恋愛事情-3- 

2010, 10. 26 (Tue) 23:49


 ワインと日本酒が好きです。
 下戸なので飲めませんが。
 口に含んだ時の香りと味が好きなのに、飲み干したら赤くなって青くなって白くなります。
 だから、酒豪の友人たちが気持ちよさそうに飲み干すのをいつも指をくわえて見ているしかありませんでした。
 どうかすると、オヤジな居酒屋でその空気中に漂っている酒と煙草の成分だけでも頭痛を引き起こすので、本当に情けなくて心の中で地団太を踏みます。
 大人になったら、格好よくお酒を飲むんだと思っていたのに!!
 ちなみに、母方の親族関係は酒豪だと思います。法事の席での飲みっぷりは素晴らしかった…。
 と、なると、これまた酔っ払ったらダジャレの嵐だった父の血筋なんだろうな…。
 兄も学生時代はコンパで酔っ払って帰ってきては時々トイレの友になっていましたが、あれは今ほぼ克服したようです。・・・というか、飲み事続きで妊婦のような腹に一時期なっていて、この人はこれからどうなるんだろうと別の心配していましたが(笑)。
 私の乗り越えられなかった壁をよくぞ・・・と、この件に関しては称賛するわ、兄よ(笑)。
 おそらく世界中どの国でも…。
 アジア系は特に仕事の延長線上に酒の席があるので、男性で飲めないというのはある意味致命傷になりかねないと私は思います。
 なんとか契約を取りたい相手から「私のことが好きなら飲んでください」と言われ、度数の高い酒の盃を注がれるままに次々とあけながら、己の意識を手放さないようにするのは至難の業だったと友人の一人が後に語ったことがあります。
 それを聞いた時、自分は平凡な事務職でよかったと正直思いました。
 そんな恐ろしい戦い、挑めません…。


 さて。
 ぐだくだ座談会、まだまだ続きます。
 私がこの店のスタッフだったらいやかな、こんな客…。
 それとも、聞き耳を立てて楽しんだかも(笑)。
 ではでは、続きをどうぞ…。


 

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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『恋愛事情-3-』



「そもそもは和基が悪いのよ」

 この店に入って何度言われたか解からない台詞に逆戻りする。
「なんでもかんでも俺が悪いってか。で、俺がいったいいつ・何をしたというよ?」
 八つ当たりされるのにいいかげんうんざりしてきた和基は、うっかり新たな地雷を踏んだとも気付かずにサラダのレタスをしゃくしゃくとほおばった。
「去年の末にお客に安請け合いして、うちの部に尻拭いさせたじゃない。あれさえなければ、私は今こうしてあんた相手に酒を飲む必要なかったのよ」
 グラスの中味を豪快に飲み干しながら、有希子は怨念すら感じるオーラを送りつつ上目遣いにねめつける。
「俺の驕りの飯と酒をこんだけむさぼっといてよく言えるな、お前は・・・」
「おごりって言ったって、それはあんたの不始末の尻拭いを私が更にしてさし上げたからでしょ!!」
「そういえば、そうでした・・・」
 この会合は、以前に和基の犯した仕事上のミスを有希子がフォローしてくれた為、そのお礼の場なのである。もしもあの時、事がうまく運ばなかったら、顧客が絡んでいただけに和基を含め上司や仕事仲間の立場が危うくなるところだったのだ。
 俺って、有希子に迷惑かけてばっかりなんだな。
 ちょっぴり小さくなる幼なじみにちらりと視線を送った後、彼女は盛大なため息をついた。
「ああ、もう、やってらんない・・・」
「そんな・・・」
 色々やらかしているという自覚はあるのだが、半年以上前でそんなにしつこく恨まれるような事があっただろうかと灰色の脳細胞に問いかける。
「・・・去年の末・・・?T銀行の環境整備の件か?」
 去年の末で思い当たる物件といえばそれしかない。
 次期契約更新の条件を良くするための前哨戦として、短期納入の仕事を技術の長けた同期の立石に作業依頼したことがあった。
「でも、あれって、徹夜1日、休日出勤二回程度で終わる内容だったじゃないか。そんなにせっぱ詰まってやる仕事でもなかったし、それがどうして有希子に関係あるのかわかんないなぁ」
「関係?おおありよ。その休日出勤の日はうちの課の慰安旅行の日だったんだから」
「慰安旅行?」
「そうよ。熱海に一泊二日。それをあんたは直前になって立石君だけ引っこ抜いて・・・」
 ちなみに、今ここで酒を飲みかわしている二人のうち、池山和基は某大手電機メーカーの情報系部門の営業職で、幼馴染の保坂有希子は偶然同じ会社で情報系技術部の事務職をしている。そして、今、彼女の口から出てきた立石徹はそこのSEだった。
 自分で言うのもなんだが、池山自身は持って生まれた顔だちの良さと天性のノリの良さで幼い頃から身内以外で女と名のつくものどもからちやほやされてきたが、友人の立石も入社以来女子社員たちの熱い視線を一身に集めている。
 結婚、の二文字がちらつき始めた妙齢の女性たちにとって、老成しているとまで評される立石の落ち着き払った物腰と上司たちですら魔法使いと噂する程の仕事の捌きようが堪らない魅力となるらしい。
 『仕事が出来て、人望があり、かつ、体育会系の適度に引き締まった体を持つ男』。
 学生時代はさほどでなかったと聞くが、今では取引先の受付嬢までが彼を追いかけてくる始末だ。
 実は、保坂有希子も入社以来立石に心臓を打ち抜かれた者の一人だった。
 ただし、立石自身には高校時代から想い続けている女性がいる。
 彼女の名は長谷川生(はせがわ・いく)。
 未成年で別の男性との間に一子設け、独りで育てている生はがんとして立石の想いを撥ね退け続け、いつまでもあきらめきれない立石にそれを追う有希子が加わって奇妙な三角関係が出来上がったのだ。
 しかも、生と有希子はもともと稽古事で古くからの知り合いだったというから、まるでそれは少女漫画かはたまたドラマかと言いたくなるような因縁ぶりだ。
 その不毛な関係と想いを断ち切るためなのか、有希子は何度も別の男性と付き合っては別れを繰り返していた。そして、それがまた、始まってさほども経たないうちに終わってしまった。
 ならば、一時はなんとか薄れていた立石への執着が噴き出でてきたということか。
 池山の頭の奥でこれ以上聞くなという声と、毒を食らわば皿まで食ってしまえという声が交互に響く。
 なんとなく嫌な予感の方が強いのだが、ここまで来たらすべて聞かずして帰れるかと思い、顎をしゃくった。
「そう言えばそうだったな。本当は岡本にも手伝ってもらおうかと思ったんだけど、あいつが1人で事足りるといったからそうしたんだよ。経費も安く済むしな。それの何がいけないんだよ」
「あの慰安旅行はね。私の人生がかかっていたのよ」
「人生って、えらい大袈裟な。たかが一泊二日の旅行に」
「そう言いたくなるくらい、私はあの日に賭けていたのよ」
 わなわなと握り締めているワイグラスのステムが悲鳴を上げているように見えるのは気のせいだろうか。




  「恋愛事情-4-」へ続く


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