はじまりのはなし。 

2012, 12. 17 (Mon) 23:51

 今日は、友人に会って食事をしたり買い物したり毛刈りしたりしたので、小説はお休みです。
 そういえば、新装開店の警固公園(福岡の繁華街、天神のど真ん中にあります)のイルミネーションを見たのですが、私はこちらの方が博多駅より好きです。
 理由は単に色づかい。
 冬のイルミネーションは暖色の方が良いと思うのは私だけなんでしょうか・・・。
 白と青を使うと、どうも体感温度が下がるような気がして・・・。
 こんな時、このイルミネーションでなんかネタをひねり出せないかと考えてしまうあたりが、腐女子根性丸出しですね。


 ところで、久々にとある本を手に取りました。
 杉本苑子さん作『傾く滝』。
 
   
杉本苑子全集〈3〉傾く滝杉本苑子全集〈3〉傾く滝
(1997/06)
杉本 苑子

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 いつでも手に取れる場所にあるので、ちょくちょく開くのですが・・・。
 何度読んでも新鮮なのは、私の頭が常にリセットだからだろうか。
 杉本苑子さんは、十年くらい前まで歴史解説としてテレビにちょくちょく出ておられたのですが、今はどうされているかわかりません。
 なにしろ、今となってはかなりご高齢ですから・・・。
 歴史小説家の吉川英治の弟子で、歴小説関連で多数の著作があります。
 江戸が一番多いかな。
 でも、とはずがたりもあるし・・・。
 まんべんなく各時代をテーマに書かれている、と言う印象です。
 そもそもこの本を読む切っ掛けになったのが、杉本苑子さんの友人の同じく歴史小説家、永井路子さんとの対談共著『ごめんあそばせ独断日本史』。

   
ごめんあそばせ独断日本史 (中公文庫)ごめんあそばせ独断日本史 (中公文庫)
(2007/06)
杉本 苑子、永井 路子 他

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 女学生がお茶をしながら腐女子的な会話をしているのを、そのまま掲載しているような感じです・・・。
 これを読むと、腐女子は昔から存在したんだなとしみじみ思います。
 そもそも、こんな雑談を一冊の本にしてしまえる当時のおおらかさよ・・・。
 永井路子さんの作品にもおおいに影響を受けましたが、まず今日は『傾く滝』について。

 今、ウィキを見て知ったのですが、なんと1969年作。
 ええと、私はまだ生まれていません・・・。
 でも、文章にも構成にも古さをまったく感じないのは何故でしょうか。
 
 話の大まかなあらすじとしては、兄嫁との姦通で追われる浪人宮永直樹は川で飛び込み自殺を図ろうとした少年を助ける。
 それが後に類いまれな美貌で“江戸の華”と謳われた八代目団十郎だった。
 仇討ちで追われる身の宮永と盲目の妹小菊、そして宮永に救われた時から恋に落ちた団十郎、さらに歌舞伎界の人々を絡めて大きな渦となる話です。

 ここからはネタバレになりますが、師弟関係(宮永が勉学の師)であるにも関わらず、一途に慕う団十郎にほだされて身体の関係を持ってしまう。しかし、何度身体を重ねても宮永の心はいつも逃避行の途中で亡くした兄嫁と、彼女が産んだ小菊(表向きは妹)、そして仇討ちにやってくる郷里の人々の事で占められている。
 毎度毎度、欲望のはけ口のようなぞんざいな扱いを受けても、いつか愛に変ると信じる団十郎の純情が、美しくも悲しいです。
 この悲劇の原因の一つが団十郎の父、海老蔵の一夫多妻にあり、結局はそれもあわせて双方の複雑な家の事情から抜け出すことが出来ないまま、娘を失った宮永が団十郎を捨てて郷里に戻って私刑に遭い、彼の死を知った団十郎が三十二歳の若さで自殺する。

 役者として、裏方として、そして家族としての歌舞伎の世界をふんだんに織り込んだこの作品。
 しかしやはり、中心となるのは宮永と団十郎の恋のありようです。

 とある事件により最愛の娘・小菊を失った宮永が、その悲しみを忘れるために毎晩団十郎を激しく抱き、対する団十郎は初めて彼を独占できる幸せ(宮永の生活と行動の中心は小菊だったので)に浸り、溺れる。しかし、その激しい交歓の瞬間にこそ、宮永は『別れられる』と決め、密かに身仕舞いし別れも告げずに去っていく。
 長年睦み合った恋人に突然去られた喪失感に苦しむ団十郎。
 何よりも、郷里に帰ったらまず命がないことは、当時の常識でした。
 天性の才と言われた芸事ですらまったく身に入らなり、ただの人形同然の日々が続く。
 彼は、自分がどんなに心を捧げても、宮永には一筋たりとも愛されていないことをうすうす解っていながら、必死に彼を求める。
 しかし、やはり、自分の愛は宮永にまったく届かなかったのだという敗北感。
 哀れで仕方ありません。
 いずれ去るつもりだったならば抱かなければ良かったのにと思うのですが、それこそが人間の性なのでしょう。
 そして、瀕死の状態で友人達に助け出された宮永が「団十郎」と二度呼んで事切れる瞬間。
 本当は、心の底から団十郎を愛していたのではないかと思わせる場面でした。
 しかし、取り残された団十郎にとって宮永のいない世界はまったく意味をなさず、周囲の危惧し警戒していたにも関わらずあっさり自殺してしまう。
 すべて無常であり、これ以上はない純愛、もしくはメロドラマだと思うのです。
 若い頃は、思うようにならないこの恋をなんとなくもやもやしながら読んでいました。
 親子ほど年の離れた二人が身体の関係を持つ、と言うことも、私としてはあまり好きではないので・・・。
 よくよく考えたら、おおよそ20年という長い年月、ずっと夫婦以上の濃い関係であり続けていた事になるので、本当に、重い。
 でも今は、杉本さんのこの作品にこそ瑞々しさと煌めきを感じ、また、これが私にとって男同士の恋愛ものを書き始めた切っ掛けの一つだなと思うのです。

 無駄に登場人物が多いのも、この作品の影響かもしれません・・・。
 坂東玉三郎など非常に魅力的な登場人物が多く、それこそが私の好きな点なのですが、メロドラマ的展開と人物設定の多さが批評の別れるところのようです。

 最後に、団十郎の弟の重蔵らしき人を、冬の華厳の滝のそばで見かけたと贔屓筋の人が海老蔵(団十郎達の父親)へ伝える下りがあります。
 重蔵は、少年の頃に疱瘡を煩ったせいで早くから役者を断念し、裏方として兄と宮永親子を支え続けた人でした。
 はかなげで美しい小菊を密かに愛していた彼は、偶然にも彼女の死の原因を知り、そこに潜む悪意と計略が宮永と団十郎の死を招いた事を知り、慟哭する。
 そして独りで敵を討ったあと行方知れずになっていた。
 そんな重蔵に似た人が、凍って傾いた滝を静かに見上げていたと言う話に、海老蔵がぽつりと返す。
 『凍って、傾いた滝か。・・・きれいでしょうね』と。
 この結びは、なかなかできません・・・。
 とても長い文章は、その長さ故にどのように着地するかが大変問題になります。
 昇華できるか、転落するか。
 作家としてのるかそるかの大勝負だと常々思うのです。
 題名になっている点から考えても、おそらくこの結末ありきで始めた小説なのでしょう。
 何にしろ、脱帽です。


 ところで、熱烈紹介したものの、この作品。
 私が持っているのは文庫本ですが、そちらも今は入手困難のようです。
 古本屋にあるかな。
 あとは全集。
 全集ですら絶版か・・・。
 読んでみたい方は古書店か、図書館へGOです。


 18日の朝にもう一度見直してかなりあちこち書き直しましたが、ええと、私の説明、おわかり頂けるか不安です。
 なんだか気持ちが先走って、上手くまとまりません・・・。
 読み返せば読み返すほど、この作品から学ぶことがあるんですよ・・・と言いたかったと、今ようやく解ったような。
 ここを読んで興味を持ち、手にとって頂けたら嬉しいです。




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  今回は、『ずっとずっと甘い口唇』の中村春彦の父の勇仁と、母の清乃、そしてコドモの片桐啓介で、+1人乱入です。
  お題は『オトナの階段』。
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好みの問題。 

2012, 10. 06 (Sat) 19:55

 昨日、夕方に自宅でひとりお茶のついでにテレビをつけたら、前に見て気に入っていた韓国ドラマがあっていました。

 『タルジャの春』。(←公式ページに飛びます。)

  韓国ドラマの恋愛コメディはほぼ二通りで、「若い、田舎から出てきたもしくは物凄く貧乏な育ちの女の子」か、「三十代の崖っぷちの女性」が、「実は御曹司、という美青年と恋に落ち、色々な障害(主に恋敵と姑から攻撃)を乗り越えて結婚する、もしくは結婚生活も苦労するけれどいずれは幸せになる」のバターンです。
 若い女の子の場合は、運良く大企業に就職し、キャリアを積むというオプション付き。

 タルジャの場合は、崖っぷちパターンの方です。

 ただし、いつものパターンであっても、それを面白くするか否かは配役にかかっているといつも思います。
 それで、私の中で『タルジャの春』はキャスティングと演出ともに成功した方なのですが、他の視聴者の皆さんは如何でしょう。
 少なくとも、何度見ても楽しめると思います。

タルジャの春


 そういえば・・・。
 配役で、一人だけ「んんん?」と首をかしげたのが、タルジャが好きになる下着会社の社長(画像右)。
 要するに若いイ・ミンギ(画像左)と中央のチェリムの三角関係になるのですが、あまり魅力なかったです。
 顔が、と言うより、全体的に・・・。
 お金の匂い以外に彼の良い所って・・・。
 なんだろう。
 とくに味のない人というか何というか・・・。
 対する若者のイ・ミンギが目鼻立ちがパキッとしていたせいでしょうか。

イ・ミンギ


 彼のどこがよいのか解らないという声もあるようですが、私としては顔立ちも雰囲気も魅力的でした。
 あとは、コメディ以外でも良い役に恵まれると良いのにな・・・とも思います。
 ところで、金海のなまりって、どんな感じなのでしょうね。
 彼の出身地だそうですが、『頑張れクムスン』に出ていた時は、訛りがひどくて耳障りだというクレームが来たとか。
 ううーん。
 韓国の人に一度その辺を教えて頂きたいものです。 

 あと、これにはイ・ミンギの友人役でキム・ジェウクがちょろっと出てきています。
 
タルジャの春の時のジェウク


 この、首から肩にかけての色っぽいこと。
 初めて見た時、悲鳴を上げましたよ。
 なんなの、この首肩チラ見せテクニック服は!!

 BSのほうでは、もうすでに中盤あたりにさしかかっているので、これから見るのはあまりオススメできない・・・かな。
 もしも機会がありましたら、どうぞ最初からご覧下さい。
 私は生来かなり大雑把で、BLとミステリーは結末を覗いてから読み始めるタイプだったりして、途中だろうが何だろうが別に気にしません・・・。
 なので、他のドラマもけっこう初回を見逃しても気にせず、一話見て面白そうだったら最後まで見るって感じです。そして、間延びしてきたらリタイヤしたり・・・。かなり適当です。
 

 ところで、このドラマの中でヒロイン役のチェリムがけっこう好きです。
 落ち着きがないとかうるさい、という批評もありますが、なぜかチェリムなら気になりませんでした。
 むしろ、可愛いと思ったんだけど。
 ・・・あ。そうか。
 多分、作中の彼女の年齢を越えているから温かく見守れるのかも・・・。
 若いお嬢さんがご覧になると、三十路過ぎているのにコドモ過ぎるといらだちを感じるのかもしれませぬな。


 そういえば、どこかアンバランスな顔立ちなのですが、時々物凄く色っぽいのが、同僚のイ・ヘヨン。

イ・ヘヨン


 魔性の女、です。
 彼女がとても魅力的に描かれていて、いいなあと。
 口数が少ないのに、言うべき時はばしっと決め、実は上品な皮を被った肉食獣(笑)。
 ラストが本当に本能丸出しで笑いを誘いました。
 この部分も良かったので、最後まで楽しめたのだと思います。
 そういえば、チェリム、イ・ミンギ、イ・ヘヨンの三人の笑顔にとても惹かれました。
 それぞれ違って、それがまた良い。
 一番の魅力はそこかもしれませんね。

 ものすごくパターンなドラマと言えばそこまでですが、見ているとなんだかわくわくするのがこのドラマだと思います。



 ともかく、全ては好みの問題と言うことで。




 
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  小話は、『拍手御礼』に1話のみ。
  今回は、「ずっとずっと甘い口唇」の保坂VS.第三秘書の篠原です。
  お題は「アタシ、猫」。

 一応、これからも拍手用小話を月に一度書き換える予定です。
 随時オーダー受付中。
 毎月16日の正午締めで、20日頃に新作アップという形を取りたいと考えています。

 
 これからも何かご希望がありましたら、是非リクエストを拍手コメントかメールフォームでお願いします。





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  飲んだくれ猟師と化け猫の話。
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