『ずっと、ずっと甘い口唇』-51-(『楽園』シリーズ) 

2012, 09. 14 (Fri) 20:25

 ほんと、取り急ぎ更新。

 リンクの貼り直しは終了しました。
 ちょこちょこと文章も修正をかけていますが・・・。

 結果としては折衷案・・・と言ったところでしょうか。
 数日おかなかったら、そのまま凄いことになっていたような気がします。
 その分、お待たせして申し訳ありません。 

 この話も、気が付いたら50話を超えてしまいました。
 根気強く読んで下さる皆さんに感謝しています。
 拍手を下さる方、コメントや感想など送って下さる方。
 本当に有り難うございます。
 ようやくゴールも見えてきたかなと思いますが、まだまだ続きますので、どうぞおつきあい下さい。
 このぐだくだな甘い話を楽しんで頂けると嬉しいです。

 


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「恋の呪文」の江口×池山の 『はやく、はやく』 です。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 今月更新分は、リクエストを頂きましたので、「本間VS.第三秘書」を予定しています。
 これからも何かありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。







  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


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 『ずっと、ずっと甘い口唇-51-』



「ここに座って」
 手を取ってソファに座らされる。
 そして片桐はルームサービスで運ばれたワインをグラスに注ぎ、フルーツや軽いつまみと一緒に春彦の前にあるテーブルに並べた。
 何もかも、スマートな所作に思わず見とれてしまう。
「どうぞ」
 隣に腰を下ろすと薄紅色のグラスを差し出す。
 目線で促されて口をつけた液体は、果実のような香りがする一方で少し舌をちりりと焼くようなスパイシーな味わいだった。こくりと一口飲むと、彼も一口飲んで息をついた。
「・・・慣れてるんですね」
「うん?・・・まあ、居酒屋バイト歴は結構長いからな」
 そう言って、イチゴをフォークで刺して春彦の口元に運ぶ。
「いえ、そうではなく・・・」
「ん?」
 ほら、と促されて口を開いた。
 舌の上にのせられたそれをゆっくりと租借すると、満足げな顔をされて、ますますどうして良いか解らなくなる。
 いつもの彼からは想像のつかないかいがいしさだ。
「あの、・・・ここで、こうしていることに・・・です」
 とぎれとぎれに答えると、言わんとすることを理解したのか苦笑した。
「ああ・・・」
 自分も一粒イチゴを摘みながら、少し考えるように宙を見つめる。
「このホテルには、確かに慣れてるんだよな・・・」
 そして、向き直って、春彦の目をのぞき込んだ。
「松濤の、祖父たちの家はあまりにも大きすぎて落ち着かないんだよ。伯父たちにも遠慮が立つし。だから最近は、祖父の言いつけをこなす時に詩織とここに部屋を取って、変身する」
「変身?」
「そ。片桐啓介から、長田家の一員に。人手が足りないというのは建前で、あちらの思惑だってのは解ってるんだけど、みんな本気で可愛がってくれているから断りづらくてな」
 手を伸ばして前髪を優しく梳いてくる。
「詩織は年頃の女の子で、しかも好奇心の塊だから、豪華なドレスや着物で会場をすまして闊歩しながらコスプレだ、仮装だってかなり楽しんでいるし。この前はヨーロッパの社交界デビューするから付き合えと言っていたな。でも、あいつも俺も、長田になる気は無いんだよ」
 今度はオレンジを差し出され、それを口に入れた。
「祖父はかなり前のめりだけど、祖母はどちらの世界も知っておくにこしたことない、知った上で人生を選べというスタンスだから許される話なんだよな。その点は感謝してる」
「そうですか・・・」
「ただし」
 すっと肩を寄せ、声を落として囁いた。
「こうして、誰かと過ごした事はないからな」
 くっきりした二重まぶたが、近い。
 一気に体温が上昇する。
「でも・・・」
 この、甘さが怖い。
 鼻が触れるような近さで、互いに果実の香りのする吐息が混じり合う中、春彦は視線をさまよわせた。
「柚木にさっき指摘されたけど、俺はけっこう付き合ったヤツの言いなりになることが多くて、情けないことに何も考える必要はなかった気がする。二人きりになるために一生懸命知恵を絞ったのも、こんなことをしているのも、お前が初めてだよ」
 ワインのアルコールが回ってきたのか、頭がくらくらする。
「・・・ハル」
「・・・はい」
 頬を両手で包まれて、目を合わせられただけなのに、まるで強い力で捕らえられているような心地だ。
「俺が上海で決めたことが何かわかるか?」
 彼の茶色がかった瞳に吸い寄せられる。
「・・・いいえ。わかりません」
 自分が、何を答えているかも解らない。
「お前にまず謝って、それから、口説く」
 息が、苦しい。
「何時間でも、何日でも、口説こうと、それだけを考えてた」
 浅く開いた唇を、片桐の親指がそっととなぞる。
 下唇と、上唇をゆっくり、ゆっくりと何度も丁寧に往復され、そこから溶けていきそうだ。
「唇に、触れても良いか?」
 春彦は静かに目を瞑り、顎を傾けそれを差し出した。




 『ずっと、ずっと甘い口唇-52-』へつづく。







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