『心の月。』-9-(『よる。』シリーズ) 

2017, 06. 24 (Sat) 22:59

 今日はかなりまとまった雨が降りました。
 おかげで、瀕死状態だった地植えの植物が生き生きとしています。
 だがしかし、気圧にねじ伏せられて今日は雷が鳴ろうがなんだろうが昼寝してしまいました。
 たぶん昨日、倉庫で廃棄物の段ボールの積み直ししてバベルの塔を作ったのが身体に響いたんだわ・・・。
 短時間であろうとも、年とともにパワーは落ちていくので。
 私の仕事は女性率が高いのですが、内情は力仕事に次ぐ力仕事。
 漫画や小説で優雅な職種として描かれるたびに、違うねん!!めっちゃ肉弾戦やがな!!と、心の中で叫んでます。
 もちろん、頭脳は使います。
 だけど、見えない所で肉体労働ににつぐ肉体労働でもあります。
 おかげで数年前より腕も方も指も肉が付き、それは決して脂肪だけじゃないと痛感するくらいに体形が変わりました。
 もし二十代のうちにこの仕事を始めていたならば、現在の私は確実に夫をお姫様抱っこできるようになっていたと思う(笑)。
 でも、もう年だからね。
 瞬間風速的に頑張った後は、翌日こんこんと眠り続けないと失った力を取り戻せないのですよ。

 
mini-aji (4)


 と、いうわけで。

 今日の昼間位にPixivとなろうはアップしていましたが、こちらはこの時間になってしまいました。
 『心の月。』ようやく終了です。
 最初からエピローグは予定していたのだけど、以外と長くかかった・・・。
 私の無計画ぶりがどんどん文字数を増やしていく…。
 できれば短い文字数で、ぎゅっと濃厚な感じにお届けしたいとつねづね思うのですが、なかなか出来ないのが今の私の実力ですね。
 奈津美と篠原のこれからも、いつかは書きたいと思っています。
 とくに、篠原の過去の話とか…。
 そして、毒をまき散らしている父親がどうなったかの話も、実は私の中ではできていて。
 いや、そもそもこの回は、吉央と将のこれからの布石の予定だった…。
 じ、じつは、えろで馬鹿な話の方が吉央と将は先に脳内にできていたので、そちらに早くたどり着かせてあげたいです。

 でも、途中でぶった切ったままの話もいくつか抱えているんだよな・・・と、今朝、ぐるっと手持ちの文章を見直して再確認。
 ちょっと気分転換のつもりがずっぼりハマるのは私の悪い癖です。
 書きたい話は、いっぱいあるんだ。
 だけど、力量がついていかないんだ。
 いいかげん生活のリズムを決めて、確実に書く時間を作らないと脳内の人々がストライキを起こしそうだと反省した、雨の日でした。
 月曜日にまとめサイトと、このブログのリンクの貼り直しをします。
 そして、刀剣乱舞を終わらせたいなーと思って…います。
 ようはえちシーンになるから二の足を踏み続けて地団太状態なんだよな。うん・・・。
 雨の降るうちに、だらだらしないで頑張りたい…です。

 
 ではでは、みなさん、良い週末を。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『心の月。』-9-



 コーヒーが二人分運ばれてきて、お互いにカップを手に取り口につける。
「・・・昔ね。十二年ぶりかな、産みの母に再会したのも品川だった」
 産みの母と亡くなった祖母は同居したその日から嫁姑戦争を繰り広げ、奈津美が三歳の時に離婚という形で決着した。
 そして今度は祖母のお眼鏡にかなった良子が後妻に入り、吉央が生まれたけれど、本間の家の雰囲気はいつもどこかよそよそしいままだった。
「そうでしたか」
「本間の家に居づらくなったタイミングで父が産みの母に会わないかっていうから、私は彼女とこれから暮らすことになるんだと覚悟して品川に行ったの」
 しかし、予想は大きく外れた。
「もう記憶にも残っていない母は、見た目がとても若い人だった。私を頭のてっぺんからつま先まで眺めた後、今更一緒に暮らす気はないとはっきり言われた」
 当時の母はまだ三十代半ばで。
 アメリカで看護師としてそれなりに活躍しているらしく、自信に満ちていた。
「そうでしたか・・・」
「その直後に父と二人で話し込んでいるのを偶然聞いて、二つのことを知ったの。一つは、両親の関係は今も続いている」
 再婚相手に全てを押し付けて、恋人気分を楽しんでいた二人。
 確かにお似合いで、これ以上の似た者同士はなかった。
「・・・その当時、奈津美さんは」
「十五、だったかな。中学三年生だったはずだから」
「ショックだったでしょう」
「ええ。それよりもっと衝撃だったのは、実母のことばだった。地味子って、母のことを揶揄して、そして私のこと、気持ち悪いって」

 心の中の、汚い、どろどろしたものを顔いっぱいに滲み出させながら、あの人は言い放った。
『顔と身体は私で、中身は地味子って、サイアク。なに?あれは地味子の嫌がらせなの?』
 それを聞くなり父は、腹を抱えて笑いながら追随した。
『お前、うまいなそれ。息子はもっと地味でじとーっと暗くてさ。家に居づらいのなんのって』
『うわ、ますますサイアク』
『だろー。慰めてくれよ、美加あ』
『まったく、しょうがない人ねえ』
 吉央は間違いなく父の子なのに、全くの他人ごとで。
 地味だ、じみだと私たちを侮辱して喜ぶ二人の顔は、とても、とても醜かった。
 こんな二人から、自分は生まれたんだと思うと、絶望で目の前が真っ暗になった。

 おかあさん。
 こんなひとたちに、こんなにも長い間踏みにじられて。

 そして聡い母が、この薄っぺらな人たちの思惑などとっくに気づいていて、悩み続けていたのだとようやくわかった。
 どうすればいいのか、わからない。
 頭を整理するのに時間が必要だった。
「それですぐに将のお母さんに連絡を取って相談して、東京に住んでいた大野の叔父一家の元にしばらく置いてもらって。あの人達も優しいからずっと居ていいよって言ってくれたけれど、また本間へ戻った」
 帰宅して一番に母に聞いた。

 どうして、どうしておかあさんは我慢できるの?
 こんな、ひどい家。

「そうしたら、笑ったの。『ここが、私の家だからよ』って。ものすごく、ものすごく苦しくて悲しいのに、母は・・・」

 何度もあの時の笑顔を思い出す。
 綺麗で、儚くて、切ない、ほほえみ。

「奈津美さん」
 指先を握られて、我に返った。
「あ、ごめんなさい。こんな暗い話を聞かせて・・・」
「奈津美さん。私はあなたが好きです。とても」
 骨格のしっかりした手で、強く握り込まれて、彼の力を知る。
「あなただから、好きです」
 この人は、どうしてまっすぐにそんな言葉を口にできるのだろう。

 好きと言われるのは、嬉しい。
 でも、好きと言われるのは、怖い。

「先日、お母さまにお会いした時、あなたにそっくりなところをいくつも見つけましたよ」
「・・・そっくり?」
「ええ。言葉のちょっとした間合いとか、笑うタイミングとか…。そんな些細なところまであなたたちは似ています」
「・・・ほんとうに?」
「ええ」
 ふいに、肩の力が抜けた。
 そっくりなんだ・・・と、思わず呟いた。
 外見はあの人達に似てしまったけれど、中身は、お母さんに似ていると、この人は言う。
「うれしいですか?」
 囁きが、優しく耳を撫でる。
「・・・うれしい・・・」
 じわり、と、指先に人の肌の暖かさが通う。
「今度、私の話を聞いてくれませんか?」
 彼の、大切なひとのはなし。
 知りたいと、思い始めている。
「・・・。聞く、だけ・・・なら」
 聞くしか、できないけれど。
「ええ、あなたに聞いてほしいのです」


 “私の、心の中の月も。”

 彼は、真昼の月を背に、謎をかける。

 “あなたの中にあるように、私の中にも、月があるのですよ。”

 心の、月。




                 -おわり-



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