『野分』-13-(刀剣乱舞二次創作) 

2016, 11. 10 (Thu) 23:53

 大変ご無沙汰して申し訳ありません。
 最近、そこそこ元気になりました。
 命の洗濯に、動物絵巻など見に行ったりと独りでちょこちょこ息抜きを始めて、ようやくブログおよびワード画面にたどり着くことができました。
 ここには書ききれない、色々な事がありましたが、とりあえず結果オーライとしようと…思っています。
 まあそのようなわけで、久々の更新となります。

 さて、お待たせしました。
 二次創作・刀剣乱舞『野分』13話目です。
 なかなか、なかなか進まず、大変申し訳ない。
 そして、前回の予告で燭台切と山姥切を出すと言いましたが、ちょっと迂回することにしました。
 えちシーンを書く気力がなかったせいもありますが・・・。
 それよりも、ここは必要かなと思う場面が順序的に先に来た感じかな?
 だんだん、三日月と石切丸が人間じみてきておりますよ。
 そんなところを楽しんでいただけると嬉しいです。

 ではでは、刀剣に関しては、次の更新が来週になります。
 そろそろ、本当にきちんと書きたい…と思います。
 お楽しみに。



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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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  『野分』-13-


 びいーぃぃぃん。

 弦を強くつま弾いたような音が、あたりに響き渡った。
 そして、水面から一斉に水蒸気のような細かい粒子がぶわりとたちのぼり、玉を包み込んだ。
「・・・っ!!なんだよ、これ」
 それまで思い思いに寛いでいた刀剣たちは瞬時に立ち上がり、身構える。
 目の前の龍玉は一瞬にして夕陽のような色を帯びた。
 そして、ほんの数秒で今度は藍色に染まる。
「・・・石切丸」
 朱と藍の色を交互に繰り返しながら淡い光を放つ龍玉は、まるで呼吸をするかのようにゆっくりと伸縮する。
「手合わせが始まったか?」
 三日月宗近が低い声で問うと、地に右手を当てたまま目を瞑っていた石切丸は指先からわずかな情報を読み取ったのか、深いため息をついた。
「その通りです。・・・ただし、燭台切は私が教えた手順をすっ飛ばした・・・と言うか無視し、まったくの我流で挑んでいます。おそらくは、ですが」
「ほう?」
「やってはならない・・・。いや、私にはとうてい思いつかなかった、とても危険な手段を用いていることだと思われ・・・」
 平静を装っていたのはそこまでで、石切丸は地につけた拳を強く握り込み、歯ぎしりする。
「・・・っ。あの、馬鹿野郎…っ」
 例えるならば、細い、絹のようなとても頼りない糸の上を燭台切は歩くことを選んだ。
 ほんの少し、己を間違えると山姥切とともに奈落に落ちて戻れない。
「・・・あいつを送り込んだのが間違いだった・・・」
 石切丸の悔やみを、三日月は笑い飛ばす。
「はっ。愚か者はお主じゃ。燭台切は命を丸ごと山姥切に渡したというなら、これでこそ喧嘩祭りよ」

 燭台切光忠。
 傾奇者として知られた織田信長が光忠に銘じて作らせた刀剣で、以後、豊臣秀吉の手に渡って愛用され、更に伊達政宗、水戸徳川家へと持ち主が変わっていく中、誰もが寵愛し、執着し続けたという逸話が残っている。
 その後水戸家の財宝として重用されてきたが、関東大震災の折に水戸家の宝物蔵が罹災し、そのさなかに扉を開けたことによるバックドラフト現象で焼刀の状態になったという経緯がある。
 しかし黒く焼けた姿になってもなお、戦時中の鉄不足による刀剣供出も拒否するほど大切に保管されてきた刀剣。それこそが燭台切光忠の本領なのだと、誰もが思わずにはいられない。
 
「・・・我々は所詮、ただの刀。どのような本質であろうとも、持ち主の性にどうしても引きずられてしまう所があるだろう」
「・・・信長たちの大博打根性が、燭台切に馴染んでしまったと?」
 異を唱えたい気持ちが心のどこかにあるが、論破できるほどには彼のことを知らなかったのだと、今更石切丸は気づき、ゆっくり頭を振る。
「そうじゃなあ。・・・まあ、あれなら、傾奇者か伊達者と呼ばれたいであろうが」
 まるですれ違いのような接触だったにも関わらず、三日月は燭台切光忠という男をよく知っているかのような口ぶりだ。石切丸が眉を顰めると、国の宝と号された刀が唇をわずかにほころばせた。
「妬くな妬くな。あれとはちと縁があった頃もあるから言っておる。豊臣の城で奴は秀吉、俺は北の政所に持されていたので、知らぬ仲ではないわ」
 言われてみれば、三日月宗近は北政所から秀吉の形見分けの品として徳川家へ下賜されたと聞いたことがある。
「・・・しかし、燭台切は、そのような風ではありませんでしたね」
「城は広かったし、忘れておるのだろう。それについては不本意だが、焼けたときにこぼれてしまったのなら仕方ない」
 さらりと流して三日月は鼓動しつづける龍玉を眺めやった。
「それにしても羨ましきことよ」
「なにが、ですか・・・」
「命を賭けても良いと思えることが・・・な」
「・・・」
 紗綾形の地模様が施された藍色の絹衣を纏うその姿は、誰よりも高貴で悠然としている。だが、いつも笑みを浮かべたままのその横顔に、どこか空虚なものを石切丸はふいに感じた。
「・・・言葉を変えたところで状況は変わりません、三日月様。こうなってしまった以上、あの馬鹿がどう始末をつけるか、とくと見物させてもらうしか、我らにできることはありませんがね」
「なんじゃ、解っているではないか」
「解るからと言って、納得できるわけはないのです」
「まあ、それが情と言うものよの」
 龍玉は色を次々と変えながら回り始め、やがてそれは、紫色に染まっていった。
「至極色か・・・。龍もなかなか粋なことを」
 最高位の官服に用いられていた衣に似た濃い紫色の珠を、水面から沸き上がり続ける水煙が柔らかく包み込む。
「あれたちは、何を思っているであろうな」
「・・・さあ」

 欲の炎に焼かれ、焼き尽くされた果てに何があるのか。
 今となっては誰にもわからない。
 ただただ、彼らの未来を、ひたすら祈り続けた。
 生きて、戻れと。




             -つづく-



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