『ずっと、ずっと甘い口唇』-40-(『楽園』シリーズ) 

2012, 08. 14 (Tue) 23:48

 日付が変る直前にぎりきり更新。

 今回もノーチェック投稿なので誤字脱字が花盛りと思いますが、近日中に修正かけますので、どうか笑って見逃して下さい。


 そして、いつもおなじ文面で恐縮ですが・・・。

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 (例えば、タイバニのメイン二人のツンデレ話とか、『恋の呪文』の池山×江口のいちゃいちゃとか、本間VS.第三秘書とか・・・。ええと、もっとシチュエーションとか具体的な方がいいのかしら・・・)
 思い切って、エロのみとか、どうだろう・・・。
 それとも、チューのみがお好みかしら・・・。

 
 締め切りは、8/16の昼の12時です。

 

 これを機に、どうぞぜひぜひご参加下さい。



 江口と池山の話が一着オーダーなので、まずこれから行きますが、他にもご要望がありましたら、是非。
 
 それと、動作確認をしていて気が付いたのですが、FCSの拍手機能は、かなりいい加減です(笑)。
 特に、携帯キャリアは時々カウントされていないようなので、もしもメッセージをせっかく投稿してくださったのに、反映されていない場合は教えて下さい。
 右の柱の簡易メールの方でも構いません。


 こうなったら、拍手機能を別のに変えるしかないのかしら・・・。

 とりあえず、時間がないので現行で行きますが・・・。

 ではでは、銀座編、まもなく終幕です。






 

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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『ずっと、ずっと甘い口唇-40-』




 あとを追ったものの、給湯室の前で春彦はためらう。
 独りになりたくて出て行っただろうに、声をかけても良いものか。
 そっと入り口をのぞき込むと、たまたま振り返った村木と目が合ってしまった。
「・・・ごめんなさい。つい、そのままにしておけなくて・・・」
 彼女の目と鼻の頭は真っ赤に染まっている。
 ハンカチで涙をぬぐった後、口にそれをあてたまま小さく頭を振った。
「い、いいんです。いつもの、いつものことだから・・・」
 まだ時々しゃくり上げながらようようそう答えてくるのに、ますます気の毒になり、足を踏み入れた。
 戸棚の中から急須を一つと湯飲みを二つ出して暖め、先ほどわかした湯をもう一度コンロにかけ、村木が落ち着くのを待つ。
 沸騰した湯を使ってゆっくりと茶を入れ直し、彼女へ差し出した。
「どうぞ。きっと今度の方が美味しく入ったと思いますよ」
 狭い給湯室の中は、茶の匂いでいっぱいになった。
「・・・ありがとうございます」
「いいえ。僕も、あそこで出来ることありませんから」
 そばに立てかけてあった簡易椅子を二つ組み立てて、シンクをテーブルがわりに並んで座った。
「・・・私、この会社に就職するのに物凄く努力したんです」
 湯飲みを両手に抱えて、村木がぽつりと言う。
「・・・そうですか」
 春彦も、短く答えた。
「東京方面は蓋を開けてみたら、見渡す限りコネ入社ばかりで・・・。一般入社の私はなじめなくて、気が付いたらここに飛ばされてました」
 女子社員のほとんどが裕福な家で、金銭感覚だけではなく、価値観そのものが違う。
 それが互いにわかった途端、埋められない溝ができ、更には軋轢に発展していった。
 不和が起きた場合、後ろ盾のない一般社員に勝ち目はない。
「それは・・・。つらいですね」
 よくある話と言えばそこまでだが、気の毒なことだ。
「でも、これくらいで辞めたら学生時代の努力が水の泡だって思って我慢していたけど、もう、限界。私はあんなヤツらのはけ口になるために頑張ったんじゃない」
 鼻をすすりながらも、だんだんと声に力が入ってきた。
 横をのぞき込むと、白い面長な顔に小さくそばかすが散っているものの、眼鏡の下はずいぶんと愛らしい瞳を宿していたことに気づく。
「その眼鏡、もしかしてわざと?」
 実はとても清涼な雰囲気のある綺麗な子なのに、わざと野暮ったい姿を作っているように思えてきて、ついそれが口をついて出た。
「・・・ええ。前任者から忠告されたから。アイツの前で女らしい格好をするなと。嫌われて嫌がらせされる方がましだって」
「それって・・・」
「パワハラ、セクハラ、なんでもありだもの。彼がここに着任してから事務員は私で四代目」
 こうなると、柚木からの一斉送信メールに書かれていた片桐見解が一気に真実へと近付く。
「・・・でもこんな話、僕にしてしまって大丈夫?後で困ったことにならない?」
 自然と、二人の距離が近くなっていった。
「もういいの」
 村木はふうーっと息を吐き出した後、眼鏡を取ってシンクに置いた。
 隠していた顔があらわになる。
 ほぼすっぴんにもかかわらず、つるんと月のような綺麗な肌で、昔、どこかで見た大理石のマリア像のような面差しだと思った。
「なんだかね。あなたたちを見ていたら、暗い顔してここにかじり付いてないで、どこか別の所に行けば良いんだって言う気がしてきたから」
 湯飲みの中の香りをくん、と嗅いだあと、村木はかすかに笑った。
「失礼だけど、貴方いくつ?」
「22歳」
「私が一つ上ね。就職してたった一年だからまだ頑張りたかったけど、もういや」
「僕たちの仕事が良いかと言われると、ちょっと自信ないかな。安月給でハードワークだから」
「でも、みんな活き活きとした顔をしていたわ。まだ23歳なのに、死んでしまえと言われ続けるのはもうたくさん」
 立ち上がって背筋をすっと伸ばし、やかんを手に取り急須に湯を注ぐ。
「村木和香子さんのデータを調べて」
 そっと急須に蓋をした手を止めたまま、唐突に村木が口を開いた。
「え?」
 驚いて春彦は見上げた。
「偶然だけど、名字が一緒なの。福岡支店の村木和香子さん。とても綺麗な人。仕事もものすごく出来るって噂に聞いたわ。彼女の個人情報に侵入してデータの改ざんを試みた形跡があるはずよ」
 先ほどまで涙を流していたはずの村木はどこにもおらず、目の前にいるのは、きっぱりと正義感の強い瞳を持つ女性だ。
「もうこの際、何でも言うわ。私は誰よりもアイツの事知ってるから」
 それはまるで、蝶が羽化した瞬間だった。
「・・・ありがとう」
 少し眩しくて目を瞬くと、彼女は少し頬を緩めた。
「こちらこそ」
 
 と、そこへ、人なつっこい瞳をした顔がひょっこりとのぞいた。
「あの~。すみません。俺も混ぜて貰って良いかな?」
「柚木」
「え?」
 闖入者に驚きの声を上げると、ひょこひょこと軽く飛び跳ねるような足取りで給湯室に入ってきた。
「いや~。なんかあの銀座様って、もしかして隠れホモ?さっきから片桐さんの下半身ばっか気にして、隙あらば本気で脱がそうとするからもう大変よ」
「銀座様・・・」
「隠れホモ・・・」
 二人はそれぞれ違うキーワードに囚われ、呆然とする。
「石川さんたちがなんとか止めに入ってるけど、もうそれで頭いっぱいみたいだったからこっそり抜けてきた。チョロすぎるわ、銀座様」
「そ、それで、片桐さん大丈夫なのかな・・・?」
「ん~。いざとなったら脱ぐんじゃない?今、あっち男しかいないし」
 あまりにも無情でざっくりした答えに春彦は目眩を感じた。
「だいじょーぶ、ダイジョブ。土壇場に強いから、片桐さん」
 ばんばんとその背中を叩き、笑い飛ばした後、大きな瞳をくりくりとさせながら首をひょこっと傾ける。
「ところでなんか、ちょうど良いところに合流したのかな、俺」
 唇をにっと上げて村木を見つめると、彼女もにっと唇を上げた。
「そうね。まずはお茶を一杯どうかな?」
「あ、助かる。あっちじゃ飲んだ気しなかったからさあ」
 ずいずいと二人の間に割り込んで、ちゃっかり椅子に座る。
「で、俺、今聞いたことを伝達しちゃって良い?」
 携帯電話を取りだして村木に尋ねる。
「あー。はいはい。漏らさず言うから、漏らさず伝えて?」
「おっけ。じゃあ、まずは『むらき・わかこ』さんね。それから他に知っていることある?」
「いじっていた時間帯と端末もおおよそ解るわ」
 村木が胸ポケットから小さなメモ帳を取り出した。
 この分だとかなり正確な情報を得ることが出来そうだ。
「らっき。その辺が解るとずいぶん作業が楽ちんになるよな」
「そう?」
「まあ、さっき片桐さんが一斉送信したやつで、もうある程度裏は取ってると思うけど、漏れがあるとまた困るから、こちらとしては正確な話が欲しいと思うし」
 二人が意気投合して作戦会議に熱中し始めたので、春彦は静かに茶の用意をする。
 すると、茶の香りに誘われた彼らが急に顔を上げてにやっと笑った。
「・・・なんでしょう」
「中村さんだっけ。貴方って、物凄く綺麗な人だなあって最初見とれていたんだけど、それだけじゃなく気が利いて素敵よね」
「ほんと、俺、嫁さんに欲しいよなぁ」
「うんうん、お嫁に欲しいわね」
「・・・いったい、この状況で何の話を・・・」
 春彦が思わず頬を染めると、二人は息を呑む。
「・・・かわいい」
「は?」
「22歳でこの可愛さはなんなの?」
「俺と同じ男だと思えないっすね」
「・・・だからそんな悠長な話をしてる場合じゃなくて・・・」
 困惑して眉をひそめると、二人は笑いを納めてまじめな顔になる。
「そうね。たくさん笑うのは、この後ね」
「じゃ、仕事に戻りますか」
 柚木が高速打鍵を携帯電話に繰り出す。
「うわあ。こんなに早く打てる人、初めて見たわ」
 それは、春彦も同意見である。
「ああ、むかーし付き合った子が、ギャルで、コツを色々教えて貰ったっスよ」
「むかーし?」
 手元のメモ帳をめくり、会話を続けながらも柚木の指の速度は変らない。
「良い子だったんだけど、寂しがり屋でね。俺らの仕事は同じ業界の子とでもなかなか続かないから。片桐さんが良い例かな」
「ハリーの彼女?」
「ああ、あれ、モトカノ話で口裏合わせただけだから。ねえ、ハルさん」
「・・・いや、詳しく知らないから・・・」
「そうなんだ?仲が良いから知ってるかと思った」
「・・・さすがに聞けないよ、プライベートな事なんて」
「そういうもんか・・・。よし。これで送信」

「どう?」
 すぐに柚木のメールに対する返事が次々と返ってくる。
「ん。反応もなかなか」


 三人とも確信して、心が躍る一方だった。

 勝利は目前だ。




 『ずっと、ずっと甘い口唇-41-』へつづく。







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