『野分』-7-(刀剣乱舞二次創作) 

2016, 08. 25 (Thu) 08:19

 8/26に後半、ちょっと修正かけました。
 見た目にはわからないんだけど、ひそかに伏線張らせてもらいましたとも(笑)。
 気づいた方は笑ってくださいね。

 まだ風邪がいまいちなんですが・・・。
 どうしてもここまでは進めたくて何とか頑張りました。

 三日月宗近さまの性格がどんどん、ひでじ(ご存知の方だけ笑ってください…)化してきている・・・。
 いやいや、麗しくも尊い方でございますよ。
 だがしかし、次回もちょっと出張ります。
 そんな予定はなかったのですが、出張ります(笑)。
 これからの展開、そろそろ読者のみなさん予測がついておられるでしょうけれど…。
 野分、ですので。
 

 出勤前にがーっとUPしますので、不手際がありましたらすみません…。
 刀剣乱舞をご存知の方もそうでない方も楽しんでいただけると幸いです。




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  現在は、『睦み月』で『シゲルとミケ』シリーズです。
  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
  楽しんで頂けたら幸いです。

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  『野分』-7-


 びいぃぃん。
 琴の弦を断ち切るような不快な音が、一同の頭の中に響いた。
「やはり・・・な」
 城内の一角に建てられた道場の板の間の上座で、悠然と胡坐をかいていた三日月宗近がひそりと笑う。
「自らを、折り絶ったか」
「そこで、のんびり座り込んで笑っている場合じゃありませんから、三日月さん」
 初対面にもかかわらず、ずけずけと乱藤四郎が指摘した。
「急いでください。山姥切を破壊させるわけにはいかないんだから」
「おや、その方が写しにとっては幸せかもしれないよ?」
「な・・・っ」
「はいはいはい、そこまでそこまで」
 血相を変えて飛びかからんばかりの乱の腕をやんわりとつかんで、燭台切光忠が仲裁に入る。
「頼みますよ、三日月様。僕たちは山姥切国広をあのまま逝かせたくないので・・・」
「三日月宗近殿!!」
 横から、山伏姿の男が躍り出た。
「頼みまする、お願いいたしまする。どうかどうか、拙僧の兄弟をお助け下さい。あれは、哀れな子です。どうか・・・っ」
 ひたすら平伏する男のつむじのあたりをじっと眺めながら、三日月宗近は再び口を開く。
「ふむ。そなたが山伏国広か。では、そなたが抱くか?弟刀を。まあ、抱いても抱かれても、どっちでも障りはないと思うがな」
「・・・は?」
 驚愕に目を大きく開いた山伏国広と、その近くに佇む刀剣たちの一部の者の表情を見て、支度に歩き回っていた石切丸に声をかけた。
「なんじゃ、皆には言っておらぬのか」
「そもそも、審神者の耳に入れられぬことゆえ」
 肩をすくめて石切丸は答える。
「できることなら、あちらに跳んでからにしようかと思っていたのですが」
「ま、どだい無理って事じゃねえか。心の準備もあるから、今決めておいた方が得策だろ」
 同じく、支度に奔走していたらしい薬研藤四郎が多少息を切らして入ってきた。
「石切丸、薬研。これは、どういう意味だ?」
 隅にひっそりと座していた骨喰藤四郎が静かな声で問う。
「それは・・・」
「俺が説明する」
 石切丸を制して、薬研藤四郎がずかずかと道場の真ん中へ足を向けた。
「今から、誰かが、山姥切国広を抱く。助ける方法はそれしかない」
「なにそれ・・・」
「山姥切国広を襲った傀儡が所持していた毒矢の成分を調べると、一つのことが解った。現世で使われていた興奮剤と呪術を組み合わせたもので、それが全身に回った今、山姥切を二つの欲が支配している」
「二つの欲とは?」
「簡単に言えば、殺戮衝動と、性欲」
 乱と骨喰の質問に端的に応えながら、話を進める。
「根源は同じようなものなんだと思う。現世での戦いにおいてのその薬の使い方を見るとな」
 欧州の大航海と征服の時代、未開の地で発見したものは香辛料を始めとして多々あるが、そのうち後々まで人間に影響を及ぼしたものが麻薬だった。当初は宗教儀礼や医薬に使われていたそれは一部快楽に特化したものとなり、中毒患者を多く出す一方、それはやがて政治の駆け引きにも裏で使われていくことになる。そして、20世紀を過ぎたあたりから開発が進み、最後には戦場で密かに浸透していった。
 戦闘能力が低い者、良心に怯える者たちを一様に、殺戮者に仕立て上げる薬として。
「そもそも俺たちが生きた時代も、戦場で略奪と強姦を抑えることは不可能だった。人を殺してしまえば、もう、何やっても一緒って思っちまう奴は山ほどいただろう」
 法治国家で生まれた者が人を殺すという、最大の禁忌を破ったその瞬間。
 心の奥底に眠る欲望と言う名の獣を解放してしまう者は、混乱の中珍しくない。
 何かを破壊したい、奪いたい、犯したい。
「あれは、禁忌の衝動を爆発させるために作られた」
 ほんの少しの薬で荒ぶる化け物たちを作り送り出した背後で、争いを扇動する者たちは笑う。
 もっと乱れろ、暴れろ、そして壊してしまえ。
 混乱が混乱を生み、人々は憎しみ合い、殺し合う。
 大儀と復讐と悲しみの中にこそ、我らの富は膨れ上がるだろうと。
「毒矢に埋め込まれたのは二つの呪いの卵。それか孵化して山姥切国広の身体を這いずり回っただろう」
 赤い色の呪いは、大地を血に染める殺戮への衝動。
 青い色の呪いは、とめどもなく沸き上がり続ける性欲。
 同じ欲望から生まれ、獣のとしての深い深い本能を刺激する。
「最終的には一つの呪いが強く身体に染み込む。敵さんはどっちが作用してもいいようにしていたんだ」
 殺戮衝動で仲間及び審神者を殺戮するのもよし、そして・・・。
「もし審神者を鞘にして、抱き潰せばいいという算段かと」
「え・・・?」
「手っ取り早く呪いを解くのは、実は審神者を山姥切国広が抱くことだった」
「そんな、無理!!」
 乱の悲鳴に、石切丸が深くうなずく。
「そう。敵さんは、審神者が山姥切を一番に慕っていることでそれを狙っていたんだと思うけど…。うちの主殿はああ見えてかなりおくてだからね」
「まあ、初潮も来ておらぬ童には荷が重すぎると気づかぬ敵も、どれだけ阿呆よのう」
「三日月様・・・」
 面倒くさそうにあくびをしながら寝転がり始めた三日月を、燭台切がやんわりとたしなめる。
「とにかく、審神者が鞘になれない以上、山姥切を鞘にしてしまうしか方法がない」
「鞘にする?じゃあ、太郎太刀を早く呼んで・・・」
「それが、駄目なんだ」
「どういうこと?」
「力の均衡だ。太郎太刀は大きすぎて、山姥切を砕いてしまう」
「じゃあ、じゃあ、僕が・・・」
「いや待て。太郎太刀を呼べない理由と力の均衡とは、具体的にどういうことだ、薬研」
 骨喰が乱を制し、薬研に疑問を投げかける。
「解り易く言えば刀剣の種かな。太郎太刀の力は鞘に入れないし無理をしたら突き抜けてしまう。・・・そうだな。たとえば、視覚的な想像をしてもらうと解り易いかと思うけど」
「要するに、俺たち短刀・脇差が相手をすれば逆に力が及ばないと」
「うん、そういうこと」
「なら・・・」
「太刀か打刀ということになるな。山姥切との手合わせができるのは」
 だらしなく寝そべった姿でひらひらと扇を振り回しながら、三日月は話をまとめた。
「これも何かの縁。なんなら俺が出ても構わぬが、どうだ?」
「いや・・・。山姥切は初対面の男にいきなり身体を開けるタマじゃないから」
「おや残念。なかなか面白き仕事と思うたのに」
「あなたね!!」
 いきり立つ乱を藤四郎たちが取り押さえるのを横目に見つつ、くいっと扇を指し示した。
「・・・で、だ。弟を救う鞘にする決心はついたか?山伏国広」
「・・・・!!俺は・・・っ、おれ・・・っ!!」
 血の気の引いた顔で反駁する山伏国広に、さもありなんと三日月は肩をすくめた。
「やはり弟を抱くのは、禁忌に反するかの?」
「俺は・・っ」
「たとえ、それが奴を救う唯一の方法だとしても?」
「だって、おれは・・・」
 がくりと両膝を板に打ち付け肩を震わせる山伏の様子に、重苦しい空気が流れる。
 山伏と山姥切は同じ刀鍛冶氏に作刀され、今まで兄弟のような信頼関係に結ばれてきた。
 真面目な山伏にとって、山姥切を抱くというのは身内を犯すことと同じだった。
「山伏をいじめないでください、三日月様」
 ひたすら調停役として場を取り持っていた燭台切光忠が、口を開いた。
「俺が、行きます」
「燭台切光忠・・・」
「・・・最初から、そのつもりだったな、石切丸、薬研」
 深いため息をつく燭台切に、石切丸がふわりと頬を緩めた。
「山伏同様、無理強いするつもりはないよ。もしも誰も立候補しなかったら、私がやるしかないかなと思っていたし」
「俺がやっても良いと言うておるに」
「ご冗談もほどほどにされてください。格は確かにあなたが勝るでしょうが、山姥切国広はこの本丸で一二位を争う軍神ですよ。降臨してすぐに食い殺されてどうします」
 燭台切の唇から間髪を置かずに、思いのほか鋭い言葉がきん、と放たれる。
「おおこわ」
「話が決まったところで、三日月様にお願いいたします」
 横から茶々を入れる三日月宗近の前に石切丸は腰を下ろし、両手を膝前について軽く拝礼した。
「あなた様の仕事はまず、我々を青龍の滝へ飛ばすこと」
「ああつまらぬ、つまらぬのう」
「・・・このままですと山姥切に食い殺される前に、我々にこってりしぼられますが?」
「つまらん!!」







             -つづく-




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