『ときを、かぞえる。』-3- 

2015, 10. 27 (Tue) 07:51

 昨日は、国立博物館へ行きました。
 洗濯物を干したり取り込んだりしてからの出発だったので、例によって到着が遅く、もう三時くらいだったかな…?
 月曜だけど休館日でないというちょっとイレギュラーな日なので、少しは観客が少ないかも・・・と思って狙っていたものの、引きこもりのため、腰が重い。
 洗濯しなきゃとか、日差しが強いから布団干せちゃうとかぐずくずしてしまうのは、家猫の特性でしょうかね…。
 ちなみに太宰府天満宮の横にある九州国立博物館は閉館時間が早いです。
 外国人観光客でにぎわっている参道界隈も、五時を過ぎたら閉店し始めるところがちらほら見え始め、およそ六時を過ぎると静まり返ります。
 なので、あわてました…。
 参道を人の波に逆らう感じで通り抜け、鳥居手前で右折、光明禅寺手前で左折、そしてゆるい坂を駆け上ると…。
 これです。

 151026_150150.jpg

 この間の目白の胸突き坂と同じくらいの階段が待っています。
 これを登るとき、天満宮内にある連絡通路(エスカレーター付)にすればよかったと思うのですが、こちらのほうが入口に近いような気がします。
 それに、あまり知られていないのか人通りが少なくて静かなのですよ…。
 ただ、あまりにも閑散としているので逆に怖いかな。

151026_150115.jpg
 
 秋の花と、いろいろな野鳥の声がお出迎え。
 目当ての琵琶は大変美しく、できればもう一度拝見したいです。
 観客は和装の方がけっこういらして、天満宮内の庭園でお茶会があったのかなと思われるご婦人が連れだっていました。
 ちょうど常設のところで田中丸コレクションでお茶道具を展示していたからかもしれません。
 ついでに覗いたところ、私が一番気に入ったお茶碗は常設出入口付近にある「ととや」のお茶碗かな・・・。
 小ぶりで優しい薄茜色。
 抹茶の緑が映えそうです。
 だがしかし、名器と呼ばれるものはおっかなくて触りたいなんて思えません。
 ガラス越しに拝見するのが一番です。

 さて。
 前置きが長くなりましたが、『ときをかぞえる』の3話をお届けします。
 多くを語るとネタバレになるので、まあそうですね・・・。
 英知はかなり大柄で、姉の珠希も女性としては背が高いほう(女王様と俺の長谷川ほどではありませんが)ということだけ…。
 今回初出の女性二人は小柄かな・・・。
 ではでは連載三回目を、楽しんでいただけると嬉しいです。

 
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   『ときを、かぞえる。』-3-


「まあ、そんなことよりも、今はえいちくんのことだな」
「そうね」
「・・・すみません、突然、おしかけてきて・・・」
「いやいや、なんのなんの。災難だったね、英知くんも」
 災難。
 一言では言い表せない状況に陥った自分は、今どうすることもできず、姉と森本に頼ることになってしまったのだ。


 話は少し前にさかのぼる。
 英知は有名大学を首席で卒業し、就職した大手企業では仕事漬けの毎日を送り、更に海外勤務を経て帰国した昨年まではそこそこ順風満帆だった。
 ところが、今年の四月に新しく配属された部署で上司が女性だったところからだんだんおかしくなっていった。
 高崎久美子。
 四十前後と思われるその女性は仕立ての良いスーツの似合う、絵にかいたようなキャリアだった。
 一年ほど前に就いたその役職は同期も驚く大抜擢だったらしく、白羽の矢にあたったというよりも幹部の愛人を務めたことに対する慰謝料という噂は耳にしていたが、英知にとってどうでも良いことだ。
 自分の仕事が思うようにできれば、何の問題もない。
 そう、公言していた。
 そもそも派閥人事はよくあることで、彼女の仕事ぶりは真面目な上に臨機応変で手順を踏んで話を通せばやり易いため部下として不満を感じたことはなく、淡々と日々が過ぎていくはずだった。
ところが、どういうわけかその女性上司が少しずつ英知に執着を示し始めた。
 まずは些細なことで叱責し仕事を誰よりも多く振り分け、休みもろくに取らせなかったりしたかと思うと、残業で残る英知のそばにいる。
 事務職の女性と少しでも話をしようものならセクハラと騒ぎ立て、周囲に同意を求めた。
 無意味なメールが毎日何通も届き、終業後は不在着信と伝言の履歴が延々と続く。
 そして通勤の時も途中から一緒になる事が多くなり、気が付いたら同じマンションの隣部屋へ引っ越してきた。
 まずは手作り料理のおすそ分け攻撃に始まり、これも何かの縁だからと何かにつけて同伴出勤を強制された。
 居留守を使うとドアチャイムをいつまでも鳴らし続けられたこともある。
 まさかまさかと否定し続けていたものの、さすがにこまでくると、認めざるを得ない。
 彼女は、ストーカーだ。
 英知なりに、動き、抵抗した。
しかし、なにもかも裏目に出た。
 男性で体格もよく見るからに強そうな英知がストーキングされている事を信じる者はおらず、さらに上の上司も、社内で大きな後ろ盾があるらしいその女性と関わる事を拒否し、八方ふさがりだった。
 むしろ付き合っているとか、英知が手を出したとか、勝手な噂ばかり横行し、同期をはじめとする同僚たちは、遠巻きにするか指差して笑うだけで誰も親身になってくれる者はいなかった。
 だんだん自分がおかしいのかと思い始めると眠れなくなり、夜は物音一つに飛び起きる。
 みるみる痩せていくのが自分でもわかる。
 仕事だけは、自分のプライドにかけていつも通りこなした。
 しかし自分のことになるともう何も考えられなくなり、彼女の言いなりになってしまったほうが楽だと頭の隅でささやきが聞こえる。
 だけどそれは、死ぬも同然だと己に言い聞かせ、ぎりぎりのところで持ちこたえた。

 そんな時、弟の異変に気付いた珠希が、突然部屋を訪ねてきた。
「英知、入れて」
「・・・珠希」
久々の姉弟の会話を始める間もなく、様子をうかがっていたらしい高崎久美子が自室の扉を開けて飛び出した。
「あんた誰よ、なに勝手に日高君に触ってるの!!」
 髪をふり乱した彼女は珠希よりも小さな体なのにどす黒い感情が全身からはっきりと表れて、ゆがめられた顔もうつろな瞳も異常としか言いようがなく、すべてが心底恐ろしく、英知は立ちすくむ。
 半狂乱で暴れだした見知らぬ女を見て全てを覚った珠希は、英知の手を引いてすぐさまその場から駆け出した。
 すっかり参って足がもつれてしまう弟を引きずるようにしてタクシーに乗せた彼女は、携帯をいじりながら運転手にかなり細かい指示を出してくるくると走らせて、最後にはかなり大きな個人病院へ横付けさせた。
「ここって・・・」
 都内では名の知られた総合病院で、知識人や政治家の入院などで話題に上る。
「心配いらないわ。話は通してあるから」
 夜間通用口をさっさと通ると、待機していたらしいスタッフがすぐに駆け付け、診療室へ通された。
「こんばんは、担当医の徳富です」
 深夜にもかかわらず診察してくれた医師は、ぼろぼろになった英知ですら目を見張るような美女だった。
 アジアの女優として映画に出てもおかしくないような、整った目元と手入れの行き届いた黒髪。
「ありがとう、助かるわ、麗佳」
「こんなことでお役にたてるならいくらでも」
 鈴の音のような声で応じた後ふわりと笑い、白くて柔らかな指先で優しく英知の体に触れる。ただそれだけで、ふと、肩の力が抜けた。
「大変でしたね。心的ストレス、過労と合わせて・・・。そうですね、胃もかなり荒れているでしょう?ずっと満足に眠れていないし、ろくなものを食べてないですね。即・入院ということにしましょう」
 どうやら彼女が先ほど姉が連絡していた相手のようで、深いことは尋ねずに短い時間でてきぱきと処置を施し手続きの指示を看護師たちに出した。
「重篤な患者のための個室があります。とりあえずそちらに入っていただきますね」
「え・・・?」
「ようは、面会謝絶ってことよ」
 さらりと告げると、引っ立てるように腕を持ち上げた。
「さ、行くわよ」
 大柄な弟を引きずりまわす姉の姿にスタッフが一瞬驚いた顔をしたようだが、そもそもイレギュラーな形で来訪し入院。今さらだった。
 どう見てもかなりハイクラスな個室に案内され、とまどいを隠せないまま着替えさせられベッドに横になる。
 その傍らに家族として陣取った姉は着々と手はずを整え、翌朝には会社にも弟が胃潰瘍で倒れ入院した旨を提出、しばらく病気休暇を取ると宣言した。
 そしてさらに翌日。
 連れてこられたのがこのマンションだった。




       -つづく。-


   どの日付のものでも構いませんので、それぞれの記事の下の『拍手』ボタンをクリックすると、おそらく『拍手御礼』というページが展開されるかと思います。
  そこに、小話を添付しています。
  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、『すいかずら-蛍の恋-』です。
  戦時中の、恋物語。
  楽しんで頂けたら幸いです。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
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