『ずっと、ずっと甘い口唇』-67-(『楽園』シリーズ) 

2012, 10. 21 (Sun) 19:02

 ええと、本当はもっと長くなるはずだったのですが、間に合わなかったので、途中で切ります。
 半端な話でごめんなさい。
 そして、衝撃の事実でごめんなさい。

 続きはまた明日に。

 いつも応援下さる皆さんに感謝しています。
 そして、変化球ばっかり投げて済みません・・・。

 いや、想定内なのかな。
 私の中では想定外の展開なんですけどね。





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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-67-』



 しかし、皮肉なことにそれは波乱の幕開けでしかなかった。
 勇仁と清乃の心のすれ違いはとうとうどうにもならないままで終わってしまった。
 色々なことがあまりにもありすぎて、たった十数年の出来事だったにもかかわらず、誰もが何十年も過ごしたような疲労感を感じた。
 そして結局、叔父たちは現在も独身を通している。
 彼らが普通の家庭を持つことないままにここまで来てしまったのは、ひとえに自分たちに振り回され続けたからだ。
 春彦は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 しかし、いつでも勝己は首を振る。
「確かに俺と憲は、姉さんたちを見てきたから結婚なんてもうお腹いっぱいという感じだけど、理由はそれだけじゃないよ。俺たちは好きで家庭を持たないだけだ」
 いつも辛抱強く自分たちを見守ってくれていた勝己は人柄をそのままに暖かみのある外見で、女性の同僚たちから憧れの眼差しを常に受けているにもかかわらず、全く浮いた話がなかった。
 春彦が真神を出てしまった以上、このままいくと本家の血筋は途絶えてしまう。
「俺はね。本家の方はこれで仕舞いにして良いと思ってるんだよ」
 それは、彼がこれからも独身を通すと言っているようなものだ。
「勇仁さんの所は裕貴がいるから、多分大丈夫と思うけど、こっちはもう良いだろう」
 真神の名前は、裕貴を通して残るだろう。
 しかし、血脈は途絶える。
 そういうことだった。
「親父はぎりぎりまであがいていたけれど、真神本家はもうどのみち閉じていく運命にあったんだから、何があっても気にするな」
 憲二が本家の庭を愛してやまないから、邸宅は処分せずに残した。
 そう語る言葉の裏に、憲二の方も家庭を持たないと決めている事が知れる。
「お前がなんとかしようとは思うな。血脈のための婚姻の虚しさに苦しむのは、もう俺たちで十分だろう」
 でも、と口を開こうとする春彦を押しとどめて勝己はため息をついた。
「これは、もっと後になって教えようと思っていたけれど・・・」
 彼にしては歯切れが悪く、迷うように何度も唇をかんだ。
「そもそも、俊一兄さんが結婚しなかった時点で、真神の命運は決まっていたんだよ」
 祖父の部屋に飾られた写真でしか知らない俊一伯父は、頭脳明晰でありながら王者の風格を兼ね備え、刃物のように鋭く美しい瞳をしていた。
 亡くなったのは確か34歳だと聞いている。
「だいたい、その年まで独身だったのはありえないだろう」
 祖父が結婚を許してくれなかったのかと問うと、首を振った。
「許すも何もなかったよ」
 では伯父がこの世にいない今、その相手はどうしているのだろうという疑問が浮かぶ。
「事故の時に俊一兄さんをかばって死んだ。あいつは即死だったよ」
 許されない恋を貫いた伯父。
 閉じていく運命の真神家。
 何度も何度も勝己が言う意味が、ようやく理解できたような気がした。
「真神の男は強情だという所だけ、脈々と継いでいるらしい。親父は亡くなった前の奥さんしか愛せなかったし、俊一兄さんに至っては形だけの結婚も拒絶したしな。言うなれば、俺たちは最後の始末をつけるために生まれてきたようなものだ」
 淡々とした語り口に、それが何度も考えた末に出した答えなのだと理解できた。
「だから、これからはお前も好きなように生きろ。誰かのためではなく、自分の気持ちに正直に・・・な」
 これから自由に生きろと言われて、春彦は困惑した。
 それ以上に、心の片隅で引っかかったことがあった。
 許されない恋に準じた伯父。
 まだ四十にならないのに独身を決めている叔父たち。
 裕貴ならば続く家が、なぜ春彦だとそうならないのか。
 彼の発言の真意を質すのが怖くて、春彦はそのまま黙って目を閉じた。



 『ずっと、ずっと甘い口唇-68-』へつづく。







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