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『かつげき!まんばぐみ!!』-8の①- 

2017, 11. 22 (Wed) 20:36

 昨日は非番の日の久々の晴天で、朝から気負いこんで動いたせいでしょうか。
 今日はそのツケが来て夕方まで寝込んでいました。
 いや、そもそもそろそろ体調がガクンと落ちるだろうなあと思って、その前にやれることはやろう!!と、思ったのですよね。
 本懐か。
 車が運転できないから買い出しはいつも自転車なのですが、疎開かってくらい買い込んで帰りの荷物はすごい・・・というか、いつか通りすがりのパトカーに職質されるのではないかと思うこの頃。
 余談はおいといて。

 もともとオリジナルで立ち上げたブログなので、ここに掲載してもあまり喜んでいただけないのは解ってはいるのですが、一応、生きていますよ~という意味で、とりあえず掲載しますね。

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 今日は、活劇刀剣乱舞の二次のシリーズです。
 二次はその背景がわからないとその世界が掴みにくいのに、ついつい刀剣沼の読者さん寄りに説明を省いてしまいがちなので、ご存じない方にはかなり読みづらいかと思いますが、どうぞよしなにお願いします。
 これも、最初は軽く書いて終わるつもりだったのが随分と遠くにきてしまいました…。
 
 刀剣乱舞は刀の付喪神がひとの身体を得て戦うという設定なのですが、いきなりニンゲンにされてしまった彼らの心の内にはそれなりの色々があるんじゃないかなーと思って書いています。
 ええと、付喪神もにんげんだもの、てきな?(←こんなんで大丈夫なのか)。
 頭の中に生まれてしまったからと書かずにはいられない私をお許しください。

 ではでは、また近いうちに必ず。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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  『かつげき!まんばぐみ-8-』 第一話


 綺麗に整えられた山茶花の生け垣の角を曲がると、賑やかな笑い声が聞こえてくる。
「ぼく、いってくる~!」
「えー、僕がいく~」
 足音と声が近くになり、飛び出してきたのは前田と平野の短刀兄弟。
「うわ・・・っ!!」
「・・・おや」
 少しだけ前に出ていた前田が胸元に飛び込んできた。
「三日月様・・・!」
「ごめんなさい、大丈夫ですか!!」
 ぶつかった前田も、追いかけていたしていた平野もそろって姿勢を正し、ぺこぺこと頭を下げた。
「よいよい、気にするな。元気なのは良いことだ」
 二人が背中に背負っている籠には、収穫したばかりであろう野菜が彩り豊かに詰まっていた。
「・・・それを厨房に運ぶところだったのか?」
「はい!!」
「今日は茄子がたくさん採れたので!!」
 かちこちに固まった二人の生真面目さが微笑ましく、それぞれの頭を撫でる。
「そうか。なら、俺は田楽が食べたいと伝えてくれ」
「はい!!承知しました!!」
「では、失礼します!!」
 子供たちは同時に頭を勢い良く下げ、あっという間に走り去ってしまった。
「うむ・・・。もしかして怖がられているのか、俺は?」
 きゃあきゃあと悲鳴らしきものをあげながら駆けていく短刀たちの後姿を眺めながら、何とも言えない気持ちになる。
「つまらぬな・・・」
 思わず口から出た言葉に、自ら驚く。
「そうか。つまらぬと思うのか」
 この俺が。

 なんと面白いことか。
 自然と、笑みがこぼれた。

「よーし。みな、きれいになったか?」
「はーい」
「じゃあ、おやつにするか」
「わーい、お饅頭、おまんじゅうだ!!」
 どうやら非番の短刀たちのほとんどが集合しているらしい。
 喜んではしゃいでいる中を訪れるのに少しためらかったが、そこを通らねば目的の場所へはたどり着けないので思い切って歩を進めた。
「あ。三日月様だ」
 乱藤四郎の第一声に、全員振りむく。
 ちょうど山伏が、鉄なべの上に蒸篭を重ねて作った饅頭を菜箸でざるに移し替える最中だった。
「おや、これは三日月どの。ちょうど良い時に来られた。芋饅頭が蒸しあがりましたぞ」
 黄味色に染まった饅頭の表面にサイコロ状に刻んだサツマイモがぽつりぽつりと浮かんで、素朴な風情が山伏らしいと思う。
「そうか。なかなかに運が良い。だが、お邪魔じゃないかな?」
 年少の短刀たちに目をやると、彼らは遠慮がちに挨拶をした後もじもじと俯いてしまった。
「ああ、そうだ三日月様。山姥切をそろそろ起こしてあげてください。帰って来てからずっと寝たままなんです」
 粟田口の短刀たちの中で一番懐っこい乱が、てきぱきと饅頭を器にとりわけながら言う。
「歌仙さんがまるっと洗ってくれたまではいいんだけど、そのままずーっと三番目を抱えて眠りこんでしまって」
「歌仙が?」
 歌仙兼定はこの本丸で燭台切らと共に本丸で刀剣たちを束ねている。
 世話役三人衆の一人であり、生活面に重きを置いているのでまるで寮母のような仕事を請け負うようになっていた。
「ええ。すぽーんと脱がして、そこの大きいたらいに放り込んで、ざーっと井戸水で洗いましたよ?」
「大きい盥?」
 三日月は乱の視線の先を追って首をめぐらせた。
 この庭の一角にには手押し式の井戸があり、その近くには洗ったばかりであろう農機具が干してあり、それらと一緒にかなり大きめの盥が伏せられた状態で斜めに立てかけられている。
「そこで?」
 山茶花に囲われてはいるものの、それなりに開けた庭でもある。
「ええ。そこで」
 にこ、と当たり前のように笑われて、三日月は言葉に詰まる。
「あ。ちょうど小夜ちゃんも遠征がえりで汚れてたから、一緒に突っ込まれてましたね。まとめて二匹の子犬を洗うみたいに賑やかでしたよ」
 いきなり名前を出された左文字小夜は、目を向けるとさっと山伏の後ろに隠れた。

 失礼な。
 取って食いはせぬ。
 心の中で独りごちた。

「ん・・・?」

 しかもよく見たら、なぜか小夜が来ているのは見覚えのある小豆色のジャージではないか。
 それに、その着丈はおそらく・・・。
 つい目を眇めると、少年は山伏の太腿にかじりついてカタカタ震えだした。

「・・・そうか。歌仙には手間をかけたな」

 無理やり視線を外して乱に向き合う。
 左文字小夜は、寂しがり屋の子供だ。
 兄弟刀剣たちが不在の折は、粟田口か国広たちが預かって面倒を見ることにしていると聞いたことがある。
 だから、多少のことには目を瞑るべきだ。
 何しろ、子供なのだから。
 たとえ、たとえ。
 ・・・山姥切の、彼の服を、当たり前のように身につけていたとしても・・・。

「いえいえ。歌仙さんの脱がしっぷりは、奪衣婆も真っ青のテクニックですからね」
 二人を洗い終えた歌仙は、獲得した汚れ物を抱えて満足げに洗濯場へ去っていったと言う。
 特に、山姥切の被布を今日こそ漂白するのだと意気込んでいるとも乱が面白おかしく説明してくれているようだが、そんな話、右から左へと流れて行ってしまった。
「ほう。奪衣婆とな・・・」
 ならばこの際、地獄へ転職でもすればいいのにという考えが頭をよぎる。
「ええと、三日月様」
「うむ?」
 少し散じてしまった気をかき集めてみると、なかなか洒落た器にこんもりと盛られた饅頭の山が目の前にあった。
「実は山姥切、帰着から今まで何も食べていないので、お願いしても良いですか?」
「これを?」
「はい。山姥切の大好物なので」
「・・・ほう?」
 粗熱がとれた饅頭たちは、陽の光に照らされてふっくらつやつやと輝いている。

 こういうものが好きなのか。
 口数が少なく不器用な山姥切について、まだまだ知らないことはたくさんある。

「なるほどな」
 器を両手で捧げ持ち、上目遣いで可愛らしく首をかしげて頼みごとをする乱を見て、彼の手のひらの上で存分に転がされていたことに気付くが、今更だ。
 それに。
「まあ、よかろう」
 少女めいた外見と高い声に、敵も味方もつい油断しがちだが、なかなかの策士でもあるし、人との距離感に対する感度はずば抜けていると改めて思う。
 味方としては得難い存在の一人だ。
「・・・恐れ入ります」
 受け取ると、乱がふわりと笑みを浮かべた。

 まったく。
 この笑みもまた、くせものだ。
 苦笑いを浮かべて、予想よりずしりと重い器を受け取った。

「すぐにお茶をお持ちしますから、その時に三番目は引き取りますね」
「・・・そういえば、三番目とは?」
「五虎退の虎たちの中で真ん中の子です」
「虎?」
 短刀の五虎退は五匹の子虎を飼っている。
「ちょっと難しい子なんですけど、噛みつきませんので安心して下さい」
「・・・あいわかった」

 まあとにかく。
 当初の目的だった国広の部屋へと向かうべく、饅頭の入った器を抱えて三日月宗近は奥へと足を向けた。


「・・・あんまり、大人をからかうでないぞ」
 三日月の姿が見えなくなってから、山伏国広はぼそりと口を開いた。
「ああああ、めちゃくちゃ緊張した!!乱って、命知らず!!」
 火の始末をしながら、秋田藤四郎がきゃんきゃん吠える。
「えへ。なんのこと?」
 けろりとした乱に、緊張から解き放たれた短刀たちの抗議が殺到した。
「まあ・・・なあ。あれにも、三日月様にも、それくらいがちょうど良いのかもしれんが」
 空になった蒸篭を片付ける山伏はため息をつく。
「でしょ?僕、いい仕事したんじゃない?」
「それは、どうか・・・わからんな」
「ええ?なんでー?」
 不満げに唇を尖らせた乱の頭を軽くポンと叩いた。
「大人をからかうのもたいがいにせんとな。あれはあまりよくないぞ」
「はあい」
 反省の色が全くない乱に、短刀たちがわあわあ群がる。
 口喧嘩をしながら、じゃれながら、子供たちは饅頭を仲良くほおばり始めた。

 ふと見上げた空が、随分高い。

「秋じゃのう・・・」

 色々な形の雲が複雑に浮かんでいる。
 遠くの先は抜けるように青い。
 天上の色と雲の流れに、見とれた。
 


 障子を静かに開け半身だけ入れて部屋をのぞき込むと、薄明かりの中、隅の方に白いかたまりが横たわっているのが見えた。
 先程の秋の庭の賑やかさから一転して、しんと静まり返った空間。
 足音を忍ばせて滑り込んだが畳を踏む音すら響き渡りそうで、なんとなく緊張してしまう。
 そろりそろりと足を進めて、ようやく傍らへたどり着いたがたった十畳足らずの三人部屋が大きく感じた。
 ゆっくりと腰を下ろして、近くの文机に饅頭を盛った皿を置く。
 胡坐をかいた膝頭のすぐ触れそうなところには、こんこんと眠り続ける男いる。
 山姥切国広。
 この本丸において、審神者に選ばれた最初の刀。
 長義作の打刀・山姥切の写しとして名高い、国広の最高傑作。
 寝間着も寝具も白い中、横向きに巻貝のように丸くなった彼の金色の髪だけが不思議な光を放っている。
 そして。
 大事そうに抱えてこんでいるのは毛皮の枕。
「もとい、三番目とやらか・・・」
 つい口から洩れた声に、枕が反応した。
 むくりと頭を上げたのは、確かに虎の子で。
「ぐ・・・・・る」
 最初は深い眠りから覚めていない様子だったがだんだんと飴色の瞳が次第に力を帯びていく。
 頭から尻尾の先までぶわっと毛が逆立ち、全身が先ほどよりも少し嵩増して見えた。
 そして、口の両端がゆっくりと上がって鋭い牙が現れる。
「・・・シャー・・・」
 喉の奥から、ひそやかな音が呼気と共に放たれた。
「ほう。威嚇とな。良い度胸だ」
 静かに座してじっと丸い瞳を見おろすと、次第に様子が変わってくる。
「シ、シ・・・・ャ・・・」
 ぱたりと、尻尾が布団の上に落ちた。
 身体がしおしおとしぼんでいくのが解る。
「ん?どうした?」
 首をかしげて問うと、子虎の身体がまたぴくりと揺れる。
 と、その時。
「あーっ。やっぱり~。駄目ですよ、三日月様~」
 勢いよく障子が開き、部屋の中に光がさっとさす。
「三番目は、虎と言ってもまだお子様なんだから・・・」
 途端にぴょんと跳ね上がった子虎はまるで毬が転げるかのように駆けだし、三日月があっけにとられている間に障子の隙間から外へと消えてしまった。
「お手柔らかにって、言いたかったんですけどね」
「俺は何もしておらんぞ」
「それは解っています。ただ、三日月様は存在そのものに威厳がありますからね。ちょっと見つめただけでも子虎ちゃんは震え上がったんじゃないですか?」
「む・・・」
 その通りである。
 正直、あの抱き枕にちょっと面白くない気持ちがあったのは確かで。
 ほんの少し、目に力を入れてしまったかもしれない。
 いや、少しという表現の上限ぎりぎりくらいには。
「まあ今頃はたぶん、五虎退の腕の中に飛び込んで思いっきり甘えてますよ」
 さらっと流して、乱は畳に膝をつき、茶器と小ぶりの重箱を載せた盆を三日月の前に置く。
「この保温器にほうじ茶を入れています。重箱の中に少し食事も用意しましたので、そちらも召し上がってくださいね」
 乱の気配りには舌を巻く。
「それと―――」
 いったん言葉を切り、ちらりと文机の横にある戸棚に意味ありげな視線を投げた。
「お酒は、その戸棚の中です」
「・・・それでは長居をしてしまうぞ」
「宜しいのではないですか?山伏さんはさっき遠征の要請に応えてもう出かけましたし」
 もう一人の同部屋人、堀川国広は幕末へ出陣中で長い間留守にしている。
 つまりは。
「それは・・・また。気の利くことで」
 ゆっくりと唇の端を引き上げる。
 見上げた先には、乱藤四郎。
 ふと、先ほどの光景が頭に浮かんだ。
 しげしげと見下ろした自分と、牙を見せた虎の子。
 今、いつのまにか立場が逆転している。
「三日月様」
「・・・うむ」
「僕は、山姥切が大好きです」
「・・・・ほう?」
 これはまた。
 次に何を言い出すのか、乱の少女めいた唇を見据えた。
 細くてしなやかな身体。
 高い弦をつま弾くような高い声。
 手入れのいき届いた長い髪を含め外見は可憐だが、なかなかどうして。
「だから三日月様に、お任せします」
 にいっと、真珠のような白い歯が覗いた。
 虎の子の牙とは違う。
 しかし、強い意志をはっきりと見せつけるこの笑みは。
「・・・もしかして威嚇されているのか?俺は」
「やだ、まさか。そんな恐れ多い」
 あははと明るい笑い声を立てて軽くいなしたが、彼の瞳は少しも揺らがない。
「三番目同様、お手柔らかにお願いします」
 首をかしげて小さく会釈した後、乱は静かに立ち上がり障子へと向かう。
「乱」
「はい?」
 障子を開き、廊下に出てからくるりと振り返った乱の意味ありげな表情は変わらない。
「ずいぶんと、難しい注文をする」
 謎には謎を。
「お手並み拝見いたします」
 互いの闇の気配を感じながらも。
「恐れ多いことだな」
 心の奥底を隠して。
「三日月様ったら、ご冗談を」
 笑顔で取り繕った。
「・・・では、僕はこれで」
 ふつりと、静寂が戻る。

 閉じた線の内と外で、ひそかな駆け引きはいつまでも続くだろう。
 心の刃を交えた以上は。

 片膝を立てて、ふっと三日月宗近は息をついた。
「・・・どちらに」
 乱藤四郎に、なのか。
 それとも、山姥切国広に、なのか。
「お手柔らかにと言われても」
 持て余していることなど、とっくに見抜かれているだろう。
 この、付喪神としての身体に。
 この、予測不可能な感情とやらに。
 そして、目の前で眠る者に向かう衝動に。
「難儀なものだ」
 力の加減など、図れるはずもない。

            -つづく-



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