秋雨。 

2011, 11. 13 (Sun) 22:04

仕事をしているときに、最近ぐるぐると頭の中を巡っていた曲があります。
それは、坂本龍一の『シェルタリング・スカイ』のサントラです。
ええと・・・。
なんと、1991年に日本で公開された映画なので、その頃に生まれた人にはなんのこっちゃですね。

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話としては、愛情も熱意も失った一組の夫婦が関係を再構築するために訪れた北アフリカで更に過酷な運命に遭うという小説の映画化なのですが・・・。
公開当時若かった私は、「なんのこっちゃ」と首をかしげた映画でした。
役者と音楽と舞台は立派だけど、そこまでお金かけて作る価値があるのかとか、もやもやしたものです。
最初から最後まで。
でも、今見たらきっと違う印象だろうと思います。
これは、三十歳過ぎないと解らない世界だろうな、いや、四十以上だろうか。

ただ、本当に坂本龍一の作ったテーマ曲はすばらしく・・・。
当時、あちこちの学生劇団の劇中曲として使われていたように思います。



不安定な旋律と、その中で見え隠れする情のようなものが、とても好きな曲です。


で。
ここからが全く関係ないのですが・・・。

その旋律の中に、私はいつも自分の中の『雨』シリーズと『八犬伝』、『平家物語』あたりがあります。
何度も何度も同じような言葉を連ねてしまうのは、きっと、この曲の中に同じイメージが取り憑いてしまっているからでしょうね。

そんなわけで、今回は、『雨』の『高遠』で。
・・・もういっこの話とどう違うかと言われると弱いのですが、まあ・・・。
秋雨に降られたせいだと思って下さい。








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「秋雨」




 雨が降る。

 やわやわとやわらかく舞い降りて、少し色づいたもみじの葉を遠慮がちに湿らせたかと思うと、ぱたぱたと地面に大粒の染みを作っていった。
 そんなさまを見るともなしに見る。

 霧のように優しい雨に、細い指先を。
 肌を叩く雨粒の鋭さに、透き通った瞳を。
 あたりを包み込む雨音に、低くてどこか甘い声を。

 そして、堰を切ったように隙間なく降り注ぐ雨の向こうに、その姿を感じる。

 僕はいるから。
 必ずそこにいるから。
 だから探して。
 あきらめずに探して。

 木々の中に、花々の中に、海と空の間の、人の中に。

 だから、生きて。

 雨が降る。
 自分を冷たい現実で包み込む雨が降る。


 確かに貴方はいるだろう。
 木々の中に、花々の中に、海と空の間の、子供たちの中に。
 しかし、それらは貴方であり、貴方でないことに思い知らされる。
 雨が降るたびに、何度も、何度も。

 雨が降る。
 ただただ、ひたすら雨が降る。

 心も体も冷やし続けながら、頭の中だけ熱がこもる。
 焼き切れそうになりながら、ただ一人の名を呼ぶ。
 けっして口にすることの出来ないその名を。

 雨が降る。
 すべての景色を遮るほどの激しい雨が降る。

 どこにもいない貴方を捜して、雨の向こうに目をこらす。


 「高遠」

 その一言が聞きたくて。

 その身体を抱きしめたくて。


 残酷で冷たい雨に、貴方を想う。


 雨が降る。
 洗い流せない記憶と情をもてあましながら、ただひたすら、探し続ける。


 ただ、貴方一人を。








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