『ずっと、ずっと甘い口唇』-36-(『楽園』シリーズ) 

2012, 08. 07 (Tue) 22:14

 なんとか更新できました。
 旦那が急遽飲み事に参加することになって、おかげで書き上げることが出来ました~。
 今回は仕事編です。
 仕事編はあと二回くらいかな・・・。
 また登場人物が増えていますがご容赦を。

 
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 ところで、しつこいようですが、ここしばらくこの宣伝を。↓


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 思い切って、エロのみとか、どうだろう・・・。
 それとも、チューのみがお好みかしら・・・。

 
 締め切りは、8/16の昼の12時です。

 結果は後日お知らせします。
 今のところ、早い者順で、なんなら一ヶ月に一本のサイクルで回していくのも良いかなと思っています。
 いつも猫写真では飽きるでしょうしね。


 これを機に、どうぞぜひぜひご参加下さい。





 ところで、拍手が携帯系に対応していなかったようで、すみません。
 多分、普通の携帯電話は拍手が送れるようになりました。
 スマホは・・・。
 私の手元にそれがないので確認できません・・・。
 クリックできないかな・・・。
 うかつだったわ・・・。
 テンプレートをいじったつもりですが、スマホの方で拍手ボタンが出ていなかったら教えて頂けるとありがたいです。


 ではでは、36話をお楽しみ下さい。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-36-』



 空気がよどみきっている。
 一歩足を踏み入れて、反射的に身を引きそうになったのをなんとかこらえた。
「今度もまた、使い物にならないのを寄越したもんだな」
 おそらく、この銀座サーバー局情報管理課の責任者と思われる男が、優雅に足を組み、見下しきった視線を送ってくる。
 ・・・これが、銀座様。
 見た目が噂と寸分の違いがないことに嘆息した。
 びしっとアイロンのかかったスーツ、高級そうなシャツとネクタイ、数百万円するであろう時計、神経質そうな眼鏡。
 そして、場違いな威圧感。
 吉川秀明。T大出のエリートらしい。
 ・・・クロだろ、コイツ。
 彼に従う同僚たちもざっと見渡す。
 定年間際とみられる主査と主任、俯いたまま視線を合わせそうとしない猫背眼鏡、どこか疲れ切っている針金のような若者、そして内気そうな事務員。
 誰も、システムダウンに対して焦りの色は全く見えない。
 それだけで、ここは銀座様と呼ばれる若い課長の支配下と解った。
「こんにちは、初めまして。片桐と言います。一応俺がこちらの現場を仕切ることになります」
 にっこり笑って両手で名刺を差し出す。
「ふうん?あんた、役職も何もないじゃない。いくつ?」
 受け取った名刺を指に挟んでひらひらさせながら意地悪い笑みを浮かべた。
「二十八です。すみません、ヒラで。まあ、うちの会社は肩書きがある方が少ないんで、その分、風通しが良くて働きやすいですよ?ところで、俺はついさっき上海から帰ってきたばかりで細かい状況が解らないので、経過など含めたお話を改めて伺いたいのですが?」
「上海?もしかして、これのために帰ってきたのか?」
「ええまあ。御社の一大事と言うことで、現場に直行せよと上司に指示されましたので」
 大嘘であるが、このエリートくずれのプライドをくすぐってみる。
 案の定、得意げに鼻を膨らませたが、すぐに表情が違うものへと変る。
「・・・それだったら骨折り損だな。こんな中継局でトラブルなんかあるわけないってのに、呼び戻されるなんて、馬鹿馬鹿しい。アンタもあっちでたいがい暇だったんだな」
「はは。それを言われると痛いんですが、まあ、人海戦術でざっと見た方が効率が良いのでご了承下さい」
「・・・仕方ないな。でも、うちでやることはなんにもないから、こっちで話すこともなんにもない。だから、あんたんとこの奴らもあんな使えなさそうなのばっか来てるんだろ?」
 顎でしゃくった先にガラス張りのついたてがあり、その中のマシン室で背広姿が三人、作業着姿が五人いるのが見えた。
 その中に、春彦がいた。
 細いうなじに視線がついつい吸い寄せられそうになるのを無理矢理引きはがし、目の前の男に集中する。
「ブルーカラーばっか投入しても、意味ないっつうの。あいつら、何も組み立てるモンないのになんで来たの?下手に触られて壊されたらこっちの責任になるから、指一本触れるなって申し渡したってのに、ぐずくずしてるし」
 ・・・本当に、「銀座様」の異名は伊達ではない。
 こんな男がここの主とは。
「俺たちは現場待機の指示を受けているだけですから、どうかそこは勘弁して下さい。ところで」
 ずいっと顔を寄せると、たじろいたように少し後ろにのけぞった。
「・・・なに」
 思いっきり警戒している。
「カツサンド、お好きですか?」
「・・・は?」
「俺、昼飯食いそびれたんですよね。あいつらも暇をもてあましているでしょうから、三時のお茶にどうかなと思って。おがわ亭のカツサンド、食べませんか?」
 その名を口にした途端、管理課の人間の視線がざっと集まった。
 この界隈では知る人ぞ知る、入手困難なカツサンドだった。
「俺が昔バイトしていた居酒屋の常連がおがわ亭のオーナーだったんで、多分、作ってくれると思いますよ。少し食べてみませんか?」
「カツサンドなんて・・・」
 金持ちのぼんぼんだと本間が知らせてきたこの男が庶民の食べ物に食いつく可能性は半々だったが、そこそこ興味を引いたようだ。
「ホステスさんたちから聞いたことありません?幻の名店って言われてるんですよ」
 これはアタリだったらしく、目力が増した。
「ま、まあ、話の種にはなるか」
 背後で、部下たちが固唾をのんで見守っている。
 ・・・彼らも食べてみたいらしい。
「じゃあ、手配しますね」
 その場で携帯電話を手に取り、注文の電話を入れる。
 そして、すぐに作ってくれるように話をつけた後、振り向いた。
「いますぐ作るそうなので、取りに行ってきます。荷物持ちにあっちのを一人連れて行きますがよろしいですか?」
「う、ああ、いいだろう」
 吉川に退館許可証の判を押して貰ったあと、彼直々にサーバー室のドアを解錠して貰い、中に入る。
 ガラス向こうの管理課へ片桐が到着していたことにとうに気が付いていたTEN関係者たちは、二人を一斉に見つめた。
「お疲れ様。今からカツサンド買いに行くんだけど、みんな食べるよな?」
 のんびりした片桐の一言に、全員唖然と口を開いたままだった。
 春彦に至っては、凍り付いたように指一本動かさない。
 しかしその中で一人、作業着の若者が気を取り直して手を上げた。
「俺、食いたいっす。荷物持ちならやりますよ?」
 作業着を着ているのはTEN系列の技術サービス会社の人間で、ハードの設営だけでなく、内部のチェックなどのエキスパート集団であり、現在の顔ぶれとしてはこういった作業の時によく一緒になるメンバーだった。
 当然、長い付き合いで酒を何度も一緒に飲んだし、気心も知れている。
「ああ、柚木来てたのか。俺だけじゃ荷物持てないから一人ついてきて貰うつもりだったんだ。助かるよ。石川さん、連れて出ていいですか?」
 四十代と見られる作業着の男が答えた。
「・・・ああ。今はユズの仕事ねえから」
 彼は片桐の意図がもう解ったようで、気むずかしげな顔つきの頬のあたりがかすかに緩んでる。
「どこの買ってくんだ?」
「おがわ亭です」
「そりゃ、楽しみだな。なるべく早く頼むわ。俺ら腹減ってるし」
「じゃあ、柚木借ります。すぐに戻りますんで、楽しみにして下さい」
 柚木と連れだって出口へ向かうと、腕を組んで会話を聞いていた吉川がすぐにICカードを通してドアを開け、先に歩き出した。
 片桐はドアを通り抜ける直前に、管理課からは死角になる壁に小さな付箋紙を貼った。
 振り向きざまににやりと笑うと、全員に安堵の表情が浮かんでいた。





 『ずっと、ずっと甘い口唇-37-』へつづく。







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