴露本まで出したよな、モニカ・ルインスキー・・・。ああ、俺、相手の名前をフルネームで未だに言える」
「・・・・つうか、その時いくつだよユズ・・・」
「なんとか小学生ですね。でも、田舎だったんで、大人はゴシップに飢えてたから大盛り上がりっすよ」
「おまえ、どこだっけ」
「茨城です。農家ですよ。嫁の来手がありません。男どもはつねに飢え飢えです」
「ウチと似たようなもんか」
 片桐の父はたまたま違うが、周囲はほとんど農業や漁業従事者だ。
「それにしても、九州といえばヤクザ、という連想がいただけないなあ。あんなのほんの一部だぜ、一部」
 生まれ故郷をこよなく愛す片桐は不満顔だ。
「まあ仕方ないんじゃない?発砲率高いもの」
 本当は、農産物も魚も美味しい食の国なのにねえ、と有希子が同情の目を向ける。
「この間は、中東の特番に出てましたよ。ヤクザの国、九州アイランドって・・・」
「そんな認識なのか、九州・・・」
 どっぷり落ち込む片桐をよそに、本間は村木を慰めた。
「でもうまく誤解してもらって良かったじゃん。下手したらストーカーになりかねないし、そのガンシャ教師」
「だから、本間もその口で言うなよ、ガンシャって・・・」
「てへ」
 ぺろりと可愛く舌を出されて、男どもは脱力した。





     -8-へ続く





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