『野分』-8-(刀剣乱舞二次創作) 

2016, 09. 04 (Sun) 00:44

 これをいじっている現在、もうすぐ丑三つ時ですわ…。
 いい大人がやることじゃないです。

 さらにいまごろになって、まとめサイトの方の刀剣乱舞記事が止まっていることに気が付きました…。
 ええと、今月中に何とかします。
 そういえば、ブログトップの方もリンクを張り忘れているし。

 今夜は家の人が夕方から出張に出たので頑張りました。
 いや、本当はめっちゃ疲れているんだけど。
 しかも私自身仕事場で朝っぱらからちょっと足をやらかして、なんか今けっこう痛いんだけど、とにかく先に進めたいのです。
 書き終えないと次にいけないような。
 いや、行けよ。時間ないんだからさ。

 それにしても思わぬ長さになってきました、野分。
 長くなったのは三条派刀剣の二人のせい…。
 ちょっと色々漏れがある気がしますが、今日はこれにて。
 あとで読み直して何度か修正をかけるかと思いますが、どうかご容赦ください。



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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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  『野分』-8-



 夜のとばりが降りて、木の生い茂る深い森は滝の水音に支配されていた。
「さて石切丸。そなたのことだ、そつなく術を施しておろうの?」
 召喚されてすぐに、鍛冶の成功度の低い事で高名な太刀の小狐丸を難なく呼び出し、更には六人の刀剣たちと本丸の道場から青龍の滝まで瞬時に跳んだ三日月宗近は、涼しげな顔で問いかける。
「さあ、私ごときの術がどの程度効いたか心もとないのですがね」
 受けて立つ石切丸の顔から、不安は一切読み取れない。
 滝つぼを囲む形に薬研藤四郎を東、乱藤四郎を南、山伏国広を西、骨喰藤四郎を北に配置し、それぞれの傍に祈祷を施した篝火をたいて結界を張る。
 三日月宗近、石切丸、燭台切光忠の三人が陣取る場所もまた、東の結界内だった。
「燭台切光忠。辞退するなら、今ぞ?」
 何度目かしれない三日月宗近の戯言に、燭台切は深々とため息をつく。
「ほんっとに、勘弁してくださいよ、三日月様」
「いや、俺は本気だが」
 ぱちりと、扇を閉じて笑う。
「そもそも山姥切国広は、太郎太刀の鞘だな?」
「な・・・・」
「あそこで太郎太刀の名が出てきて、解らぬ方がどうかしている。あれと写しはよほど深い仲と見えるな」
「何もかもお見通しとは、恐れ入ります」
 石切丸は苦笑しながら、傍らの燭台切を振り返った。
「で、どうする、光忠?」
「きみもそういう言うか・・・」
「いや、どう理由をつけても寝とる形になるには違いないからね。太郎太刀と揉めたくないなら、やめてもいい」
「今更、それを持ち出す君もたいがいだな・・・」
 太郎太刀の気性を熟知している石切丸にとって、たとえ山姥切国広が助かったとしてもその先が平穏に収まるとは思っていない。
「・・・あんたたち、じゃれ合って事を進める気がないなら、俺が行くぞ、今すぐに」
 結界陣の中心で滝に向かって構えている薬研がぼそりと口をはさんだ。
「太郎太刀がここにいねえのは事実だろ。あいつと揉めるのが何だってんだ。つうか、形ばかりの救援にするつもりだったんじゃねえだろうな」
 怜悧な横顔に、いらだちと殺気がにじみ出る。
「おおこわ」
「うるせえ、だまってろ、じじい」
 薬研は滝に向かって視線をまっすぐに、両腕を構えた姿勢を崩さないまま、押し殺した声で続けた。
「山伏だって、抱けねえと断ったことをめちゃくちゃ後悔してる。力不足で加勢できないあとの二人もそうだろう。あんたらがそこでいつまでもくっちゃべっていると、士気は下がる一方なんだよ」
 燭台切が西に目をやると、山伏国広の印を結ぶ姿に覇気がない。
「・・・ごめん、薬研。ありがとう」
 迷いは、確かにあった。
 山姥切の刀剣破断は、とっくに知れ渡っている。
 事態を正確に把握したであろう太郎太刀は、必至の思いでここを目指して駆けているだろう。
 もし、間に合うならば?
 それこそが、山姥切の望みのような気がして、先へ進むことをためらっていた。
 しかし、一刻の猶予もならないのは現実。
「とにかく、お二人は現場指揮と言うことで。後を頼みます」
 思い浮かぶのは、山姥切国広の、白い横顔。
 ひっそりと、はるか遠くを見つめる青い瞳。
 その先には、戦場で優雅に活躍する太郎太刀の姿があった。
 焦がれてやまない男に占有されたのち、彼の身体の奥底に小さな光が灯り、それは執拗に覆ったぼろ布で隠せないほど輝いていた。
 それは、蛍丸が例えたように。
 『ちょうちょ、みたいだよね』
 類まれな、美しい色を内包した蝶そのものだ。
「行きますよ、僕にしかできないのだから」
 行幸だと、心のどこかで思う。
 自分が、あの蝶に触れることを許されるなら。
「さあ、始めようか。石切丸」
 背筋を伸ばした白装束の男に、石切丸は肩をすくめた。
「・・・まあ、このままいくと、全員、瘴気に充てられてしまう可能性はありますね」
 一瞬にして、場の空気が冷たく研ぎ澄まされた。
 石切丸はその場に膝をつき、しばし何事かを口ずさむ。そして深く息をついて立ち上がり、少しばかり前に進むと持参していた瓶子を両手で捧げ持ちじかに口を付ける。
 喉を鳴らして神酒を数口飲んだ後、もう一度捧げるしぐさをした後、瓶子を滝つぼに向かって放つ。
 ざん。
 瞬く間に、陶器の白い肌は闇に消えた。
 そして石切丸は振りかえりながら優雅な動きでゆっくりと両腕を広げ、しばし舞を舞う。
 拍子も何もないなか、彼の手足は、しっかりと何かを引き寄せているように見えた。
 ふわりふわりと宙に舞う彼の袖の動きに気を取られた燭台切は、石切丸の腕の中に囲い込まれたことに気付くのが遅れた。
「え・・・っ」
 燭台切も刀剣士たちの中ではそれなりに男らしい体格をしている。しかし、石切丸の背丈は群を抜いていた。
 まさかと驚く間もなく絡めとられ、捕らえられる。
 石切丸は優雅な笑みを浮かべたまま、左腕をしっかり腰を抱き、右手は唖然と口を開いた青年の顎を掴み、深く、強く、唇を合わせた。
「・・・・!!」
 素早く舌を滑らせ、同時に口の中に大量の水を流し込んだ。
 先ほど口に含んだ神酒であることは間違いない。
 しかし、石切丸の常軌を逸した行動に、さしもの切れ者もされるがままだ。
「・・・これもコミなら、確かにやりたくない・・・」
「・・・さもあらん」
 外野のとぼけた声が聞こえるものの、燭台切はそれどころではない。
「ん・・・」
 好き勝手に蠢く舌とおもいのほか熱を持った唇の感触に背筋がふつふつと泡立ち、我慢の限界に達した頃合いで、何か、更に口の中に移されたのを感じる。
「ぐ・・・っ」
 とっさに舌で押し返そうとしたが、抵抗もむなしく、それは、喉を通って体内に入って行った。
「げほ・・・っ、ごほっ・・・っ」
 石切丸の熱い胸板を突き飛ばし、身体を曲げて咳き込むが、もう後の祭りだ。
「あ、吐かないでくださいね。それ、これからすごい力を発揮する玉ですから」
 いたって冷静に説明され、鳩尾のあたりに手を当てたまま、加害者を見上げた。
「玉・・・?」
「以前、太郎太刀が遠征先で掘り出した宝玉です。あとで彼と二人で丹念に術を施し、山姥切には気休めの御守だと言い含めて身につけさせていたもので、下手したら妖力に近いと言っていいほどの強力な効能があるので安心して下さいね」
「石切丸。あんた、俺に石を飲み込ませたのか・・・」
 いつもの柔らかな言葉遣いが影を潜め、誰も知らない粗野な部分が現れた。
「宝玉、です。大丈夫。用がなくなったら自然と出ていきますから」
「・・・もう、あんたたちには言いたいことが山ほどあるが、時間がないから勘弁してやる」
「ふふ。そんな君が好きですよ」
 甘ったるい賛辞を燭台切へ送った後、ふっと一息ついて集中を高める。彼の柔らかな面差しが突然、がらりと変わった。
 再び岸壁の淵に立つと、険しい面持ちで滝つぼに向き直った。
「では、少し力をお貸しいただけますか、三日月様」
「うむ」
 三日月宗近がすっと腰を落として隙のない体勢を作り、腰に差した太刀の柄に手をやる。
「いけ」
「・・・はい。では」
 すらりと大太刀を抜いて上段に構え、石切丸は目を閉じた。
「・・・姿を見せよ、露わにせよ・・・」
 ごうごうと、滝の音が響く中、彼の低い声が四方に散じる。
「来たれ、青龍の、玉よ!!」
 かっ、と振り下ろした大太刀が空を裂いたその時、強烈な光が滝つぼの底から沸き上がった。
「斎!」
 石切丸の声に呼応して、大きな白い光の塊が出現する。
 真夜中に不似合いな、真昼の光。
 しかし光の色と力は一定ではなく、それはまるで幾重にも重ねられた薄布のようなものがふわふわと回り続け、中に収めた芯のようなものを包み込み、ゆるゆるとあやしているのが解った。
「これが・・・」
 青龍の、本領だと知ることになる。
「まあ、繭のようなものかの」
 構えを崩さないまま、三日月宗近は語った。
 白い光は清めの呪縛。
「あの中に、穢れを捕らえておる」
 穢れ、とあえて言う彼の横顔は変わらず平静なままだ。
「龍は、山姥切にここで折れることを許さなんだ・・・。慈愛も時には残酷なことよ」
 滝を統べる四神を淡々と評する。
「結界の幕に包み込んで、ただただ生かし続けておるようだ。術に喰われ尽して随分な姿になり果てて、奴は死にたいと思っておることだろう。それを生かすも殺すも、お前次第。存分にせよ」
 抜いた刀を掲げ、ゆっくりと光の塊に向かって剣先を滑らせた。
 つう、と白い光に薄い筋のようなものが生じる。
「入口は作った。あれに向かって跳ぶが良い。あとは青龍が迎えてくれる」
 燭台切光忠は口を引き結んだまま、ただ一つ頷いた。
そして数歩後ろに下がり、助走をつけて光に向かって跳んだ。
「燭台切!!」
 乱藤四郎のひときわ高い声が、背中を追う。
「山姥切と・・・」
 山姥切と、必ず帰ってきて。





             -つづく-



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