『ずっと、ずっと甘い口唇』-68-(『楽園』シリーズ) 

2012, 10. 23 (Tue) 18:11

 この回からしばらく大人の時間です。
 ・・・私にしてはかなりオトナなんですが、皆さんはどうでしょうね・・・。
 予想外と言えば、今回は春彦が暴走列車ってところです。
 ある意味、片桐より止めようがありませんでした・・・。

 明日はリアルの用事で休業です。
 続きは金曜日に。
 次回は寝室なので、まあそんな感じです・・・。

 今から小話の整備に取りかかりますのでこちらはこれにて。

 いつも見に来て下さる皆さん、有難うございます。
 自分の頭で勝手に発生している物を誰かに読んでもらえるのが、とても嬉しいです。

 ではでは、また、小話の方で。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-68-』



「叔父の言わんとしていたことが確信になったのは、片桐さんに出会ってからです」

 漠然とした不安。
 自分は、誰も愛せないのだろうか。
 それとも、先天的な身体欠陥を意味しているのか。
 高校まで私立の男子校だったため、同世代の女性と関わることがほとんどないままでいた。
 家庭は気の休まることがなく、ひたすら勉強することで気を紛らわしてきたが、果たしてそれが人を好きになった事にならない理由になるだろうか。
 友人には恵まれた。
 ただ、いつも心は凪いだままだった。
 それを寂しいと思った事がない。
 なぜなら毎日を乗り切ることで精一杯だったからだ。

「俺は多分、女性を愛せないのだと思います」

 一つの確信。
 アイツハ、ソクシダッタ。
 伯父を守って亡くなった人は、男性だったのだ。
 そして、同じように自分は一人の男性の後ろ姿ばかり見ていた。
 茶色がかった髪、くっきりとした二重の、まっすぐな瞳。
 優しい声が心地よくて、いつまでも聞いていたいと思った。

「・・・そうか」

 いつでも優しい人。

 吸い寄せられるように春彦は唇を寄せた。
「ごめんなさい・・・」
 謝罪の言葉しか見つからない。
「ごめんなさい、片桐さん」
 それでも、彼はゆっくりと唇で応えてくれた。
 少し肉厚な下唇が、優しく自分の上唇を撫でる。
「なんで、ごめんなさい?」
 暖かな吐息が隙間に吹き込まれ、顎が震えた。
「だって・・・」
「・・・ん?」
 項を手のひらで撫で上げられ、首から背筋に電流のようなしびれが走る。
「謝るのは、俺の方だろ?」
 唇を軽く吸い上げられて喉を鳴らすと、強い力で抱きしめられた。
「どうして・・・」
 こうしている今でも、胸が熱くて痛くて、苦しいくらい嬉しいのに。
「酔った勢いでお前に触れてごめん。翌朝覚えてなくてごめん。ずっと、きちんと謝らなくてごめん。そして、ずっとずっと待たせてごめん。それから・・・」
 額と額を合せて目を瞑ったまま片桐が息をついた。
 春彦は間近にある焦げ茶の濃いまつげとしっかりした鼻筋に見とれてしまう。
 あと少し。
 ほんのもう少しで唇に届くのに。
 唇を、今すぐ唇を合わせて欲しい。
 そうでないと、息をすることすらままならない。
「お前が好きだ。ものすごく、どうにもならないくらい好きだ。ごめん」
 我慢できない。
 春彦は片桐の唇を奪う。
「ん・・・。ハル・・・」
 夢中で、噛みつくように片桐の唇を吸い上げた。
「ハル・・・は・・・」
 彼の甘い声が、耳から蜜を流し込んでいるようだ。
 心そのままの、どこか透明で、心地よく低い声。
 唇も、声も、吐息も、匂いも、もっともっと味わいたくて、両腕を首に絡めて引き寄せた。
「酔っているのを、良いことに、・・・誘ったのは、俺です」
 唇と唇。
 舌と舌。
 息と息。
 そして唾液までも絡ませあいながら、どうやって自分が言葉を口にしているのかわからない。
 ただ、夢中で言葉を繋げた。
「酔っていても何でも良い、抱いてくれるなんて、こんな機会、二度とないと思ったから」
 彼のしっかりしたうなじに指を這わせて訴える。
「俺は、片桐さんが、欲しかった・・・から・・・っ、んっ」
 今度は侵入してきた片桐の舌に痛いほど吸われた。
 ちゅくちゅくと互いの唇がたてる音と、ぎしぎしとせわしなく身じろぎする二人にソファがきしんでたてる音が混ざり合う。
 すっかり着崩れたバスローブからむき出しになった膝裏をさすられ、下肢が熱くなっていく。
「ハル」
 息を乱した片桐が耳たぶを噛みながら囁いた。
「抱くぞ」
 甘く、濡れた声。
 こみ上げてくる喜びに、身体を彼の胸にすり寄せた。
「掴まってろ」
 もう一度深く唇を合わせた後、両膝に片腕を通して横抱きにされる。
 しっかりと抱き上げられて胸が高鳴る。
 迷いのない足取りが、とても嬉しい。
 それでも、たった数歩先の寝室が待ちきれなくて、彼の背中に爪を立てた。




 『ずっと、ずっと甘い口唇-69-』へつづく。







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