『ずっと、ずっと甘い口唇』-44-(『楽園』シリーズ) 

2012, 08. 31 (Fri) 19:52

 今週は全く駄目ですみません。

 駄目ついでに、昨日今日と首をやってしまいまして。
 無駄に長い顔と首を持っているので、ときどきやってしまうのですよ、ぐきっと。
 理由の一つは、昨日の出勤バスであまりの疲労にうたた寝で首かっくんやったせいですね。
 ・・・はずかしいです。
 非常に。
 そして、顔を洗うために前傾姿勢を取る時が一番辛いです・・・。

 これはあれだ。
 三三九度の時にかつらが重くて杯に口をなかなかつけられなかった時に似てるわ・・・。
 ・・・って、いっしょにするなってね。
  
 それでも明日はまた仕事。
 がんばります。

 で。
 今回もちょっと短いです。
 説明的会話。
 今自分で読み返してみて、晴美さんって以外と親切だわ~と思ったり。
 いやいや、そんなことないか。
 まあ、45話から動きますから、その前にのんびりと・・・読んで頂けると嬉しいです。
 小説の次の更新は月曜日を予定しています。


 ではでは、44話。
 楽しんで頂けると幸いです。


 一応、もうしばらく拍手の小話の宣伝を。

  どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「恋の呪文」の江口×池山の 『はやく、はやく』 です。


 
 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。
 もう、8月も終わりですね。
 次のことも考えなきゃ・・・




  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-44-』



「ひろたか!」
 車に乗り込む寸前の弟に声をかける。
 驚いて振り向いた裕貴の瞳が、幼い頃と変わらず綺麗なことにどこか安堵しながら先を続けた。
「待って。連絡先を渡したいから」
 ちらりと母親を見ると、彼女は目を伏せて先に車に乗り込む。
 これは、了承ととって良いのだろう。
 そう受けて、名刺の裏にペンを走らせる。
「表が、会社の場所。裏に僕の携帯とメールアドレスを書いておくから。仕事が忙しくて安請け合いは出来ないけど、近いうちに一緒にどこかへ行こう」
 その言葉に、弟は目を輝かせた。
「有難う、春彦兄さん。今日は本当についていたな。兄さんに久しぶりに会えて、今からは父さんにも会える」
 ・・・それは、ほとんど晴美の家へ帰っていないと言うことか。
 いったい、あの父は何がしたいのだろう。
 ペンが不自然に止まりそうになるのをこらえて、メールアドレスを書き続けた。
「あ。そういえば」
 裕貴が首をかしげた。
「春彦兄さん、長田の啓介様と同じ会社なのですか?」
「え・・・?」
「だって、先ほど一緒にいらしたのは、長田家の方ですよね?」
 長田家。
 耳慣れない言葉に戸惑う。
「は?」
「なんですって?」
 車の中から実はやりとりを聞いていたらしい晴美が口を挟んできた。
「どういうこと、裕貴?さっきの男の人、長田の人なの?」
 多少面白い人物とは思ったが、ただのくたびれたサラリーマンにしか見えなかった。
「裕貴。ちがうよ。あの人は片桐さんという方で、長田という苗字では・・・」
「え?だって、詩織様のお兄様ですよね?」
 そう言われて、九州で会ったかなり印象的な目元の美少女を思い出す。
「確かに片桐さんの名前は啓介だし、高校生の妹さんの名前も詩織さんだけど・・・。彼女は九州にいるよ?」
「お住まいは九州の・・・。有明海の近くでは?」
「そうだけど・・・」
 晴美は口元に手を当てた。
「そういえば、あの二人は外孫だって聞いていたけれど・・・。まさかそんな」
「ああ、それじゃ、間違いないです。そうか。お二人の本当の苗字は片桐さんだったのですね」
 いかにも合点がいったという二人の反応に、ますます眉を寄せる。
 それに気が付いた晴美が車から身を乗り出してきた。
「春彦さん、あなたは本当に運の良い人ね。」
「・・・え?」
「知らないようだから説明するわね。先ほどの彼は、長田有三のお孫さんの一人よ。外孫にもかかわらず特に可愛がられていて、裕貴の年の頃には政財界のパーティに連れ出されていたわ。いつも控えめでいらっしゃるし、最近はなかなかお見かけしないから解らなかったけれど・・・」
「詩織様なら今も時々おみえになるよ。先月もお会いしたもの」
 少し眩しそうに目を瞬きながら裕貴が補足する。
「長田有三・・・」
 その名の、あまりの大きさに目眩を覚える。
「てっきり、長楽製薬の役員でもしながら悠々自適の生活を送っていると思い込んでいたから、まさかそんな小さな仕事をしているなんて・・・」
「片桐さんは、今の仕事を誰よりも立派にこなしていますよ」
 自分のそばにいることがもったいないくらい。
「そうね・・・。そうでしょうね」
 見抜けなかった自分に少し悔しい思いがあるのか、唇を一瞬かみしめたが、すぐに気を取り直して顎を上げた。
「先ほどの非礼を代わりに詫びておいてちょうだい。いずれ改めて挨拶に伺わせて下さいとね」
 あの、長田有三の孫だからと言わんばかりの彼女に少しいらだちを覚えながら、それ以上の言葉を控えた。
「春彦兄さん、啓介様に宜しくお伝え下さいね。僕は、啓介様たちともっとお近づきになれたら嬉しいです」
 またもや、親子で同じ趣旨の言葉を連ねながら、その心象の違いに少し笑いが漏れる。
「わかったよ、裕貴」
 心の底からふわりと笑って頬を撫でると、弟は少し頬を紅潮させて笑い返した。
「きっと、きっと、連絡しますから、会って下さいね、兄さん」
「うん。必ず会おう」
 ぱっと明るい表情を浮かべ、まるで子鹿が跳ね回るように車に駆け寄ると、振り向いて手を振る。
 そんな弟にゆっくりと手を振り、彼らを乗せて出発した車がやがて小さくなるまでその場に立ち尽くした。
 そして、思考は片桐の事へと戻っていく。

 御曹司。
 ・・・全く気が付かなかった。

 ますます、彼を遠くに感じる。







 『ずっと、ずっと甘い口唇-45-』へつづく。







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