『ずっと、ずっと甘い口唇』-62-(『楽園』シリーズ) 

2012, 10. 12 (Fri) 19:50

 今日も今日とて、「真神家の一族・ジェットコースター式あらすじ」の回でございます。
 なんだか、私自身が勇仁にねじ伏せられ気味・・・。
 もっと簡潔に流すつもりだったのですが、彼の演歌に引きずられてしまいました。
 まあ、悲しきオオカミなので、許してあげて・・・下さい。

 前回の冒頭でちらりと書きましたが、代議士とその妻の日常は本当に忙しいと思います。
 生け花を習っていた頃、家元主催(地元の流派だったので)の新年会には色々な議員の祝電や秘書たちの代理出席で一部来賓席がひしめいていましたし、とある党派の票のとりまとめをしていた知人のお父様が亡くなった時には現職議員が直々に焼香のために尋ねてきましたし(間近に見て、ああ、テレビの人とそっくりと感心した庶民・・・)、隣県のひなびた温泉地へ行けば、地元議員夫人が今からやってくるとのことで婦人会の方々が右往左往・・・という光景を目にしました。
 それらを考えると、大変だなあと。
 身体が弱い人には無理なお仕事です。
 まあ、一部息抜きはそれなりにあるのでしょうけれど。
 ・・・でないとやっとられんわ。

 春彦の過去話、次回で、次回こそ終了します。
 もう、いい加減その後は察しが付くのではないかと思いますが・・・。
 勇仁も、友和も、私の中でモデルがいます。
 勇仁の場合は顔と雰囲気だけかな。身長だけはちょっと違うか。
 韓国の色悪な熟年俳優。
 目力が強く声も低くて雰囲気も合わせてとても格好良く、彼見たさに見ているドラマがあります。
 友和は、美男と言い難いですかとても味のある俳優。
 一度見たら忘れられない顔なんですけどね。
 あ、年齢的にドンピシャだったんだ・・・(←ごそごそと裏で年齢を調べた)。
 ある程度現実のモデルがいた方が、私はとても動かしやすいので・・・。

 明日と明後日は小説更新できませんが、なにか与太話でも少し書ければ・・・と思います。

 ではでは、皆様良い週末を。


 どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「ずっとずっと甘い口唇」の保坂VS.第三秘書の篠原です。
  お題は「アタシ、猫」。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。


 そういや、締め切りもうすぐなのですが、何かリクエストありませんか~?
 このままでいくと、有三(39歳)VS.啓介(12歳)になりそうです・・・。
 どうして私が考えつくのは戦いなんだろう。

 イキモノのサガですかね、日々戦いって。





  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-62-』



 端から見たら丸く収まっているように見える今回の一件を、一番納得していなかったのはもちろん勇仁である。
 離婚など、寝耳に水だった。
 清乃が不意打ちで行った遺言の公開は、勇仁の政治家生命を救っただけではなく、晴美のことも含めて美談にすり替えた。
 これにより、話し合いは一切無いまますぐにでも勇仁は離婚を承諾し、晴美と再婚、裕貴を入籍せざるを得ない。
 すぐさま清乃の元へ飛んでいって怒鳴りつけた。
 しかし、事件以来、ほんの二ヶ月ばかり会わない間に清乃は変っていた。
 いつも青ざめて後ずさるか、諦観しているような顔をして俯いていた彼女は、まっすぐに顔を上げ、勇仁をひたと見据えた。
 真っ黒で潤んだような瞳は、出会った頃よりももっと美しく、静けさの中に力を感じ、勇仁はたじろぐ。
 背筋をまっすぐに、居住まいを正して彼女がまず口にしたのは、謝罪だった。
「これで貴方を、私達から解放することが出来ます。長い間お待たせして申し訳ありませんでした」
 父娘の勝手をなじり、激しく罵っても、首を軽く傾けて薄く笑うばかりで、微動だにしない。
 ただ一言、「晴美さんと、裕貴君と、三人でこれから幸せになって下さい」そう言うと、あとは彼女の呼ばれてやってきた惣一郎の専属秘書と弁護士に処理を任せ、その場を去ってしまった。
 呆然と座り込む友人の前に、二人は書類を広げながら言いにくそうに口を開いた。
 惣一郎の遺言は、いくつか選択肢を残した形で作成され、清乃に決定権があったと。
 もともとあまり体調の良くなかった惣一郎が倒れるのは、ある程度想定内であったこと。
 警察へ出頭する前に処理を終え、あとを芳恵と清乃に託し、その中で、彼女が選び取ったのが離縁と政治基盤を含めた代々の守ってきたものの譲り渡しだった。
 芳恵の産んだ次男と三男はまだ三十代半ばで若く、それぞれ工学系の研究者と医者という、政財界から一番遠い職業に就いたことにより、政治家になる意志のないことを早くから表明していた。
 世間の目から見たら庇を貸して母屋を取られるようなものだが、どだい、長兄が亡くなった時点で真神家は崩壊したのだという見解は、姉弟三人で一致していた。
 いつの頃からか彼らは、この不毛な状態を勇仁が亡くなり次第終了させるつもりでいたのだということも、この時初めて知った。
 目の前ががらがらと崩れていく思いだった。
 次第にエスカレートしていく勇仁の横暴を黙って彼らが堪えていたのは、強さへの恐れと依存からではなく、ひとえに惣一郎を思ってのことだったのだ。
 勇仁は、影の支配者である惣一郎さえいなくなれば自分が名実ともに総領となり、それからならば全てうまくいくと思い込んでいた。
 一度も働かないまま結婚し長年拘束され続けた清乃にはこれといった能力がなく、経済面で確実に勇仁に頼らなければ生きていけなくなるからだ。
 晴美をはじめとした愛人はただのはけ口であり、清乃を傷つけるための道具でしかない。
 勇仁は、妻の美しさに不安を覚えていた。
 いつもどこか天女のような清乃は、人としての生気が無くともすればそのまま消えてなくなりそうだった。
 彼女をわざと傷つけ、表情が動くのを見て、生きていると確認していたようなものだ。
 そして俯く彼女を見る度に、後悔と己への嫌悪が募り、どうにもならなかった。
 優しく接するなど、到底無理だった。
 惣一郎に引き合わされて以来、彼女のことを思い出さない日は一日たりともなかった。
 しかし、10歳近く年下の、温室育ちの花をどう扱えばいいかなんてわからない。
 できたのは、冷たく追い詰めるか、乱暴に押し倒す、それだけだった。
 指先一つ、絡ませることなく夫婦の関係は終わる。

 さすがに力の抜けた勇仁が、清乃と春彦の去った家で幾日か過ごしているうちに自然と耳に入ってきた使用人たちの会話を小耳に挟んで愕然とした。

「これで、お嬢様は中村さんとお幸せになれるのですね」

 彼らは勇仁が不在と思い込み、不用意にも噂話に興じた。
 それは、清乃に現在恋人がおり、いずれ再婚するだろうと言う話だった。
 相手の名は、中村友和。
 定年間際の地元警察官だった。
 贈収賄が報道された直後から真神家本邸別邸ともに愉快犯と思われる嫌がらせが頻発していた。時には不審物の入った郵便が到着したり、火炎瓶のようなものが投げ込まれることがあったという。それらは大事に至らなかったので、全国紙で報道されることも、海外にいる勇仁の耳に入ることもなかった。
 そして、惣一郎の出頭。
 それらも合わせてよく真神家に顔を出すようになった警察官の一人が中村友和だった。
 三十代の頃に両親の介護のために出世と結婚を諦めたが、部下や同僚たちに慕われた人格者。
 そんな彼と清乃はすぐに打ち解けて、ことあるごとに穏やかに会話している姿を誰もが目にしていた。
 二十も年下の清乃を慰め、優しく手をとる様子に、やがて同情や労りだけではなく、男女の情も生じ始めていることに、最初に気が付いたのは病床の惣一郎だった。
 初めて見る娘の甘さを帯びた明るい表情に、彼はこれまでのことを深く後悔したという。
 臨終の直前に、彼は新たな遺言を加えた。
 清野を真神家から離籍させよと。
 その後、父を看取る時も、葬儀の時も、母を突然失った時も、静かに背後から見守り支えていたのは彼だった。一応人目をはばかっているものの、時々交わす二人の視線は親密で、それによって初めて力を得た清乃はやがて最期の総領としての務めを果たすまでになった。
 これにより、長年真神家本家に仕えてきた者、親族ともども、惣一郎の最期の言葉の意味を正確に理解し、彼女の再生を喜んだ。
 
 事実関係を確認した勇仁はすぐさま不服として、離婚を拒絶する。
 しかし、清乃の不倫を理由にせっかく美談に納めた晴美母子との関係を今更撤回できないという周りの説得に折れた。
 ただ、往生際悪く、春彦の親権だけはなんとしても譲らなかった。
 母親をまるで写し取ったかのように繊細な容姿と穏やかな性質を持つ長男は、見るからに政治家に向かない。そして、ほとんど一緒に暮らしたことがないまま成長し、お互いに他人のようなものだった。
 しかし、春彦は清乃に繋がる、唯一の手段だった。
 もちろん清乃たちと争うことになったが、それこそが彼の狙いだった。
 離婚協議が親権争いで長期化するのは良くあることだ。
 珍しいことではない。
 親権を譲らねば離婚はしないし、晴美たちとの再婚もないと主張し、泥沼化の様相を呈した。
 ところがこの時、意外にも春彦自ら意志を示した。
 真神に残りたいと。
 高校生である自分の今後の進路を考えると今更、清乃たちについて行く気がしないと言う彼の言葉に周囲は動揺したが、春彦は頑として譲らなかった。
 友和は清乃との不適切な関係を理由に過疎村の駐在に左遷が決定していた。
 彼らについて行ったとしても地域に学校がなく、一番近くの公立高校としても通学は不可能で下宿か寮生活を送るしかなく、真神家近くにある県下一番の進学校で優秀な成績を納めている春彦の発言はもっともなことだった。
 こうして、春彦は勇仁の元に残った。

 しかし、それは誰も予想しなかった方向へと更に転がっていった。







 『ずっと、ずっと甘い口唇-63-』へつづく。







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