『心の月。』-8-(『よる。』シリーズ) 

2017, 06. 22 (Thu) 08:57

 おはようございます。
 今日の梅雨の晴れ間にやっつけたい仕事があったので、こなしつつその合間に更新。
 網戸と窓とベランダ洗いは終わった。
 カーテンとかマット類、明日までに完了できるかな。

mini-h0946 (19)

 さて、なかなか終わらない『心の月。』。
 さらっと終わるエピローグの回、のつもりが、話が長くなりそうなので分けることにしました。

 ちなみに、奈津美と篠原の事故エピソードは『アタシ、猫』(←まとめサイトへ飛びます)で(笑)。
 仲間内だと年下枠なので、将たちといるときとはちょっと違います。
 徹と佐古が甘えさせているせいもありますが。


 次回はちょっとどす黒い話も。
 頑張れ篠原。
 私はそのうち篠原がなっちゃんの身体にマイクロチップ埋めそうで怖いです(笑)。


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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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 『心の月。』-8-



 ホテルの空調とは別の、心地よい風と草木の香りを感じて、うっとりと目を閉じる。
 駅まで見送りを将が遠慮したので、奈津美はそのままティーラウンジにとどまり、新たにコーヒーをオーダーした。
「高校生相手にとろけそうな顔をしたりして、何やってるんですか、あなたは」
 珍しく辛辣な物言いに目を開ける。
 傍らに顔を向けると、作り物のように完璧な造作の顔がわずかに眉をひそめて見下ろしていた。
 周囲は、長身でみるからに高級そうなスーツに身を固めた男に好奇心の視線を送っている。
「大好きだった男の子が、成長してますます良い男性になっていて、しかも大切な弟を下さいって言いに来て。これ以上どんな顔をしろっていうの?」
「さくっとまとめたらそんな話になるんでしょうか。でも、とろけすぎです」
 まるで何もかも把握しているような口ぶりに、疑念がよぎる。
「・・・もしかして、私の持ち物のどこかにGPSと盗聴器仕込んでる?」
 篠原高志。
 有名政治家の秘書の一人で、ちょっとした関わりを持ってしまったひと。
「さすがにそこまではやめてくれと啓介さんに止められたので、やっていません」
 啓介、とは奈津美の同僚の片桐啓介のことで、彼の祖母が篠原の正式な雇い主になる。
「やるつもりだったと、言い切るんだ・・・」
 潔いとほめるべきかと一瞬考えたが、いや、根本が間違っていると思い直す。
「じゃあ、なに情報なの?片桐さんは今、こっちにいないはずなのに」
「・・・あなたが、高校生と思しき青年と手をつないで品川駅界隈を歩いていると、しらせが・・・」
 らしくない、ややしどろもどろな口調に、ちょっと可愛いかもという仏心が沸き上がるがそれをねじ伏せ、あえてつっけんどんで通した。
「で、だれ?」
「・・・池山さんです」
 そして、池山和基もまた同僚で営業職としての敏腕ぶりを各方面いかんなく発揮している。
「あの人ったら…。いろいろ能力の無駄遣いよね…。というか、また私、池山さんに売られたのかな」
「いえ、今回は無償です」
「こんかいは、ねえ」
 彼らを含めた親しい友人たちは、ちょっとした事故から始まった篠原と奈津美の攻防を野次馬根性で楽しく見守り、時には茶々を入れてくる。
 例えば、こんな風に。
「・・・まあ、立ち話も目立つので、どうぞお座りください」
 又従兄が去り、ぽつんとあいた空間を示すと、篠原は優雅に一礼し腰を下ろした。
「・・・いつから、ここにいたの?」
「お二人でドーナツの話を始めた時から」
 奈津美は宙を見上げてそれまでの会話の記憶をたどる。
「・・・かなり深い話を始めたとこって感じかあ。まさかと思うけど、会話も聞いちゃったの?」
「奈津美さんは大野様に集中されていたのでお気づきにならなかったようですが、私はそこにいましたよ」
 彼が視線で示したのは斜め後ろのソファセットで、姿勢を転じない限り気がつかない。
「誤解の無いよう申しますが、単に私も休憩時間だったのでここに寛ぎに来ただけです」
「・・・なんか、前後左右、つじつまが合っていませんが、篠原さん?」
「・・・そういうことにしてくれませんか。私もたいがいだと思っているのですから」
 ちょっと、情けない顔。
 けっして計算したものではなく彼の素顔とわかるから、降参してしまった。
 どうしてこの人は。
「では、武士の情けで」
「ありがとうございます」



                 -つづく-



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