『ずっと、ずっと甘い口唇』-49-(『楽園』シリーズ) 

2012, 09. 12 (Wed) 08:15

 なんとか、予告通りの朝更新。
 早朝でなくなってしまったのは、すべて暴走特急な二人のせいですよ・・・。

 しかも、修正かけたら、あり得ない場面であり得ないだらだらっぷり。
 どうしてくれよう。

 さらに、私の予定していた道を彼らは歩いてくれません。
 そっちじゃないって、こっちだってばと半泣きになっても言うことを聞いてくれませんよ・・・。
 これからもこんなペースかもしれません・・・。
 どうか、甘すぎる二人にヤジを飛ばしつつ読んで下さると嬉しいです。


 前回の日記に書きましたが、こちらでももう一度。

   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「恋の呪文」の江口×池山の 『はやく、はやく』 です。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。


 今月更新分は、リクエストを頂きましたので、「本間VS.第三秘書」で。
 二人が対等かと問われれば、疑問なんですけどね・・・。
 
 これからも何か思いつきましたら是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。

 ではでは、49話をどうぞ。




  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


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 『ずっと、ずっと甘い口唇-49-』




 なにがどうして、こんなことに。

 春彦は困惑している。
 自分の置かれている状況が理解できなかった。
 今、自分は何故か湯船の中にいる。
「・・・なんなんだ・・・」
 たっぷり張られたお湯の中には入浴剤。
 足を伸ばして湯船の縁にもたれたままぼんやりと天井を見上げた。
 疲れがとれる心地よさで、だんだんと眠気を誘い、瞼をとろりと蕩けさせる。
 でも。
 でも、さっきまではとても大きな公園にいて。
 桜の木の下で・・・。
 そこまで思い出したところで赤面する。
 抱きしめられて、キス、された。

「おまえが、すきだ」

「・・・ッ!」

 ぱしゃん、と水音を立てて身を起こし、顔を伏せた。
 心臓が、どきどきする。
 しばらく両手で胸を押さえて落ち着くのを待つが、かえって速度が増していくような気がした。
 力の入らない指先をそっと唇に這わせる。
 ここに、片桐さんの、彼の唇が・・・。
 そう思っただけで、頭に血が上る。

 ずいぶんと長い間唇を合わせていたように思うが、ほんの僅かな時間だったのかもしれない。
 唇に、瞼に、鼻先に、顔中、色々なところに口付けられて、そのたびに、思考能力が薄れていった。

 ふわふわと夢の中にいるような心地のまま、片桐に手を取られてしばらく歩いて、気が付いたら豪華絢爛なホテルのロビーの椅子に座らされた。そして間もなくスタッフらしき人がやってきて片桐に声をかけ、その人の案内で今度はいくつかの扉をくぐったりエレベーターに乗せられたりしているうちに重厚な部屋へ通されて二人きりになった。
 状況がわからずにぼんやり辺りを見回していると、少し苦笑いしながら片桐がまた額に、頬にと軽く唇を落としてくれる。
 目を閉じてそれを受けている間に、上着とネクタイは取り払われて床に落とされた。
 そして片桐に手を引かれて入った先はパウダールームだった。
 洗面所前に置かれたスツールへ座らされ、彼はにこりと笑って正面に膝をついた。
「ほら、足を上げて」
 優しく足首をとってゆっくりと靴を片方ずつ抜き取り、両足を片桐の膝の上にのせる。
「片桐さん・・・」
「ん-?どうした?」
 首をかしげて、不思議そうな顔をされ、何も言えなくなった。
「いえ・・・。あの・・・」
「俺は一晩しか徹夜してないけど、お前は二晩ともろくに寝ていないから疲れただろう」
 そう言って、両足の靴下を脱がせ、それぞれの足首から足の裏をゆっくりともみほぐし始めた。
 適度な力がとても気持ちいいが、とんでもないことだ。
「片桐さん、そんな、良いです、やめてください」
 慌てて足を持ち上げて抜こうとするが、意外と強い力で握られて動けない。
「俺がこうしたいだけだ。させてくれないか?」
 上目遣いに見つめられて、春彦は、ただただ頬を染めるしかできない。
 この、この上目遣いは反則だと思う。
 慌てて目を伏せると、それを了解ととった片桐が満足げな笑みを浮かべた。
「ありがとう」
 礼を述べた後、彼はしばらく両足の指圧に専念した。
「・・・上手なんですね」
 間が持たなくて、呟くと、そうかもなと相づちを打たれた。
「九州の祖母が生きていた時に習ったんだ。野良作業で疲れた時とかにここをこうしろああしろとな。今思えばリアル孫の手だよなあ。その上ばあさまが周りに自慢したものだから、みんなよってたかってやってくれって言ってきて、一時は整体師になれとまで言われた。まあ、持ち上げられていただけだろうけどな」
 と、楽しそうに笑う。
 きっと、片桐は父方の土地でも人々に深く愛されたのだろう。
 彼の指先からはまるで太陽のような暖かさを感じる。
「・・・きっと、皆さんは片桐さんのことが可愛くて仕方なかったのですね」
「そうか?尻に蹴りを入れられたりしたぞ?」
「それでも、です。片桐さんがそばにいると、とても暖かい気持ちになれますから」
 本心からの言葉に、片桐は急に手を止めた。
 そして、少し照れたような顔をした。
「そう言われると、なんだか自信がわいてくるな・・・」
 足の甲を手のひらで数度なでさすった後、急に伸び上がってきて鼻先に口づけされた。
「・・・とりあえず、風呂に入って」
 間近に、濃いまつげがある。
 彼が、近い。
「・・・でも」
「いいから。俺は部屋係に頼みたいことあるし」
 鼻と鼻を、獣の挨拶のようにすりあわされた。
 まるで、親愛の情を交わすかのように。
 こんな事をされて、春彦は手も足も出ない。
 こくりと黙って肯くと、よし、と呟いて鼻先を甘噛みされた。
「あ、脱いだ物は、この籠な」
 この人は、ずいぶんと平常心だなと思ったのが顔に出たのか、無意識のうちに口に出していたのか、彼は、また笑ってこめかみに口づけながら言う。
「平気じゃないさ。ただ、お前が思っている以上にずるがしこくて、計算高いだけさ」
 そんなことはない、と反論したら、破顔した。
 喉を鳴らして笑いながら、顔中に何度も口付けてくれる。
「俺は、下心ただ漏れの、ただの男だよ」
 最後に、頭をくしゃくしゃに撫でられ、ぽん、と肩を叩かれた。
「ゆっくり、疲れを取ると良い」
 隣のガラス戸を覗くと洗い場の付いたバスルームがあり、いつの間にかバスタブにはお湯が張られていて、柑橘系の入浴剤の香りがほんのり立ち上っている。
 夢かうつつかわからないまま衣服を脱いで、ガラス戸の中に入り、シャワーの栓を開く。
 上から降ってくる適度な湯を全身に受けた。
 ここ数日の、身体にたまった疲れと汚れが水滴に剥がされていく。
 彼の気遣いが、嬉しかった。



 『ずっと、ずっと甘い口唇-50-』へつづく。







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