『心の月。』-6-(『よる。』シリーズ) 

2017, 06. 09 (Fri) 20:59

 夜のはじめに誤操作でアップしてしまいました。
 ネットの各方面に通知が先に行ったはずなので、クリックしても何もご覧出来なかった方、すみませんでした。
 我が家は夕飯が遅いので料理の仕上げの直前に入力することが多いので、うっかりミスが多いのです・・・。
 福岡は梅雨入りしたはずなのですが、昨日今日と晴天で、風も心地よく、冬に履いた靴や冠婚葬祭用の靴の手入れを昼間にしました。
 玄関いっぱいに靴が並んで、まるでイメルダ夫人のよう・・・と思ったけど、この形容、わかる人どのくらいおられるのだろうか。
 旦那が帰宅して足の踏み場のない玄関に驚いて声を上げていました。
 「か、カビでも発生したの?」
 そうなる前の処置ですよ~。
 植物には気の毒だけど、乾燥した今日の天気に感謝。


mini-h0946 (4)

 ところで、今回の会話は将がまたもや爆弾落としていますが・・・。
 あと二回くらいで回収しますので、どうか気長お付き合いください。
 なっちゃんがんばれ。


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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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 『心の月。』-6-



「本間の狭い家の中で一番威張ってるヤツに可愛がられてるって頭に乗って、そいつにそそのかされるまま意地悪してきたけど、なにもかも間違っていたって、あの時やっとわかったんだろうけど、吉央にはどうにもできなかった。なっちゃん、あのあとすぐにしばらく東京へ行っちゃったし」
 その日珍しく帰宅した父がおおよその話を聞いた後、東京に行かないかと奈津美を誘った。ちょうどアメリカで看護師として働いている産みの母親が、一時帰国して東京に滞在しているから会わせてやると言われ、混乱したままついていった。
「行ったものの、ろくでもない真実を知って、本間の家に帰るしかなかったけどね」
 東京へ連れていかれたからには、実母と暮らせということなのかと思っていた。
 でも、現実はもっと残酷で。
「なっちゃんが、すごくしょんぼりしてたけどちゃんと帰ってきたとき、吉央は本当にうれしかったんだよ。でも、どうすればいいかわかんなくて、すごく困ってた」

 嘘をついたことを、謝りたかった。
 もう二度と会えないかと思った姉の手を、握りたかった。
 でも、暗い顔をして戻った姉に、声をかけることすらためらわれた。
 おかえりなさい。
 ごめんなさい。
 だいすき。
 言いたい言葉はたくさんあるのに。

「・・・たっちゃんには、本当にかなわないなあ。よっちゃんは私の弟なのに、思っていることがぜんぜんわからない」
「俺もわからないよ。でも、なっちゃんのこと、本当はとても好きなのに、どうしたらいいのかわからないっていうのは、さすがのつぐみでもわかったみたいだよ」
「さすがのって・・・。たっちゃんひどい」
「いや、つぐみは本当に我が道だけだから
 いつ元気が有り余っている姉に振り回されていたと思っているらしく、こんな時だけ将は不満をあらわにする。
 でも、つぐみと過ごした毎日は、奈津美の中でなくてはならない記憶だ。
 ひばりも、夫の直樹も、つぐみも、自分たちをいつでも明るく迎えてくれた。
「ほんとうに・・・。大野のみんながいなかったら、私たち、どうなったかわからない」
「だってお隣さんだし。又従兄弟だし。大切な家族だと思っているよ」
「ありがとう。たっちゃんがいてくれて、本当に良かった」
「でもなっちゃん。俺は、吉央を頭から丸ごと食ってしまいたいと、常々思ってる」
 表情一つ変えず、さらりと将は切り返した。
「・・・たっちゃん?」
「あのあとクラス替えで吉央と一緒になったら、ずーっとひよこみたいに吉央は俺の後ろについてくるようになった。前みたいに憎たらしいところは全然なくなって、可愛かった。下に弟か妹欲しかったし、だんだん情が沸いて」
「うん」
「それであの夏の夜、アイツに襲われたのを頑張って逃げて、俺の腕の中で号泣した時、めちゃくちゃどきどきした。殴られて、裸にされて、怪我もして。心配もしたし、アイツを殺したいくらい腹が立ったけど、吉央が必死になってしがみついてくるから、もうどうしたらいいかわからなかった」

 腕の中の身体の熱に驚いた。
 首筋を撫でる息が熱くて、
 かけてやったタオルケットから覗くうなじが白くて、
 整わない呼吸で上下する肩がたよりなくて。
 胸を撃ち抜かれ、
 深くえぐり取られて、
 喉が渇いたのを覚えている。

「・・・俺は、吉央をこれから悲しませることをするかもしれない。いや、確実にする。アイツよりずっと俺は鬼畜で、何度も何度も、酷いことしたいって思ってた。どうする、なっちゃん?」




                 -つづく-



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