『ずっと、ずっと甘い口唇』-37-(『楽園』シリーズ) 

2012, 08. 09 (Thu) 19:44

 ぎりぎり更新します。
 見直しせずに投稿しますから、多少のおかしい部分はどうか目を瞑って頂けるとありがたいです。
 深夜から明朝にかけて修正します。


 いつもおなじ文面で恐縮ですが・・・。

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 思い切って、エロのみとか、どうだろう・・・。
 それとも、チューのみがお好みかしら・・・。

 
 締め切りは、8/16の昼の12時です。

 結果は後日お知らせします。
 今のところ、早い者順で、なんなら一ヶ月に一本のサイクルで回していくのも良いかなと思っています。
 いつも猫写真では飽きるでしょうしね。


 これを機に、どうぞぜひぜひご参加下さい。





 ではでは、とりいそぎ・・・。


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 『ずっと、ずっと甘い口唇-37-』




 外はまるで別世界だった。
 春の午後の心地よい日差しに、もう戻りたくない気分だったが、そうも言っていられない。
まず、目についた煙草の自販機へ向かう。
「片桐さん、スモーカーでしたっけ」
「いや、大学出た時にある程度辞めたんだけどな。酒が入ったらたまに吸いたくなる程度かな。柚木は?」
「俺もまあ似たようなモンです。煙草につぎ込む金がないですから」
「じゃ、今日は特別ってことで」
「了解」
 二人でそれぞれ一箱ずつ買い、路地裏に向かって足を進めた。
「まるで、2時間サスペンスドラマみたいですねえ」
 のんびりとした足取りで歩く柚木に、前方だけに顔を向けていた片桐があきれた声を上げる。
「・・・やっぱり、ついて来てるか?」
「ええ。猫背眼鏡が」
「・・・ソイツしかいないだろうしな、動けるのは・・・」
 片桐の言葉に乗せられてついつい送り出したものの、その間に何かしないか不安になった吉川が密偵を放ったらしい。しかし所詮は素人、そんなにうまくいくわけがない。
「・・・まあ、彼も気の毒だから泳がせとくって事で、お前に頼みたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「メールのギャル打ち得意だよな、しかも左利き」
 むかし一緒に飲んだ時に柚木が披露してくれたのが手元を見ずに平然とメールを素早く打つという得意技で、よもやこれが役に立つ日が来ようとはと、知らずため息が漏れる。
「ああ、はい」
「こっちの人間でアドレス交換してるのは?」
「館内は石川主任ほかうちの会社メンバー全員、それから中村さん。外は立石さんと本間さん、岡本さんですかね」
「わかった。じゃあ俺は営業に電話するとして、今から言うことをがんがん送信してくれ」
「はい」
 二人で細い路地に入り、柚木の左側を表通りから隠す形で向き合うように壁にもたれて立った。そして片桐の胸ポケットから出したライターで煙草に火をつけて二人ともゆっくりと煙を吐き出す。
「いいっすよ」
「ああ。まず、立石と岡本向けに作ってくれ。銀座のマシン室内で一切の作業禁止を喰らって、待機中。おそらく銀座様がデータをいじったのが今回の原因だからリモートで調べるように。とくに社員の個人情報のあたりでやらかしていると思うと」
「はい。送信しました。次は?」
 通りの向こうから、ちらちらと例の猫背眼鏡がのぞき込んでいるのを横目に、さも上手そうに煙草を吸い上げた。
「本間に、銀座様の経歴を洗って俺らに一斉送信してくれと。嵌めたい男か、女がいるはずだと。個人情報を単に閲覧したかったのか、細工したかったのかが不明だからな」
「・・・はい。できました。次は?」
「館内の奴らに、調査は外からしてもらうけど、中でも出来ることを考えつつ待機願うと」
 柚木もゆっくりと煙を空に向けてはきだした。
「・・・ついてきたのが柚木で助かったな」
「まあ、立石さんから片桐さんを送るからって、こっちも指示が来ていたんで。・・・あ、それぞれ了解だそうです」
「そうか。じゃあ、あとは池山・・・と」
 これは自分の携帯を堂々と耳に当てて話し出すしかない。
「あ、池山?」
 すぐに出てくれた相手へ挨拶もそこそこに切り出した。
「おそらくクロだから、今のうちに上は落としどころを検討するようにと伝えてくれないか」
 こちら側のミスならば、謝れば済むことだ。
 しかし、顧客側が絡んでいるとなると逆に難しい話になることもしばしばで、圧倒的に面倒になる事が多い。
 片桐の一言をそもそも予想していたらしい池山の返事も簡潔だった。
 二言三言で話が終わり、片桐は壁から背を離した。
「んじゃ、そういうことで、カツサンド取りに行きますか」
「いいっすねえ。久々ですよ、おがわ亭。片桐さんと言えばカツサンドですからね。実は最初から期待してました」
「こいつ」
 苦笑して額を小突きながら路地裏の更に先へと向かう。


 少し華奢な柚木を先に歩かせ、片桐の背中で尾行の目を阻みながら前に進む。
「立石さんが一斉に指示を出して本部の岡本さん共々解析に入りました」
「うん」
「それから、本間さんから情報が・・・。うわ、ビンゴですね」
「ん?」
「ええとですね・・・」
 
柚木がゆっくり歩きながら話すには、こうであった。

 大手銀行の取締役の息子である吉川は、東大卒業後コネで現在の会社に就職。
 しかし、華麗な経歴とは裏腹に会社勤めがとことん向かずにトラブル続きで、小刻みに所属部署を転々としつつもバックグラウンドは無視できないため昇進していっていたらしい。
 そして、受け口がなくなったところで九州支社へ栄転。
 しかしそこで彼が役に立つどころか、足を引っ張り続けて業務に支障が出たため、現地採用の女子社員数人が上へ直訴するという事件が起こった。
 彼をこのまま責任あるポジションに置くならば、自分たちは退職するというのだ。
 通常業務に彼のお守りまでは出来かねますという彼女たちの勤務状況は、監査が入れば問題になるほどのオーバーワーク状態で、もっともな話だ。
 これは、会社側として究極の選択だった。
 優秀な庶民をとるか、無能な御曹司をとるか。
 結局、その直後に大きな事故が起こり、どうにも彼を庇えない事態となったために、一番無難である情報管理課の銀座中継サーバー局へ転属させることとなった。
 そもそもこの銀座局は、彼と同様の社員を表立って解雇できないために無理矢理作った部署でもある。
 なので、基本的にはこれといった重要な業務はない。
 それにもかかわらず、システムダウンするほどの障害が起きた理由は、こっそりやってはならない操作をして、それがたまたまバージョンアップの時と重なってしまったという、至極単純であり、不運な話だった。
 もともと吉川はこの仕事に対してもそうとう疎い。
 見よう見まねでいじってみたところ、どうにもならなくて逃げ出したと思われる。
 しかしこの騒ぎで今更自分がやりましたとは、とうてい言えないのだろう。
 往生際が悪いことは重々承知で、発覚を遅らせるために今時ありえない画策に励んでいる最中のようだ。

「・・・まるで、あれだな。妻を殺して埋めた男が、ついつい気になってその場所を何度も見に行ってしまうと言う・・・」
「ますます、サスペンス劇場臭くなってきましたね」
 次々と送られてくるメールを開いては報告したり返信したりしつつ二人は進む。
「まあ、とりあえず俺たちの仕事は、カツサンドを餌に銀座様に大人しくして貰うことかな・・・」
「今時、子守でもここまで疲れませんよ・・・」
「・・・ごもっとも」





 『ずっと、ずっと甘い口唇-38-』へつづく。







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