『ずっと、ずっと甘い口唇』-8-(『楽園』シリーズ) 

2010, 04. 23 (Fri) 18:43

今日、カウンターが100Hitしました。
ありがとうございます。
初めて日が浅く、まだ身内にはほとんど知らせていない状態で見知らぬ方が見てくださるというのはとてもうれしいことです。
リピーターになってくださればもっと嬉しいですけれど、それは己の力量次第ですね。
頑張ります。

では、続きを掲載しましたので、どうぞご覧ください。



  記事の一番下の『拍手』ボタンをクリックして頂くと小話をご覧になれます。
  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 アクセスして下さったり、拍手やバナークリックで励まして下さる皆さんに感謝しています。
 もしもよろしければ感想や要望など頂けると、本当に嬉しいです。


ブログランキング・にほんブログ村へ


   拍手小話はこちら →

 『ずっと、ずっと甘い口唇-8-』



 会議を終えた直後に他部署の課長に呼び止められ、そのまま別室での打ち合わせへ連れて行かれた片桐は内心焦っていた。
 末席にいた春彦の様子がずっと気になっていたからである。どう見ても体調が悪いとしか思えなかったが、声をかけるタイミングを逃してはや二時間近く。
 ようやく開放されたその足で、とりあえず席に戻って春彦を探す。
「ハルは?」
 向かいの席でパソコンを叩いている事務職の本間に尋ねた。
「ああ、体調を崩しているとかで、会議の後すぐに早退したわよ」
「え?一人で帰して大丈夫なのか?」
「ええと、私はその時に直接春ちゃんに会っていないのよ。白王子が連れて帰るからって、荷物を取りに来ただけ」
 どこの部署でも事務職の女性の立場は圧倒的に強い。
 なぜなら彼女たちの補佐なしに全ての仕事が回らないからだ。
 そのせいなのか、本間自身のマイペースぶりのあらわれなのか、技術職の間では神様とも崇められる年上の男を面と向かって『白王子』呼ばわりしていた。
「じゃあ、佐古が寮まで送ってくれたのか・・・」
 ほっと安堵のため息をつく片桐を見上げて、「ううん」と本間は首を振る。
「ちょっと違う。白黒王子両方付き添いみたい。二人とも帰ったらしいから、黒王子のマンションじゃない?・・・だって」
「だって?」
「黒王子が春ちゃんをお姫様抱っこしてタクシーに乗せたらしいから」
「おひめさまだっこ・・・?」
「うん、会議室からずっと」
 確かに小柄な方とはいえ、春彦は男である。
 それを抱き上げて歩いた立石の筋力と心臓に感服しつつ、その絵を想像すると、ちくりと胸に痛みが走った。
「どうにも足元が覚束なかったらしくて、黒王子が抱っこしちゃったみたい。人目を避けて業務用エレベーター使って降りて、裏口から出たんだけど、そういう時に限って、女の子たちとばったり会っちゃうのよねえ」
 ちょいちょい、と手招きして使っているパソコンのモニターを指し示す。
 つられて覗き込んだ片桐は息をのんだ。
「・・・お前ら、本当はそうとう暇だろう」
「農閑期と言って。一昨日までは経理の締め処理で大変だったんだから」
 画面に映し出されたのは暗黙の了解で社内に整備されているチャットのログで、『黒王子のお姫様抱っこ目撃談』で大いに盛り上がっていた。
 しかも、白王子が荷物持ちとなると更に話題沸騰と言うところか。
「そりゃ、ネタとしては面白いだろうが、仕事中にネットワークで遊ぶなよ。いつかバレてお叱り食らうぞ・・・」
「ん?上層部黙認よ。これを使って仕事上の情報交換もしてるし、公共良俗のわきまえはあるからね」
 いや、公共良俗に充分反していると思う、と心の中で呟きつつ、立場が弱い男としては口をつぐむしかない。
「まあ、あいつらが面倒見てくれるなら、とりあえず安心か・・・。じゃあ、本間、ちょっと見積りを頼みたいんだけど」
 ほっと肩で息をついたあと、すぐに背を伸ばして自席へ戻る片桐に本間は首を傾げる。
「・・・お見舞いに行かないの?」
 いつもの片桐らしからぬような。
「独りで寮に帰ったなら、そのつもりだったけどな。佐古が荷物持ちって事は、今日も泊まりだろう。直接説明したい案件が出たから、とりあえず今から話をまとめる」
 暇なら手伝え、と、手書きメモを本間に差し出す。
「はいはい。暇ですとも。でもこれって『お手伝い』だからね」
「わかった。後で礼は弾むから、きりきりやってくれ」
「・・・はあーい」
 画面を切り替え、ざっとメモに目を通した後、本間は向かいの席の様子を見る。
 いつもに増しての仕事への没頭っぷり。凛々しさを越えて、鬼気迫るものさえ感じる。
「美咲効果・・・ってよりも・・・」
 男どもの間で何かあったに違いない。
「これは、ちょっと楽しみかも・・・」
 これだから、この会社とこの仕事は辞められない。
 本間奈津美・事務職四年目は唇の端をゆっくりと優美な形に吊り上げた。


 ブーンと携帯電話が震えて、着信を知らせる。
 ノートパソコンから目を上げた佐古はそれを手に取った。
「はいはい・・・」
 壁の時計は十一時半過ぎ。耳に入る言葉に口元をほころばせ、ソファから立ち上がって玄関へ向かう。
「いらっしゃい」
 首を斜めに傾けて、この日最高の笑みを見せた。



 『ずっと、ずっと甘い口唇-9-』
へつづく。




 ここで、大変申し訳ないお知らせが…。
 つ、続きが見つかりません…。
 いや、続きの文書を見つけたのですが、 ぽん、と間が飛んでる…。
 おそらく長さにして四話分くらい…。
 頭に内容はあるので連休中につなぎを造ろうとは思いますが、続きが掲載できるまでは、完結している方の『君はジャングル!!』の方を次回からお届けします。
 今回、あまりに登場人物が多すぎて紛らわしいので名前として以外は徹底的に排除されてしまった、営業の池山と立石の部下の江口の話です。

 放置プレイになってごめんなさい。
 これに懲りずに読んでくだされば嬉しいです…。




br_decobanner_20100412095827.gif

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村



スポンサーサイト

タグ:続きを読む

コメント

コメントの投稿

非公開コメント