『ずっと、ずっと甘い口唇』-46-(『楽園』シリーズ) 

2012, 09. 05 (Wed) 18:46

 今日は、ばたばたした中で更新するので、誤字脱字が多いかもしれません。
 後日修正しますので、どうか笑って許して下さいませ。

 そういや、前回の分も、今日の午後に修正しています。
 いつも綺麗な形でアップ出来ず申し訳ありません。

 少しは進んで欲しいわ・・・。




  どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「恋の呪文」の江口×池山の 『はやく、はやく』 です。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。



  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-46-』




 店を出て、数歩歩いてから呆然とする。
「けっこうたくさん咲いていたんですね・・・」
「うん。来た道も咲いていたんだな」
 先ほど通った噴水の前にも、公園の入り口あたりにも桜の木々の枝先には白い花が開いていた。
「なんでかな。さっきはぜんぜん気が付かなかった。とにかく猛烈に腹が減ってたからかなあ」
 片桐は狐につままれたような顔をして木々を見上げた。
 本当に、ほんの少しだけ咲いていると思い込んだ園内の桜はそこかしこで暗がりの中、その所在を主張していた。
「まあいいか・・・。見物客もそんなにいないし、のんびりしていて俺たちにはちょうど良い」
「そうですね・・・」
 数日前にとても暖かい日があったので急速に蕾が開いたためか、花見客がさほど見当たず、あたりはとても静かだ。
 また、ここはオフィス街の真ん中であり、近くには皇居など桜の名所がたくさんあるため、そちらに人が流れているとも思われる。
 開き始めたばかりの、桜のみずみずしい花弁を見上げながら、春彦はぽつりと言った。
「そういえば・・・」
「ん?」
 視線はそのままに。
 彼の顔を見て話すことが出来なかった。
「先ほど裕貴が、詩織さんと片桐さんに宜しく伝えて欲しいと・・・言っていました」
 桜の咲く夜は風がまだ冷たい。
 すうっと春彦の首筋を撫でていった。
「ああ・・・」
 傍らで片桐が長く息をつくのが聞こえる。
「やっぱりばれたか。裕貴くんは聡いし、律儀だからなあ」
「裕貴を覚えていたんですか?」
「うん?俺が見かけたのは新年だったけど、可愛い子だし。たった三ヶ月の間にぐんと手足が伸びて最初はちょっと解らなかったな。でも、一緒にいた晴美さんはどこにいても目立つから、話している途中で思い出したよ」
 そして、彼も桜を見上げたままで言葉を続けた。
「ただ。・・・お前が真神さんの長男って、気が付くには、少し時間かかった」
「そうですね。俺は離籍していますから・・・」
「いや、真神さんって言えば国会では番長というか武将というか・・・。コワモテだから、どうにも繋がらなくてさ・・・」
 真神勇仁。
 現役の国会議員だ。
 春彦の実父は、現在の与党でそれなりに重要なポジションにおり、その言動は常に注目されている。更に彼の経歴や、諸事情で複雑になってしまった家庭環境はおもしろおかしく知れ渡っている。
「片桐さんは、どちらかというと東京のお祖父様に少し似てますね」
「ああ。俺にとってはどこが?って感じだけど、よく言われる。あ、祖父の前で言うなよ?調子に乗るから」
 外孫にもかかわらず、特に可愛がられて・・・。
 晴美の言葉が頭に響いた。
「まあ、そのつまりさ・・・」
 片桐にしては歯切れが悪い
 つい、気になって振り向くと彼は少し緊張した面持ちで言葉を続けた。
「この間は、・・・さ。それが美咲たちにばれたから、ややこしいことになったんだよ」
「ばれた?」
「母方の事情を適当にごまかしたままにしていたんだけど、この間うっかり課長が漏らしてしまって・・・」
 深く、深くため息をついてから結論を言う。
「片桐啓介はごめんこうむるが、長田啓介とはぜひ結婚したい・・・って事だった。でも、俺は長田になる気はさらさら無いから決裂した」
 決裂。
 あの時の瀬川親子を思い出す。
 彼らは、彼らなりに必死だったのだ。
「そもそも、俺はあの時点ですっかり美咲のことは頭になかったから、決裂も何もって感じだったけど」
「え?どうして・・・」
「どうして?」
 目の端に、桜の花びらが、風に吹かれて小さく震えるのが映った。

 木々に隠れて街灯の光が届かない薄暗さの中、なぜか片桐の表情だけははっきり見えた。
 優しいような、怖いような、綺麗に切れ上がった二重まぶたの瞳が、一瞬、光ったような気がする。
「どうしてか・・・。本当に解らないか?」
 
 ゆっくりと、彼が手を伸ばしてきた。

 やんわりと、捕まれた手首が、熱い。




 『ずっと、ずっと甘い口唇-47-』へつづく。







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