『ずっと、ずっと甘い口唇』-75-(『楽園』シリーズ) 

2012, 11. 19 (Mon) 19:53

 取り急ぎ更新。
 ・・・岡本って、毎回損な役回りだな・・・。
 ごめん、岡本。


 拍手御礼のSSは明日更新します。

 あ。
 大根買っとくの忘れた。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-75-』


脳天気なメロディーが、静まりかえった部屋の中で響き渡る。

「まいむまいむ・・・?」
 あれはロシア民謡だと勝手に思い込んでいたが、上海で台湾から来たスタッフも交えて酒を飲んだ時にイスラエル民謡だと知った。
 井戸を囲む踊りだったんだなと、夢うつつのままその音の元に向かって手を伸ばす。
 このメロディーの主は確か・・・。
「・・・はい、中村」
 唸りながら答えると、地の底を這うような声が返ってきた。
「・・・てめ、片桐。やっぱりお前か。お前も一緒か」
「・・・解っていて電話するアンタもご苦労だな」
 うんざりとため息をつくと、岡本の中で何かがぶち切れたらしく、物凄い剣幕で怒鳴り始めた。
「だいたいありえねえだろう、お前ら!!月曜にシメの会議やるのは解ってんのに、銀座組二人とも休んじゃ、事の次第を誰が報告するってんだよ!!のうのうと年休取りやがって、ホワイトボード見た時、顎が外れたぜ、俺は!!」
 こういう時の岡本は小型犬のようだと常々思う。
「ちゃんと、喋ってんじゃんよ・・・」
「朝っぱらから屁理屈言うな!!いいか、今なら間に合う。どこにいるか知らんが、二人ともさっさと荷物まとめて出てこい」
「いやだね」
「はあっ?」
「事例と詳細報告なら、昨日の朝に文書で課長と本間にメールしたから。それに、そもそもあれで十分よくねえ?ユズの作ったヤツ」
「あれは・・・っ!!あんなの正式な会議で使えるか!!」
 連続徹夜組だったにもかかわらず、元気の有り余った柚木は寮に戻ってすぐに今回の顛末を冒険の書調の文体でおもしろおかしく文書作成してメール送信したところ、それが大受けして関係者の中であっという間に拡散していった。
 いわゆるドラクエ風にメンバーの冒険が描かれ、最後は銀座でラスボスとの戦いがいかに壮絶だったか、会議では正面切って言えない内容がコミカルに記されていた。
「・・・あいつ、ライトノベルズ作家でも生きていけると思う」
「まあな。いや、いまはそういうことでなくてな・・・」
「部長が腹を抱えて笑ったって話来てたぜ、昨日」
「・・・お前、そこまで掴んでんなら、なおさら来いよ、会議」
「断る」
「おーまーえー」
「どっちみち、今日はとりあえず流れるだろう、その会議」
「は?」
「理由は、本間に聞けよ。まさか俺もそんな幸運が舞い込むとは思わなかったけどな」
 人の不幸は蜜の味っていうのかな、コレ。
 さすがに片桐の小さな呟きは電話回線のむこうの岡本まで届かない。
「ちょっと待て、せめて春ちゃんに代われよ。話が・・・」
「それはもっと駄目だね」
「おま・・・」
「じゃ、また明日」
 そう言い置いて、間髪おかずに携帯電話の電源そのものを落とした。
 一つ、息をついて振り返ると、傍らに規則正しく上下するむき出しの白い肩が見える。
 片桐は微笑んで、そのなめらかな肩先に唇をゆっくりと落とした。






 『ずっと、ずっと甘い口唇-76-』へつづく。




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