「神渡し」-3- 

2010, 09. 16 (Thu) 19:21


 ここのところ、落ち込むことが続いて疲れやすく、どうにも文章を考えるということができませんでした。
 でも、それではいかんと起き上がり、ようやくワードと向かい合っています。

 最近、ノートからデスクトップに乗り換えなおしたのですが、 新しいPCの使い心地はなかなか。
 ウインドウズ7は悪くないなあ。
 …良かった。
 ところで、子供の頃から高校生くらいまでピアノを習っておりまして、それで会得したのは、キータッチの強さです。
 いつも練習の時に自分の耳で聞いていて思ったのですが、透明な音がだせず、いついかなるときも極彩色なのです。
 とんがっていた思春期だからか、優しく触れることができず、なんとも力強い旋律しか作ることができませんでした。
 私のひょろい外見(学生のころはね・・・)からは想像もできない音らしく、学校の音楽室などでそれを聞いた友人たちはよく腹を抱えて笑ったものです。
 ピアノを弾くたおやかな少女に育てたいという母の希望を幼少期から感じてなんとか続けていましたが、弾きながらピアノの先生の前で舟をこいでしまった時に、この道は向いていないということを自覚し、以来、聞くだけにとどめているのですが…。
 とにかく、がつがつ叩いてしまうのです。
 なので、ノートPCの時はハードディスクを壊してしまうのではないかと私なりに遠慮して叩いていたもので、肩が凝る凝る…。
 今は、存分に叩いております。
 …かわいそうな新キーボード…。
 ピアノ時代の置き土産はちょこっとほろ苦い。
 ・・・というか、はた迷惑?
 うるさいですからね、ばこばこばこばこと。
 チャットなどの時は特に…。

 さて、本題に話を戻しましょう。

 「神渡し」は昔に出した同人誌の焼き直しです。
 なので、とっとと修正をかけて、さくさくUPしたいと思います。
 自分で書いておいて、いろいろ混乱しているのですが、もう迷わないわ!!

 そして、いい加減放置しているBLに戻るのだ(笑)!!

 と、いうわけで、「神渡し」の続きをどうぞ。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『神渡し』-3-


 いくつもの局と几帳を通り過ぎ、奥へ奥へと歩みを進める。
 二人のおこす衣づれの音も、次第に近くなっていく雷鳴と、とうとう降り出した雨が屋根や廊下の板を叩く音に紛れてしまう。
 雷鳴が上がるたびに、そこかしこで女房達が悲鳴をあげているのが聞こえてくる。
 そして塗込めのそばにたどり着いた時、三条は少将を振り返った。
 嵐の夜故にか、自分のような不埒物の侵入を警戒してか、姫君の寝所は最奥の、入り口が一つしかない場所だった。
「私が案内できるのは、ここまでです。この天候なので幾人かお側近くで宿直をしているとは思いますかけれど、貴方が誰かわからぬものはおりますまい」
「・・・貴方はこれからどこへ?」
 今更問うても仕方のない言葉に、女は首を振って苦笑する。
「・・・さすがに、ここから先は手を引いていくわけにはいきませんわ」
軽く会釈をして少将に背を向けた。
「・・・たしかに」
 闇の中に三条の後ろ姿が溶けて見えなくなるまで見送った後、ゆっくり塗り込めの戸に手を伸ばした。


 叩き付けるような雨音がばらばらと響く中、塗り込めの中の空気は女房が姫君への慰めに焚いたと思われる香の甘い香りが入り交じり、緩やかな温かさを醸し出していた。
「どなた・・・?」
 さすがに雷が気になって眠れないのか、若く、はっきりとした誰何の声があがる。
「・・・風に連れられて神々の元へ行ってしまわれる前に、一目お側近くでお会いしたいと参りました愚か者をお許しください」
 予期せぬ低くて深い男の声に、幾重にも巡らせた几帳から年若い女房が姿をあらわして息を呑む。
「あなた様は・・・!」
 驚きの声を上げたのは、この邸内で三条の隣に局を構える王の命婦だった。幾度か三条を尋ねた折に顔を合わせている。
「お願いだ、王の命婦。東宮御所に入内されたら、とても私のような若輩者は会うことなどかなわない。ほんのひとときで良い、姫君と直に話をさせてくれ」
 少将は王の命婦の袖をつかんで哀願する。
「お願いです、お帰りください。今ならば、嵐に紛れて誰も気づきません。このようなふるまいは少将さまの名に傷がつきます。どうか・・・」
「構わぬ!」
 嵐のせいなのか、心の中の何かが速く、と囁く。
 押しとどめる王の命婦の手をやや乱暴に振り払い、記帳の奥へと進んだ。
 幾重にも並べられた記帳と触手のようにのびてくる女房達の手をかいくぐるように前へ進むと、ふいにぽっかりと空いた空間に出る。
 そこには畳がのべてあり、その上に手をついて身を起しかけた女がいた。
「芳子姫・・・」
 驚きに目を見開いて後ずさりするが、狭い塗り込めの中ではすぐに壁にあたってしまう。
「葵祭でおみかけして以来、ぜひ、いま一度お会いしたいと思っておりました」
 ゆるやかに羽織った袿を胸の前で握り締め、壁に背中を押し付けて芳子姫は肩を震わせる。
 衣から覗く小さな足の指先が、とても冷たそうに思えたので更にいざり寄って両手に包み込むと、案の定、ひんやりと小石のような感触が手の中に広がった。
 記帳の外に灯してある明かりのおかげで、その顔立ちは間違いなく唐渡りの衣を身に着けて網代車に座っていた女のものだと見ることが出来た。
「ああ、やはり貴方だった・・・」
 少将は安堵の吐息をつく。
「・・・怖がらないで下さい。貴方の声を聞いてみたいと思っただけですから」
 なだめようと爪先をさするが、小刻みに震えるおとがいをゆっくり左右に振るだけである。
「姫・・・」
 薄明かりにひとすじの涙を見たような気がして少将が両の手をゆるめた瞬間、姫君が思いがけない素早さで戸口の方へ身を翻そうとした。
「姫!!」
 一瞬はやく、その体を抱きとめる。
「どうかわかってください。今しかないのです、貴方にこうしてお会いできるのは。お願いだから、逃げないで下さい・・・」
 逃すまいと更に腕に力を込めると、首元から夜に香る花のような甘く優しい香がたちのぼる。
 俯いた顔を覗き込むと、姫の黒目がちの瞳が瞬き、震える唇はゆっくり言葉を押し出そうと形を変えた。
(少将、どの・・・)
「ひめ、芳子姫・・・」
 少将は、芳子姫を抱き上げた。


  『神渡し』-4-へ続く。



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