『ずっと、ずっと甘い口唇』-48-(『楽園』シリーズ) 

2012, 09. 10 (Mon) 19:38

 今日も甘いですよ・・・。
 そして、明日も甘い。
 つ、ついてきて下さいね、皆様・・・。
 
 今しばらく続きますから、よろしくおねがいします。

 9/11の朝7時半頃に後半部分を追加しました。
 それ以前に読まれた方は、出来ればもう一度ご覧下さい。
 これは48話の方に必要だと判断したので加えました。

 ・・・それより、早朝から何書いてるんだ、私・・・。

 
  どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「恋の呪文」の江口×池山の 『はやく、はやく』 です。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。


 ・・・って、締め切りもう目前ですね・・・。
 何かありませんか~?





  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-48-』



「・・・どこから話したらいいだろうな」
 春彦の頭を片手で包み込んで、片桐は囁いた。
 そしてまるで小鳥を抱いているかのように、指先で優しく頭を撫でる。
「旅行のほとんどは旅館で雑魚寝だったけど、いつもお前が隣に寝る機会が多かっただろう。慣れない旅で疲れ切ったお前はいつも熟睡していたな」
 確かに経費を安く上げるために、学生たちが合宿に使うような民宿を使った日が幾日かあった。片桐の故郷を訪れた時に至っては、本間を先頭にした女性陣が地元民と意気投合してしまった勢いもあり、一部を除いてほとんどがホテルをキャンセルして片桐の親類縁者の家へ分散して泊った。その時春彦は片桐の部屋で寝起きしていた。
「それは・・・」
 それは、少し違う。
 春彦は、きゅっと、片桐のスーツの裾を握った。
「・・・毎日、緊張していて・・・」
「ん?・・・そうだよな・・・。知らない土地を連れ回して、知らない人にたくさん会って、その上タイトなスケジュールで気疲れしただろう。ごめんな」
「いいえ、そうじゃなくて・・・」
 片桐の肩の上で小さく頭を振る。
「こんなに長い時間を一緒にいられたことがなかったから・・・」
 顔を、上げることが出来ない。
 くぐもった声のまま、続けた。
「近くで、色々な片桐さんが見られて、それがとてもとても嬉しくて、楽しくて・・・、俺はいっぱいいっぱいでした」
 こんな、こんな時間は二度と無いと思った。
 だから、目に焼き付けて、耳で記憶しようと躍起になり、夜が来る頃にはくたびれ果てていた。
「・・・そうか。俺もお前が少しでも笑ってくれたら、物凄く嬉しかった。その度に、もっと笑わせたいって、そればっかり考えてたよ。だから、九州横断なんかになってしまったんだよな」
 最初は、柳川の川下りをして有明海を見せる程度の予定だったのに、参加人数の増加とともにどんどんふくらんでいった。
 発起人の自分たちを置いてけぼりで進む旅行計画にあきれる一方で、九州初体験の春彦に喜んでもらえるならそれもいいかと、思ったりもした。
 春彦の頭に頬を寄せる。
「・・・嬉しい・・・です。九州を見てみたいって俺が言ったのを、片桐さんは覚えていてくれたんですね」
「ああ。いつか休暇が取れたら一泊二日でも良い、ぜったい連れて行くぞって決めてたんだ、俺は・・・」
 彼の柔らかな髪は、夜風のせいか、ひんやりと心地よかった。
 そして、その中にある小さな熱がいとおしい。

 どうしよう。
 すっぽりと腕の中に収まってしまった彼を離すことが出来ない。

「お前が、見てみたいってあんな顔して言うから・・・」
「あんなって・・・」
 少し春彦が顔を上げ、前髪の間から黒い瞳がのぞく。
 薄明かりにきらきらと光って、見とれてしまった。
 綺麗だ。
 こんな綺麗で、魅力的な瞳を見たことがない。
「その、目だよ」
 そして、思わず首を傾けてこめかみに唇を寄せてしまった。
「・・・っ」
 触れると、びくりと、身じろぐ。
「・・・ほらな。つい、こうしたくなるんだよ・・・」
 苦笑しながらも、二度、三度と、こめかみに額に、唇を落とす。
 やめられない。
 かろうじて、白い貝殻にさっと紅をはいたような耳に触れるそうになるのをこらえた。
「片桐さん・・・」
 吐息のような、かすかな声を上げる。
 裾を握っている指先が震え、とくんとくんと胸が脈打っているのを全身で感じ取った。
「横で眠っているお前の寝顔を見ながら、毎晩何を考えていたと思う?」
 いやいやをするように、無言で首を振る春彦の頭を両手で包み込み、ゆっくりと上向かせた。
「唇に、触れてみたいと、ずっと、ずっと、そればかり考えてた」
 震える唇から、淡い吐息を感じる。
「ハル・・・」
 黒い瞳をゆるく閉じると、長いまつげが繊細な影を落としていた。
 うっすらと、コーヒーの香りがするそれにゆっくりと自らのを合わせていく。

「お前が、好きだ」
「・・・っ!」

 唇と、唇が触れる瞬間に囁くと、何かを言おうとしたのか僅かに唇が開いた。
 しかし、それが形になるのを待てずに上唇を軽く吸った。
「・・・あ」
「ハル」
 下唇も愛撫して、更に深く合わせた。
「好きだ」
 やがて、されるがままの春彦を、堰を切ったようにむさぼる。

 柔らかな唇、臆病で小さな舌、両手の中の、なめらかな頬。
 控えめにスーツの裾を握っていた春彦の細い指先が、やがてすがるように片桐の背中に回る。
 何もかも、可愛くて、愛しい。

 「ハル・・・」
 「か・・・た・・・っ、ん・・・」
 呼吸すら絡め取りながら、何度も、何度も唇を合わせた。

 甘い。
 こんなにも甘い唇を、他には知らない。






 『ずっと、ずっと甘い口唇-49-』へつづく。







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