『ときを、かぞえる。』-6- 

2015, 10. 30 (Fri) 06:47

 昨日、偶然にもイソップの「うさぎとかめ」を手に取る機会がありまして。
 ああ、俺ってウサギ根性丸出しだよな…と肩を落とした次第です。
 まだまだ先だと思っていたのに、もう、6話を迎えてしまったよ…。
 6話に尻をたたかれながら前に進みます。
 とりあえず、明日からは師匠に借りたBLで印象深かった本の紹介を始めましょうか(←オイ!!)。

 さて、『ときを、かぞえる。』第6話。
 ここにきて、風呂敷がどんどん広がっていくのがわかります・・・。
 しかしまだまだ広がり続ける私の風呂敷。
 最初は、ほんのパソコン回りだったはずなのにそのうち地球を余裕で覆えるようになってしまうのではないかとおびえていますが、そうすると、もしかして憧れの世界征服か?
 いやいや無理。
 とにかく後半は広げた風呂敷を畳んで畳んで畳まくります。
 どうかお付き合いくださいませ。

 ところで、楽園メンバーはお酒に強い人が多いです。
 それは、羨みの裏返し…。
 お酒を受け付けられない己の体質を恨み続けて、はや何年だろう…。
 日本酒とワインの味は大好きなのに、胃に入れるとダメなんですよね…。
 水代わりにワインの瓶背負って外国を旅できる幼馴染がうらやましい。
 仕方ないので、人様のブログやツイッターの飲みました記事を指をくわえて眺めています。

 ちょっとまた話がそれましたが、あれやこれやの登場に、なら第七話は?・・・と、次の更新までしばし想像しながらお待ちくださいませ。
 ではでは、楽しんでいただけると嬉しいです。
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   『ときを、かぞえる。』-6-



 書庫を擁するレジーナというマンションは明るめの石で造られて、女王というだけあって確かに女性や家族連れが好むつくりになっていた。
 最上階は同じく暗証番号で上がる仕組みになっていたが、上がってみるとそこは集会所と森本が名づけるだけに解放感にあふれ、書庫と表示された扉をくぐると私設文庫らしい手作り感と暖かみがあった。
 しかし、その広さと蔵書数は個人の所有する本の数を超えており、これが森本の頭脳を形成しているのかと、知らずため息が漏れる。
 森本温は、天性の山師だとOBたちは語っていた。
 この世情の移り変わりの中、学生のころから独りで着々と資産を増やしていけるのは、野生の勘が並大抵でないからだとも聞いた。
 しかし、裏付けのない知識のみで突っ走っているのではないことを、この書庫と、さらに本でうずもれた書斎が証明している。
 リビングに作られた閲覧スペースでは森本の友人らしい何人かとその家族がそれぞれ静かに部屋を利用していて、ひとりひとりに英知は紹介された。
 それぞれ職業も年齢も違うが、感じの良い人たちばかりでほんの少し話をしただけで打ち解けた気分になった。
 これも、森本の力であり、糧なのだろう。
「俺もちょっとこっちで用事があるから、英知くん適当に過ごしていて。帰りはまた声かけるよ」
 ひらひらと手を振って、ふいに森本は扉の向こうへ出て行った。
 一人になって改めて室内を見回す。
 本の状態はどれも良く分野は多岐にわたるばかりか以前から興味のあるものばかりだったため、一つ一つ手に取るうちについつい時が過ぎ、気が付いたらとっくに日が暮れていた。
「英知くん、お待たせ。帰ろうか」
 どこかで夕飯のお裾分けをせしめたらしい森本がご機嫌の様子で保冷バック片手に戻ってきたのは、窓の外に月が見え始めたころだ。
 今度は保冷バックと書庫から借りた本を持っていたためなのか、手をつなげなかった。
 残念な気持ちになったが、彼と並んで歩きながら交わす会話が楽しく、話せば話すほど心が浮き立った。
「さ、着いたね」
「はい」
 街灯と月明かりの中見上げてみると、暗めの石に囲まれたマンションは男性的なイメージと堅固な雰囲気を醸し出している。
 
 しかし、それを見事に打ち砕くのがこの張り紙である。

 『居住者の皆さんへ
  共用スペースでは、理性を保ちましょう。 
  キスは玄関で済ませること(笑)。
  家主拝。』

「・・・今、気が付いたんですが」
「なに、今頃気が付いたの?」
 エレベーターの中の側壁に貼られた紙を凝視して呟くと、背後から間延びした返事が返る。
「これって・・・」
「そのままの意味だけど?」
「き、キスって…」
 つい、口ごもってしまう自分が恥ずかしく、何気ないふりをして手で口をふさぎごまかした。
「うちねえ。独身者が多いって言ったけど、独り身ってわけじゃないの。むしろラブラブな人たちばかり住んでいて、いっつもいっちゃいちゃしてるよ。こっちとしてはあてられるんだよなあ」
 ふふっと笑う森本の顔は、まったくもって屈託がない。
「だから、ちょっと遊ばせてもらってるんだよ。家主の特権だね・・・って、言うそばから」
 ドアに向かって立っていた森本は通り過ぎた階層で何か見たらしく、にやりと笑ってせっかく八階に着いたドアをいったんそのまま閉め、再び降下させた。
「なに?」
「まあ、見てなって」
 六階に箱が止まると、外に一つの人影があった。
 いや、それは一つではなく。
「けいすけー、そりゃペナルティーだぜ~」
 ドアが開くなり、小躍りせんばかりに伸び上がり、ホールの二人に声をかけた。
 背を向けていたほうの人物が慌てて離れようとするのを、こちらを向いて立っていたほうの男が片腕を解かずに引き留め、何事か呟いて肩に顔を埋めさせた。
「すみません・・・」
 恥ずかしげな声がかすかに聞こえた。
 二人は、長い時間をかけてキスをしていたと、推測できる。
 彼らはスーツ姿で、どう見ても男同士だ。
「・・・あんた、わざわざ引き返しましたね?森本さん」
「それがわかってりゃ、玄関で済ませてこいよ」
 少し切れ長で茶色の瞳が印象的な背の高い男がはっきりとした眉根を少し寄せ、不満げにため息をついた。
「あの張り紙を最初に見たときは、俺には関係ないって思ってたんだけどな」
「確かにね」
ほい、と、森本が手を差し出すと、もう一方の手に持っていた紙のバッグを男が差し出した。
「あれ?いいの?」
「いいのもなんも、あんた、通り過ぎる一瞬でこのワインに目を付けたんでしょ。もう戻ってきた時点で貰う気満々ですよ」
「あ、やっぱりワインなんだ。誰かへの貢物だったのかな」
「その通りですけど、今度にします。・・・頼むから今日はこれで勘弁してくれませんか」
 抱きしめられたままの青年は、まるで手の中にとらえられた小鳥のようにじっと固まったまま動かない。
 しかしワインを差し出した男が大事そうに抱いているのを見ると、確かにあてられるなとも英知は思う。
 大切な人を堂々と抱きしめられるその幸運が、かなり、うらやましい。
「うん、そうする。じゃあまたね」
「はい、この借りはまたいずれ」
 扉を閉めると、いったん箱が一階に降りた。
 軽快なチャイムとともにドアが開く。
「あ、また会った。こんばんは」
 一階のホールでエレベーターを待っていたのは、先ほど書庫で顔を合わせた本間という女性だった。
 会社の特別休暇でゆっくり本を読みたくなったと語り、閲覧席で紅茶をすすめてくれた。
 確かにこのプレシャスの住人だとも聞いていたが、森本ともかなり親しいようだ。
 その証拠に、森本が大事に抱えた紙袋を目に留めるなり、にやりと笑った。
「森本さん、それ、片桐さんからせしめたでしょ?実は、私のものになるはずだったワインなんですけど?」
「あれれ。悪いことはできないなあ」
「ということは、やっちゃいましたか?」
「そうだね、やっちゃってたね」
「ああ・・・、とうとう」
 そして、二人は顔を見合わせるなり、げらげらと笑いだした。



       -つづく。-


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『すいかずら-蛍の恋-』です。
  戦時中の、恋物語。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。

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