『肉食獣的な彼女』-4-(『ずっとずっと甘い唇』番外編) 

2012, 12. 03 (Mon) 22:34

 お待たせしました。
 第4話です。
 う~ん、次で終われるか、ちょっと微妙です。
 計画的に進んでいますが、次回は長引きそうな予感・・・。

 まだまだ他にも書きたい番外編があるので、今年いっぱいは番外編祭りになるかな・・・と思っています。
 主にコメディというか・・・。

 たまには違う話が読みたいよ、と思われる方は、こっそり拍手コメントか、メッセージなどで教えて頂けると助かります。



   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『ずっとずっと甘い口唇』の中村春彦の父の勇仁と、母の清乃、そしてコドモの片桐啓介で、+1人乱入です。
  お題は『オトナの階段』。
  楽しんで頂けたら幸いです。


 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。



 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 とくに、励ましの拍手をクリックして下さる方へ。
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 頑張ります。

 もしもよろしければ、一言、くださいね。
 根が単純なので、高速回転で舞い上がり、爆走します(笑)




  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『肉食獣的な彼女』-4-




「ち、ちょっと、まってくれよ、有希子」
 机に両手をついて、肩で息をしながら岡本は妻に話しかけた。
 どうやらエレベーターを待てなくて、階段を猛ダッシュで駆け下りてきたらしい。
 階段を踏み外さなかったのはもっけの幸いだ。
「今夜の飲み会はこの間のトラブル関連のメンバーだって言ったよな?」
「それは確かに昨夜承りました」
 しゃんと、せすじをのばし、両手を綺麗に膝に揃えて有希子は答える。
「でも、ケンケン亭って、あなたおっしゃらなかったわ。先にお店が決まっていたのに」
「何故、夫婦の会話なのに丁寧語・・・」
 ぼそりと片桐が呟く。
「そりゃお前、嵐の前の何とやらに決まって・・・」
 ひそりと声を潜める池山の顔におびえが走った。
「あいつを怒らせると怖いってのに・・・」
 その近くで、口を真一文字に結んだ本間と橋口が仲良くこくこくと小刻みに首を縦に振った。
「そんなに怖いんだ、保坂さん・・・」
 岡本の妻の旧姓は保坂。
 同僚の分際で彼女を名前で呼ぶわけにはいかないので、幼なじみの池山と女性陣以外は現在も旧姓を使う。
「だって、仕事の延長なのに、お前を連れて行くわけにはいかないだろう?」
「仕事の延長なんだ・・・。ケンケン亭なのに」
 こそこそと本間が突っ込む。
「そう。ケンケン亭なのに、仕事の延長ですって。それってどういうことなのかしら」
 耳ざとく聞きつけた有希子がきらりと瞳を光らせる。
 眼差しで、夫を焼き殺せそうである。
「あああ、ここでもハイビームが乱反射しているよ・・・」
 離席するチャンスを失った吉田課長が机に這いつくばり、固唾をのんで見守っていた。
「こんな大切な話をわざと隠すなんて、もう、貴方のことが信じられません、竜也さん」
 それこそ、設計部全体にブリザードが吹き荒れている状態である。
「さ、さむい・・・。なぜだろう。室内の温度が一気に下がったような気がするのは俺だけか?」
「いや、気のせいでないと思います・・・」
「うん・・・。岡本さんたら、物の見事に踏んでくれたわね、地雷」
 ギャラリー3人組がそれぞれ己の腕をさすりながら背筋をぞくりと振るわせる。
「お肉なのに・・・。しかも、ケンケン亭のお肉なのに、あんまりです・・・」
 今度はじわりと目元を赤く染められて、岡本はその美しさに一瞬惚けながらも、慌ててフォローしようと試みた。
「いや、だって、酒が出るところはたいてい喫煙者がいるだろう。今回の面々も喫煙率高いし。そんな中に妊婦のお前を連れて行けないと思ってだな・・・」
「・・・」
 黙って見つめ返されて、岡本が赤くなったり青くなったり白くなったりしている。
 このままでは天女が羽衣を担いで飛んで行きかねないと焦りに焦っているらしく、口をぱくぱくさせて、もはや酸欠状態だ。
「食べ物の恨みは怖えな」
「そういう池山さんこそ、けっこう食い意地がはってるって、立石さんから聞いてるよ」
 もっとも、この場合は妊婦だからこそなのだろうけれど。
「・・・なんつーか、おもしれーと思う俺は鬼畜か?」
「いや、実際面白い見物ではありますよ・・・」
 次第に、なんだなんだとパーティションの向こうから同じフロアの人たちが見物にやってくるようになった。
 いい加減手打ちにせねば、噂話がこのビル全体を駆け巡る。
 片桐は深々とため息をついた。
 泣く子と女房には勝てぬのが、男ってもんだろう。
「あの・・・。是非いらして下さい、保坂さんも」
 お見合い状態だった2人が反射的に片桐の方へ振り向いた。
「いや、でもさ・・・」
「実は、ダブルブッキングとかのために、上の階にもう一部屋予備があるんだ。そこを開けてもらうよ」
 この場は、そうでもしないと治まらないだろう。
「そこへ、女性陣と煙草を吸わないヤツ数名に入ってもらう。それなら良いだろう?」
「「まあ・・・。そうしてくれるなら・・・・」
 しぶしぶと、岡本が肯く。
 すると、すっと有希子が椅子から立ち上がり、まっすぐ片桐に歩み寄った。
「片桐くん」
「はい」
 見上げると、光り輝く有希子の笑顔がそこにある。
 まるで、魔法からとけたおとぎ話の姫君のようにすがすがしくも美しい。
「ありがとう。私の我が儘を聞いてくれて」
「いいや、このくらいおやすいご用ですよ。そもそも知人の店だし」
 背後では、岡本が胸をなで下ろしていた。
 夫婦の危機は、去ったのである。
「我が儘って自覚しているんだ・・・・」
 池山のちゃちゃはもちろん黙殺される。
「でね、片桐くん」
「はい」
 おもむろに片桐の両手を彼女は強く掴んだ。
「そんなあなたが好き。結婚して」
 そんなあなた、が、どこにかかるかが激しく疑問である。
 片桐の人格を言っているのか、それともケンケン亭と繋がっていることに重きを置いているのか・・・。
 とにかく、今、彼女は常軌を逸している。
 お腹の子供に理性を吸い取られている感は否めない。
「・・・それはさすがに無理です」
 その背後で、岡本は半泣きであった。



     -5-へ続く





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