『ずっと、ずっと甘い口唇』-77-(完)(『楽園』シリーズ) 

2012, 11. 21 (Wed) 20:18

 ようやく・・・。
 『ずっと、ずっと甘い口唇』終了です。
 
 何度も何度も出口を見失いましたが、まるで徹夜明けのかなにかのようにいきなり着地できてびっくりです。
 いや、正直なところあと10話くらい行くかと思っていたのですが・・・。
 縁起担いでいるわけではないけれど、77話で終了です。
 サイドストーリーもいくつか用意していますが、とりあえず、この話はここまで。

 登場人物も、伏線も、背景も多すぎて混乱されたことと思いますが、最後までおつきあい下さり有難うございます。

 彼らの話はまだまだあるので、できればまた読んで頂けると嬉しいです。

 (11/21の23:00に加筆修正あり)


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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-76-』

 肩に柔らかい感触を感じて、ゆっくり目を開けた。
 暖かな吐息と柔らかな唇が、肩口からゆっくりとまるで足跡をつけるかのように首へと向かってくすぐったい。
「ん・・・」
 身じろぐと、背後でふっと笑ったのを感じた。
「おはよう」
 項を強く吸われて、思わず声が上がる。
 すると、ますます興に乗ったらしく首筋をせわしなく吸われた。
 カーテンの隙間からさす朝日が投げ出していた指先を白く照らし、手首から腕に向かって赤い痕が残っているのを見つけ、一気に目が覚めた。
「もう・・・・。もう勘弁して下さい、片桐さん」
 逃げようとすると、両腕で強く抱きしめられて一瞬息が止まる。
「けいすけ」
「え・・・」
「今日はもう呼んでくれないのな、名前」
 耳たぶをちろちろと舌で舐められて、昨日の情事を思い出す。
 何度も何度も、名前を呼び合って、何度も何度も、身体を繋げた。
 時間も場所も一切構わずに、いつまでも互いの身体を溶け合わせて、絡まり合ったままいつしかベッドの上で意識を失った。
 濃密すぎる時間が部屋と身体のそこかしこに残っており、それが目覚めとともに記憶に蘇り、顔から火が出る思いだ。
「・・・っ」
 思わず背中を丸めて小さくなろうとすると、強引に身体を返された。
「なに、どうした?」
 鼻と鼻が届くほどに顔を寄せられる。
「どうしたって・・・」
 片桐の精悍な唇が近すぎて、目のやり場に困る。
 まつげを伏せて視線をうろうろとさまよわせると、笑みの形を作ったままの唇を合わせられてしまった。
「ん・・・」
 目を閉じると、優しくあやされてつい中まで許してしまう。
「ん・・・んん・・・」
 胸の奧から熱くて甘い物がわき上がってくる。
 腕にすがって思わず爪を立てた。
「ん・・・。け・・・すけ、さん」
「よくできました」
 ようやく唇を解いて、褒美とばかりに頬に音を立ててキスをされた。
 首筋を、肩を、背中を暖かな手でさすられ、そのまま足を絡められて、慌てて胸板に手をつく。
「駄目です、これ以上・・・」
「なんで?」
 甘い声でそのまま耳を囓られた。
「だって、今日は月曜日・・・」
 もしかしたら、既に出社時間ではないか。
 強すぎる日差しに我に返り、甘い檻から抜け出そうともがく。
「ん。だけど、今日は休み」
 きゅっとその輪を縮めて、額に唇を当てられた。
「え・・・?」
「俺らは休み取るって本間には連絡済み。さすがに明日は出ないといけないだろうけど」
「は?」
 抵抗をやめて片桐を見上げる。
「いつのまに?」
「昨日の朝、仕事してただろ、俺。あの時にさくっと報告書と休暇申請だしといたから、今日は休み」
 あっけにとられているうちに、仰向けにされて、上から片桐が覆い被さってくる。
「もしかして・・・」
「うん」
 すりっと、鼻をすりあわされた。
 彼の顔には悪戯がばれた時の子供のような、ちょっとばつが悪いようでどこか得意げな笑みが浮かんでいる。
「最初から三泊で部屋を取ってた」
「いつ・・・いつの間に・・・」
「うん。春彦が裕貴君たちの所へ行っている間に」
 春彦、と呼ばれただけで、もう全てがどうでも良くなってしまう。
「言ったろ。俺はお前が思っている以上にずるがしこくて、計算高いって」
 きらきらとした瞳で覗き込まれて、背中がベッドに溶け込んでいく心地がした。
 だんだん、自分が何を言っているかも解らなくなる。
「俺は、お前とこうして過ごすことばかり、ずっと考えてた」
「ずっと?」
「うん、上海でずっと」
 唇を軽くついばまれて、胸がとくんと鳴った。
「仕事してるか、お前のことを考えてるか・・・。本当にそれだけだった」
 彼の声と息づかいがだんだんと甘くて熱いものへと変っていく。
「ずっと、ずっと、ハルのことでいっぱいだったよ」
 唇が、降ってくる。
 甘くて、甘くて、甘すぎて、甘さの中に溺れてしまう。
「だから、もう一日くらい、付き合ってくれても良いだろう?」
 両腕に顔を囲まれて春彦は降参した。
 彼の声と匂いに包まれていたい。
 自分だってずっとずっとそう思っていた。

「・・・なら、もう一日だけ」

 目を閉じて、唇を差し出す。
 ゆっくりと彼の吐息が下りてきた。

「うん、もう一日だけな」

 唇と唇が重なり、身体も重なっていく。
 甘い夢の中へ二人は戻っていった。


 Roses are red,
 Violets are blue.
 Sugar is sweet,
 So are you.

 薔薇は赤い
 菫は青い
 砂糖は甘い
 そして、きみも。
    (マザーグースより)


         終わり。




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