『ずっと、ずっと甘い口唇』-64-(『楽園』シリーズ) 

2012, 10. 16 (Tue) 19:49

 前回の分、今日の午前中に修正済みです。
 かなり加筆しました・・・。

 で、今日はちょっと間奏曲って感じです。
 直前までがハードでしたから・・・。

 これからは痛いのちょっと、大甘続きの予定です。
 どうぞおつきあい下さい。


 それから、いつも覗いて下さる方々、拍手やバナーなどをクリックして励まして下さる方々、ありがとうございます。
 このお話も、ようやく終盤。
 ・・・と言っても、少なくともあと10話くらいありますが・・・。
 我慢強く付き合って下さった皆様に感謝しています。
 明日も頑張ります。



 どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「ずっとずっと甘い口唇」の保坂VS.第三秘書の篠原です。
  お題は「アタシ、猫」。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。



 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。


 今月分は、一応締め切りました。
 更新は、リアルの仕事の関係でちょっと先になる予定ですが、必ず書きますので!!





  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


ブログランキング・にほんブログ村へ


   拍手小話はこちら →

 『ずっと、ずっと甘い口唇-64-』


 実際、春彦の傷はそうとうなものだった。
 擦過傷はもちろんのこと、各箇所の骨折を加えて全治三ヶ月と診断された。
 発熱もひどく、夢うつつの間に十日ばかり過ぎ、予定していた大学の推薦試験は辞退せねばならなかった。
 医者をしている下の叔父の手配した病院での入院生活が長く続き、それ以後高校へ行けないままで年を越える。 割と融通が利く私立高校だったことと、それまでの出席状況と成績を合わせて留年は免れたが、受験をどうするかという話になった。
 無理を押して受験するか、完全に治って来年挑むか。
 清乃と中村からは退院後は一緒に暮らそうと誘われたが、春彦は首を横に振った。

 大学は受験しない。
 すぐには無理だろうけれど、就職して、自分の力で生きていきたい。

 周囲は慌ててよく考えるよう説得したが、春彦の意志は固かった。
 およそ三ヶ月、ベッドの上で考え続けたことだと答えると、工学系の大学で教鞭を執る上の叔父が大手電機会社 TENの系列会社の仕事を斡旋してくれた。
 四月から高卒枠で二ヶ月研修の後、情報系の仕事に就くこと。
 入院中に籍を中村友和の方に移し、真神勇仁の息子であることは人事課の責任者以外漏らさぬよう、手配された。
 リハビリでの努力の甲斐があって、入社式の時には健常者と変らない状態で出席できた。
 そして配属されたのは、TENの神奈川支社内で親会社を含めた各系列会社と協力して仕事を進める部門だった。

 そこに、片桐啓介がいた。

 暖かくて、柔らかな声を今でも覚えている。
「よろしくな。一番最初の仕事は、ここに慣れることだ。後はおいおいでいいから」
 そう言って、いきなり頭を撫でられた。
 びっくりして目を見開くと、そのまま笑って風のように通り過ぎていった。
 まっすぐな背中、いきいきとした足取り。
 今なら解る。
 きっと、この瞬間に、自分は恋に落ちたのだ。


「俺も覚えているよ、びっくりしたから」
 額に唇を寄せたまま、片桐は答える。
「え・・・?」
「こんなに可愛い子を、俺らと働かせて大丈夫かって、心底心配したよ」


「初めまして。今日から配属された、中村春彦です」
その容貌そのままの澄んだ声で自己紹介をされた時、物凄く驚いた。
こんなに綺麗な男の子を普通の会社で働かせて良いのかと、意味もなく慌てた。
 しかし本人はいたって本気だと、すぐに解った。
 だから、これからは彼が働きやすいように導いてやれると良いなと思って声をかけた時に、つい、手が伸びてしまった。
 艶やかな黒髪は、予想以上の手触りだった。
「よろしくな」
 そう言いながら頭を撫でると、大きな目を更に見開かれて驚いた。
 こぼれそうな瞳。
 可愛いな、そう思ったら、つい、笑みがこぼれた。
 毎日が、楽しくなりそうだ。
 俄然やる気になったのはいうまでもない。


 この時配属された未成年の新人たちの中で、ひときわ目立っていたのが中村春彦だった。
 まずは、そのどこか中性的な容姿が女子社員たちの注目の的になり、しばらくこっそり他部署の女子たちが入れ替わり立ち替わり見物に来ていたほどだ。
 たしかに、子供のように綺麗な髪と抜けるような色の白さは、激務で荒れている片桐たちの部署では清涼すぎた。そしてどこにでもあるスーツを着ていても、歩いただけでも品の良さがにじみ出てくる。
 控えめな態度であるのに、黒くて濡れたような瞳の奧には譲らない何かがあって、そのアンバランスさがとても綺麗だと時々見とれた。
 ただ、細くすんなり伸びた手足がどこか痛々しく、海千山千の客とやりとりせねばならないこの業界でやっていけるのかとも危惧した。
 しかしそれもほんの数日のことで、新人たちの誰よりも機転が利いて、するりとその場に溶け込んでいった。
 これなら大丈夫かとほほえましく見守っているうちに、やる気と能力を高く評価した人事課の指示により彼は二年の専門研修を受けることになった。
 業界一やり手と言われるTENは国内外、幅広く展開していた。
 自分自身、今の部署に二年後もいられるかどうか解らなかったので、もう会うこともないだろうと送別会の時には寂しく思った。
 その後、片桐も一時期はよその地方の仕事に回されたりもしながら業績を上げていった。
 二年後神奈川へ戻ると、丁度研修を終えた春彦も戻ってきた。
 互いに再び一緒に働くことが出来たのも、また奇跡だった。









 『ずっと、ずっと甘い口唇-65-』へつづく。







     < ↓ポチリとしてくださるとうれしいです↓ >

  br_decobanner_20100412095827.gif  にほんブログ村 小説ブログ BL小説へにほんブログ村



スポンサーサイト

タグ:続きを読む

コメント

コメントの投稿

非公開コメント