『ずっと、ずっと甘い口唇』-66-(『楽園』シリーズ) 

2012, 10. 19 (Fri) 20:41

 もう少し、もう少しといじっていたら時間が無くなりました。

 リンクなど、全ての修正は後日に。
 明日はリアルの仕事が多忙なのでお休みです。

 今日は昨日の仕事疲れで二度寝三度寝四度寝・・・。
 体力ナッシングです。
 リンゴを煮る予定だったのに・・・。



 どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「ずっとずっと甘い口唇」の保坂VS.第三秘書の篠原です。
  お題は「アタシ、猫」。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。



 いつも覗きに来て下さる方々、初めて覗いて下さった方々、皆さんに感謝しています。
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 ありがとうございます。



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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-66-』

「それで、真神さんは?」
 左足を手に包み込み、いつまでもさすってくれる指先が心地よい。
 彼の指が触れる度に、傷も溶けていきそうだ。
「正面きっと謝罪に来たかというと、それはないです。それが、あの人ですから・・・」
 それでも。
 あの人が父であることには代わりがない。
「入院中、俺が寝ている間に来たことは、何度もあるようです。・・・というか、わざわざそれを狙っているのだから諦めろとも下の叔父に言われました」
 そして、父は眠っている自分の枕元に立ちすくんだまま、長い時間を過ごしたという。
「下の叔父さんって、SR病院の整形外科やってる勝己さんだよな。上の叔父さんはT工大の憲二さん」
「ご存じでしたか」
「長田の祖母は、今思うと真神さんたちをほっとけなかったみたいで、何かと関わりがあるんだよ・・・。俺は今こうして聞くまで、こんな複雑な事情があったなんて知らなかったけどな。勝己さんには学生時代に車にはねられた時とかに世話になったよ」
「は?」
「それは、また今度の話で。とにかく、勝己さんは見た目大柄で体育会系そのものだから大雑把っぽいけど、繊細な人だよな」
「そうです。勝己叔父がいなかったら、俺は父を許せないままだったかもしれません」
 叔父たちは、ずっと自分たちを見守り続けた。
 とくに勝己は最初、心が壊れた清乃の世話をするために精神科医になるつもりでいた。
 しかし国家資格取得前には体調が落ち着いた清乃から、自分のやりたい分野に行くように説得され、現在は整形外科医になっている。ただし、そこへ春彦が運ばれてくるのも運命だったとはさすがに考えたくない。
「殴っている最中に、お前なんか清乃は産みたくなかったんだ、あの時流れていれば良かったのにと、父が罵ったことを勝己叔父が知ったらしくて、俺が意識を取り戻して割とすぐにそれのフォローをしてくれました」
 清乃が子供を産むことを恐れたのは事実。
 まずは、暴行されたショックから立ち直れないまま身体が変化していくことに恐怖を覚えたこと。
 そして赤ん坊の性別が男だと判明した時に、この子も将来は誰かに乱暴をするのではないかと思い込んだこと。
 ほとんど眠れず、食べられない清乃は取り乱して、発作的に自力で流産を謀ったこと。


「あれは、高校生の俺には衝撃が強すぎたよ」
 終わったことだから言うけれど、と叔父は春彦の手を握って、目をしっかり合わせながらも優しく笑った。
「普段、旅行鞄すら持ちあげない姉さんが、病院の広い庭の片隅にあった岩を抱え上げようとしたんだ。あんな光景、一度見たら夢に何度も見るだろうよ、とくに勇仁さんは」
 錯乱して部屋を飛び出した清乃を追って出た勇仁と勝己は、号泣しながらで岩に取りすがってもがく彼女を見つけて、一瞬、動けなかったという。
 それは、鬼気迫るものがあった。
「そもそも姉さんが岩を抱える力を持っているわけはなく、結局すぐに悪阻と貧血を起こしてその場で意識を失ったし、数時間経てば正気に返って後悔したから、お前はここにあるんだけどな。でも、あれは勇仁さんにはかなり辛かったと思うよ」
 そこまで、そこまでするほど自分は憎まれたか。
 非道いことをしてしまったのだから、当たり前のことだと自分に何度言い聞かせても、清乃その姿は、どんな拒絶よりも堪えた。
「・・・忘れられなかったんだな、勇仁さんは」
 そう語る叔父の目が真剣で穏やかものでなかったなら、春彦も平静でいられなかったかもしれない。
「姉さんが生まれてきた春彦を心から可愛いと思ったから、だんだんと立ち直っていったのに、それは真神の血筋の子だからとしか思えなかったんだな」
 父の惣一郎や亡くなった長兄の俊一などは大柄で、王者の風格があった。その総領の容貌を色濃く引き継いだのは勝己叔父だった。
 そうすると、春彦の容姿は対極にある。
 どこかはかなげな雰囲気も、内向的な清乃や、研究職に就いた上の叔父の憲二に似ていた。でもそれは、どちらかというと後妻だった芳恵に近いものだったが、彼女が分家出身であったこともあり、どちらの風貌を継いだとしても勇仁にとって真神家そのものであった。
「だからと言って、こんな暴力を自分の子供に働いて良いはずはないけどな。でも、出来ることなら勇仁さんをあまり憎まないでやってくれ」
 肉厚で、とても大きな叔父の手は暖かく、誰よりも繊細に自分に触れてくれる。
「あの人は、姉さんが好きで好きで、どうして良いか、今も解らないんだ」
 勇仁には良き理解者がいた。
 この人がいなければ、自分はどうなっていたか解らない。
 いつでも影ながら支えてくれた人。
 でも、勝己を持ってしても、自分たちの関係がどうにもならなかったことは無念だった。
「・・・いつから、父の気持ちを知っていたのですか?」
「ん?・・・最初から」

 惣一郎が婚約者として引き合わせるより前に、勇仁は本邸の庭で清乃を見ていた。
 床の間に生けようと小手毬の花を使用人と摘んでいる清野は、白い小さな花弁をつけた枝を抱えながら、静かに笑っていた。
 それは弟の勝己から見てもとても美しく、目を奪われた。
 そして、勝己に案内されて本邸に足を踏み入れた勇仁もまた、呼吸をするのも忘れて清乃を見つめる。
 優しく風が吹き、小手毬の花びらが宙に舞う。
 それを追って空を見上げる清乃が春の日差しに溶けていく。
 恋に落ちるというのは、このようなことなのか。
 これから彼らが夫婦になるというならば、それは幸運なことだと勝己は思った。



 『ずっと、ずっと甘い口唇-67-』へつづく。







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