『ずっと、ずっと甘い口唇』-25-(『楽園』シリーズ) 

2012, 07. 12 (Thu) 18:01

 昨日、福岡方面で暴れた豪雨が勢力拡大して、九州の中部地方を襲ったようですね。
 あのあたりは福岡の人たちならたいてい、行楽に行く場所です。
 災害に遭われた方は、本当に気の毒です。
 早く落ち着いて、ライフラインなどが元に戻りますように。

 さて。
 昨日の家事でうっかり腰を痛めてしまいました。
 今までそんなことなかったから、起きてびっくり・・・。
 初湿布です。

 軽度だったのか、午後には落ち着きましたので更新します。
 
 それにしても、本当にだらだらと外野の話が続いて申し訳ありません。
 当初の予定では、吉田課長がこんなに出張ることはなかったのですが・・・。
 ちなみに、これは九州の特性なのかもしれませんが、私が独身時代の頃、男どもは酔っ払ったり座興のためによくパンツ一枚になりました。
 それは、結婚披露宴などでも・・・。
 やはり、九州は本州にとって海外なのでしょうか・・・。
 それとも、あの業界の特性なのか・・・。
 とりあえず、トランクスはたくさん見ましたよ。
 残念ながら、色気のある場面ではなくてね。
 
 次回は、本当に片桐復活です。

 長かったなあ。
 でも、こちらの方も、予定外の人が出張る事になりそうです。

 ところで。
 いつも、このだらだらとした与太話を根気強く読んで下さる方と、拍手などポチリして下さる方に感謝を。
 おかげで、私にしては、さくさくと話が進んでいます。

 ではでは、あいかわらずBLからほど遠い話が続きますが、読んで頂けると嬉しいです。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『ずっと、ずっと甘い口唇-25-』



「ここ最近、瀬川美咲の関係者が課長を訪ねてきましたか?」
「来ましたとも・・・。2週間ほど前に」
「最近、たいてい2週間単位で物事が動くのは何故かしら・・・」
「お、おれにはわかりません・・・」
 課長席の机を縦にして、本間はぴしりと背筋を伸ばし、正座した。
 その数十センチ先には向き合う形で、課長がうなだれたまま同じく正座させられている。
 膝詰め状態である。
 カーペット仕様とは言え、二人が床に座って話し合っている様を見かけた通りすがりの隣の課の課長は、あまりの緊迫した空気に首をすくめ、足音を殺して喫煙室へ退散した。
「今度は何をやったんだ、吉田君・・・」
 誰も周りにいなくなったことを素早く確認した後、声を落として本間は続けた。
「何があったのか教えて下さい」
「・・・知らなかったんだよ、俺は。まさか、結婚しようとしているのに知らなかったなんて」
 膝の上で手のひらの汗を何度も拭く。
「それは、長田の家のこと?」
「そうそう、それ!!なんで言ってないの、あんな大事なこと。俺、ここのところ毎日、生きた心地がしないよ・・・」

 彼の告白によるとこうである。
 土曜日の昼間に、瀬川の両親が菓子折を持って課長宅を訪れた。
 訪問の趣旨は破談により迷惑をかけたことの詫びであった。
 正直、仲人を頼まれた翌日に破談、しかもそれは二月に入ってすぐのこと。
 「一ヶ月もゆうに過ぎての訪問なんて、意味がわからない」と、台所で茶の支度をしながら妻は首を振った。
 しかも突然で、在宅の確認の電話が入ったのは訪問の1時間前のことである。
 訳のわからないまま対応をしていると、まずは詫びを言い、それからしばらく片桐についての話が続いた。彼の日頃の行状と女性関係について。
「私どもから見たら、とても立派な方に見えたのですが・・・」
「ええ。片桐君はうちの課のホープですからね。ここ数年は特に頑張って、仕事三昧で女性と付き合う暇もなかったから、瀬川さんは舞い降りた天使って感じでしたよ」
はははと吉田が笑うと、なぜか彼らは少し不満げな顔をした。
しばらくやりとりが続いたが、片桐の身辺からなにも出てこないと見て取ると、言いにくそうに切り出した。
「実は、今日ここに伺いましたのは・・・」
「はい」
「今後、二人のためにも、仲人の吉田さんに一筆書いて頂きたくて・・・」
「は?」
「娘はまだ若い。これから縁談が持ち上がった時に、今回のことが障りになると困りますので・・・」
 ようは、お互いに何も間違いを犯したわけではなく、両家で色々と折り合いが付かずに破談になったと証明して欲しいとのことだった。
 詰め寄る二人の気迫に飲まれて、吉田はペンを手に取った。
「こういうのがあるんですね、存じませんでした」
 書類にざっと目を通し、どちらにも不利にならない文言であることは確認した後、よどんだ空気をなんとかしようと吉田は喋り続けた。
 混乱しながらも、何かを喋らずにはいられなかったのだ。
「片桐君はとても良い方だと思ったのですが、どうもご実家と私どもの家風が合わなくて・・・」
 ハンカチを口元に当てて、瀬川の妻は言い訳をした。
「ああ、びっくりしたんですね、片桐君のご実家、凄いですものね~」
 そう相づちを打ちながら、軽快に、ぽん、とはんこを押した。
「そうなんです!!なんせ、うちはもともと士族の出ですから、農家なんて・・・」
「そうですよね、片桐君は庶民的だけど、宮家の姫様がお輿入れしたような家じゃあ、荷が重いですよね・・・」
 瀬川妻と吉田の言葉が重なった。
 が、吉田の言葉が長かったため、後半部分だけ強調された。
 
 『・・・が、お輿入れしたような家』
 『荷が重いですよね』

「え?」
「はい?」
 空気が凍り付いた。
「・・・今、なんと?」
 最大限に目を見開いた瀬川の父が口を開いた。
「ええと・・・。長田の家が凄くて辞退されたんじゃ、なかったんですか・・・?」
「なんですか、それ」
「・・・あの、もしかして。松濤のお宅にはまだ・・・?」
 横腹に妻の拳が入ったが、もう遅い。
 瀬川夫婦は身を乗り出して、次の言葉を待っている。
 もう、ごまかしようがない。
 観念して、吉田は言った。
「まさか、片桐君はお母様の実家の話をされていなかったんですか?」
 次の瞬間。
 欲に飲まれて人が変容する様を、吉田夫妻は目の当たりにした。
 


「・・・なるほど」
 あの日、娘は立石を釣り上げに行き、両親はそれが首尾よくいくことを信じて次の手を打ちに行ったつもりだったのだ。
 帰宅したあとに瀬川の家は爆発状態だっただろう。
 顎に手を当てて考え込む本間に、吉田は取りすがった。
「と、とんでもないことになったと思ったから、すぐに連絡したんだよ」
「誰にですか?」
 片桐には特別変った様子がなかった。
「ええと、前に名刺をもらっていた・・・。秘書の篠原さん」
「ああ、ナンバー3の秘書ね」
 それなら、今、一階で片桐と面談中だ。
「そしたら、片桐君にはそのまま内密に、あと誰にも話さずそのままにしていて下さいって。こちらで万事解決しますからって・・・」
 とりあえず、片桐をしばらくどこか遠くにやって下さいと指示され、折良く要請のあった北海道へ送り込んだ。
 しかし吉田から見ると何も事が動いておらず、こじれているのではと心配で、胃の痛い毎日だった。
「・・・山は動きましたから。どうぞ今日からは枕を高くして眠って下さい」
 ぽんぽん、と課長の肩を叩く。
「ほ、ほんとに?」
 潤む目で見上げられ、本間はふかぶかとため息をついた。
「あ、でも、どうしよう・・・」
「なんですか、こんどは」
「誰にも喋るなって言われたのに、君に言っちゃった」
 また更に、目に涙をためている。
 今にもこぼれ落ちそうだ。
「・・・。大丈夫です。私、課長の知らないことも色々知っていますから」
 仕方なしに慰める。
「本間くんって、なんでも知ってるねえ」
「ええ。一日の半分以上をご一緒してますからね。もう、下着に至るまで知っていますとも」
 こうなりゃ、ヤケクソだ。
「え?そうなの?じゃ、じゃあ、いま俺が履いてるのは?」
 ・・・食いつくのは、そこか!!
 いや、解ってはいたけれど。
 下ネタ好きで、飲むと率先して裸になる彼の生き様を、本間は知り尽くしている。
「ファンシーなキャラクターが印刷されたトランクスですね」
 今なら、ご当地系かサンリオか。
「えええ!!凄い、凄いなあ、なんでわかるの?」
「わからいでか・・・」
 よそでパンツを脱がせないために日々、吉田の妻が血眼になって萎えるシリーズを誂えているのは容易に想像が付く。
「すごいなあ、本間君がいたら、もう何も怖いことないな!!」
すっかり上機嫌ではしゃぐ上司にげんなりする。
 この人の、こういう所に庇護欲をそそったのだろうか・・・。
 このつぶらな瞳が、可愛いとか?
 私には解らない趣味だわ。
 吉田の妻の、日頃の苦労を慮った。






 『ずっと、ずっと甘い口唇-26-』
へつづく。







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